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爆弾発言


「…。」




そして綱部は後ろの扉を急いで閉めると、僕に顔を近づけて、真剣な顔で僕を見つめて口を開いた。


「俺さ、バイなんだ。」



「はあ!?」


「正直…その、嬉しかったんだ。松利が告白してくれたの。」



「…はあ?」


「だから、前に書いてくれた内容が嬉しかった。嫌なフリはしてるけど。本当は嬉しかった。」


「はあ?」


頭が追いつかない。

こいつは何を言ってるんだ。

こいつの天パが頭を伏せるたび鼻をこそばゆくするのも地味に腹がたつ。


「同じ部活のお前ならわかってくれるよな。な?だから、あのまま続けてくれ。」


「へ、変態だ。」


「かもな。でもまだ完全じゃない。」


「何言ってんだよお前。」


確かに、怪しいとは思ってけど、実際面と向かって言われると、衝撃がやばい。


「お前が俺に小説の話をしたのは、ルール違反だし積木先輩に告発したら終わりだろ。だからこの事も皆には黙っておいてくれ。」



「ああ…。」



僕達は誰もいないトイレから出ると、何事もなく別れた。



「…。」



「怜人。」


「!」


松利晴大が話しかけて聞やがった。


ボーっとしていると、いつの間にか放課後だった。

掃除も、帰りのホームルームも終わっていたが、僕にはそれを記憶から排除されるくらいまだ衝撃が残っている。



「行こうよ。近くのデパートに。約束でしょ?」



「寄るところあるから。」



「ついていくよ。」


気持ち悪いぐらい笑顔で後をついてくる。


僕は足早に歩いて距離を放した。

今日部活はあるのか。



部活があるならそこに逃げ込みたい。



だが、今日はやっていなかった。

やってるなら、とっくに積木先輩が中にいて明かりがついてるはず。



窓から見える部屋の中は真っ暗だった。



「はあ。」


しょうがない。このノートは積木先輩の靴入れに入れておこう。




「どうせお前は地獄の果てまでついてくるんだろ。」



振り返って、奴の顔を見るとニコニコと笑っていた。



「とっとと終わらせて帰りたいんだけど。」


そう言うと、彼は静かに前進した。僕はそれに仕方なくついてくことにした。




「なあ。どう言うつもりなんだよ。」



先輩のロッカーに書いたノートを入れた後、校門を出た僕達は距離をとって歩いた。


けど、こいつはなんでハブられているんだっけ。

別に特別容姿がキモいとか、不潔だとかではない。それに性格に難があるのかさえもわからない。


誰とも輪を作らなかったのは彼だ。

1人が怖くないのか。



あの学校は平和だ。

こんな一匹狼がいたところで誰も話しかけないで終わる。


ただのコミュ障だと思ってたが、まさかこんな一面があったとは。


人間とは恐ろしい。



なんだかんだで都内のどこにでもある割と大きめなデパートに来た。


ノートに書いていたのは確か、黒くて少し高めのシンプルなクシ。


他人が書いた話の為にわざわざ似たようなクシを買うなんて何の罰ゲームなのか。


小説の中の僕は、いかにも綱部との恋を応援する心よき親友。

誰だ書いた奴。本当に許しがたい。



「ねえねえ見てみて。これ。」


集中力散漫になっていると、松利晴大はとあるブランドの雑貨屋にそれなりのいいクシを発見した。


予定調和の黒いクシだ。


「こっちの赤の方がいいんじゃない?」


僕はワザとそれを選んでみた。


「赤は似合わないかな。」


「なんで?こっちの方がいいと思う。」


「綱部君は黒い方が似合う。」


「親友の言う事聞けないの?」


「僕のことそんなに考えてくれてるの?嬉しいけど、やっぱりこっちがいいかな。」


キモっ。



「ああ、そうか。」


心が折れた。

もうどうでもいいか。


明日はきっとその笑顔を次丸先輩がぶっ壊すと思うけど。



「いいの買えてよかった。」


「そう。よかったね。」


僕は、彼のクシを大事そうに握る姿を見てまた小説の内容を思い出す。



この後は彼と別れるだけだ。

僕とさよならした瞬間、彼はまた素に戻るのだろうか。


別れる場所は店の前だ。

店の前で別れてもまだこいつと道は同じ。



「じゃあね。怜人。」


「ああ。」


にこやかに手を振る松利晴大は、そのまま店の前で僕を残したまま帰ろうとした。


「松利晴大。おい。」


僕はスイッチの切り替えをした彼に話しかけて見た。


だが、彼は無言、無表情のまま前を突き進む。僕はその横にがっつりついて奴に色々ぶつけてみることにした。



「おい。役目を終えたら無視かよ。お前なんでこんなことしてるんだ?積木先輩の策略か?」



「…。」


「なんとか言えよ。プライド無いのかよ。このままだと男と付き合うことになるぞ。」


「…。」


「ロボットかよ。」


全然反応しない。

遠目に同じクラスの連中がいたからもう追跡するのはやめた。




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