プロローグ
どうも、こんにちは。ぐーのです。
ずっと読み専だったんですが、書いてみたいという思いが溢れたので投稿してみました。
初作品なもので文章表現がブレると思いますが、頑張って書いていこうと思います。
『世界樹の迷宮』を踏破する。それは、グレンホルナに住む者ならば誰しもが、一度は持つ夢である。かく言う俺も、その1人だ。
元A級冒険者である父 ー ユート・ストーンリバーと、同じく元B級冒険者である母 ー アイナ・ストーンリバーの息子だし、当たり前といえば当たり前だ。
幼い頃に父と母から語られた冒険譚は、冒険者の血を色濃く継ぐ俺に多大なる影響を与えたものだ。
「冒険者になりたい。それで、世界樹の迷宮を冒険するんだ!」
今でも覚えている。俺は、父と母の話を聞くたびにそう言ったものだ。
現実という壁にぶつかるまでは……
当時の事はいずれ語る機会があれば語ろう。
それから色々あって、俺は手にしたんだ、かつての夢を現実にする事ができるかもしれない可能性を。
『ユニークジョブ』を。
ーーーーーー
まるで深い海のような暗闇に、色がつき始めた。俺は今日、17年間世話になったマレット村を、冒険者になるために旅立つ。
「いよいよだ。グレスやレーメに2年遅れたけど、俺も冒険者に……」
グレス・コーナ、レーメ・ナシン。冒険者ギルドに所属することが可能になる15歳となった2年前に旅立った、俺の幼馴染だ。
俺もあいつらと同じタイミングで冒険者になりたかったが、『とある理由』で行けなかったんだよな。
いや、まあ……行こうと思えば行けたが。怖じ気付いたとかそんなではない。いや、本当に。
「それにしても……まさかあんな方法で『ユニークジョブ』が手に入るなんてな」
俺が手に入れたユニークジョブは、戦闘系の能力を持ったほぼ全ての『ジョブ』の熟練度レベルを限界まで上げる事で入手できた。
『ジョブ』と『ユニークジョブ』について軽く説明しておく。『ジョブ』とは職業だ。例えば、剣を扱い戦う者ならば『剣士』、魔法を使う者ならば『魔法使い』といった感じである。ほかにも宿屋の女将さんとかなら『宿屋』だったり、戦闘系だけではなく非戦闘系の物も存在する。
『ユニークジョブ』についてだが……これは唯一の『ジョブ』だ。国王や教会の大司祭、勇者などと呼ばれる者達の『ジョブ』が有名な例だ。『国王』や『大司祭』などは、一子相伝というのが一番近い。正確に言えば、現在の国王や大司祭が次代の『国王』や『大司祭』に継承の儀をもって受け継がせていく。継承の儀が行われなかった場合は、準ずる立場の者へと自動的に受け継がれることもある。
『勇者』などのほとんど全ての『ユニークジョブ』の条件は、未だ解明されていない。
俺の『闘人』の条件だって、正直なところ正しいか不明だ。
つまり『ジョブ』って凄いんだね!ってことだ。俺の頭じゃさっぱりだ。
とまあこんな事を考えている間に、太陽も既に顔を出していた。
部屋を出て、まだ冬の寒さが残る空気を感じながらリビングに向かうと、艶のある紅く長い髪を纏めた女性が料理を机に運んでいた。
「あ、アンジ。おはよう。もう、起きちゃったのか……しばらく会えないから、起こそうとおもってたのに……」
少し寂しげに呟いた女性は、40歳を越えた二児の母とは思えない程若々しいが、俺の母だ。
彼女は、15歳の時に冒険者を始め20歳になるころには、当時女性では珍しいB級冒険者となっていた。
その数年後に俺を身籠り引退し、現在はマレット村唯一の治療院で治療師として働いている。
「…おはよう」
半年したら、成人してから3年目の青年に対しての反応じゃないですよ、母さん…
「それにしても、いよいよなのね……15の時に家を出なかった時は、アンジが夢を諦めちゃったと思って少し寂しかったけど、やっぱり、いざ出て行かれると寂しいわ……」
「母さん……まあ、あれだよ。一生戻ってこないってわけじゃないし、時々顔を見せに戻ってくるから心配すんなよ」
「アンジ……けどお母さん、やっぱり心配なのよ。お父さんだって、あなたがまだ小さかった頃に、そう言って大怪我をして帰ってきたから……」
俺の父、ユートは俺が10になる頃に『世界樹の迷宮』に挑み、冒険者生命を絶たなければならないほどの大怪我を負い、現在ら冒険者を引退し村で母さんの手伝いをしている。
「ありがとう、母さん。けど、大丈夫。だって、俺は親父と母さんの子だぞ?」
「そうね。アンジはお父さんだけじゃなく、お母さんの子でもあるもんね。」
母さんの心配と愛情に胸が温かくなりつつも、これ以上心配はかけさせまいと、笑いながらそう返した。
「お、いい匂いじゃねえか!おはようさん!アンジ、母さん!」
「おはよう、お父さん。今日は特別な日ですから!腕によりをかけてつくったのよ。」
「おはよ、親父。まだ、朝早いんだからもう少し静かにしろよな……」
「いいじゃねえかよ、今日ぐらいよ!」
「いつもだろうが!」
「細けぇこたぁいいんだよ!」
飯の匂いに釣られて起きてきた親父は、相も変わらず朝からうるさく、ガハハという笑い声をあげながら、俺の肩を豪快に叩いてきた。
……いや、痛いんで、そろそろ止めてくれませんか?
「……おはよ」
不機嫌丸出しで起きてきたのは、母さん似で美少女と言っても過言ではない今年14になる最愛の妹のマコだ。
「おはよう、マコちゃん。席に座ってご飯にしましょう?」
「おう、マコ。おはよう!今日も相変わらず可愛いなあ!」
「……朝からうっさい。少し黙ってて」
「愛娘が朝から冷たい……これが俗に言う反抗期の娘とパパか」
「親父……反抗期の娘とか何言ってるか、よくわからんが元気だせ。それと、おはよ、マコ。もう少し親父にも優しくしてやんな」
「……うん、お兄ちゃんがそう言うなら」
マコに冷たくされ凹む親父に、親父を慰めつつマコに軽く注意する俺。そんな俺たちを微笑みながら見守る母さん。そんないつもと変わらない風景も、今日で見納めである。
一家全員が揃った事で、食卓に着き、早朝にも関わらず騒がしいストーンリバー一家のいつも通りで特別な日がはじまった。
誤字、脱字や文章表現の仕方など気になった点がありましたら、感想の方で指摘して貰えるとありがたいです。
内容の方も感想が頂けたら嬉しいです。
これからよろしくお願いします。