駄々目会
駄々目会というのは、駄々目正男が招集する飲み会のことである。この会社の飲み会といえば駄々目会のことであるが、駄々目に五十人を招集できる人望はない。四人から五人の、行く面子の決まった小さな会合である。その四倍の人数に誘いをかけるが、断られつづけている。仕事はできないが、いつのまにやら誘いをかけている。その速度をぜひ、仕事に活かしてもらいたい。
駄々目の名言の大半は、駄々目会でうみおとされる。土曜の夜、春日部駅西口。春日部は会社の所在地であり、駄々目の棲息地である。駄々目会は毎回、この近辺に招集される。
一次会は居酒屋。駄々目は会社に、何人かの「敵」を持つ。敵への悪口と、仕事への浅い認識の表明。管を巻く毎回の流れ。
二次会はキャバクラ。ポン引きが屯する路地を歩く。若いポン引きが駄々目に声をかける。求める者に、あたえる者。
「これからどうですか?」
「いくらくらい?」
「一時間四千円で」
「ひとり三千円しかないんだけど」
「いやあ、これ以上は負かりません!」
駄々目は結局、その舐めくさったポン引きについていくことに決める。唖然とする一同を尻目に。