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経歴詐称疑惑

「まえの職場じゃ、百人の部下を束ねる班長だったんだよ」

 入社当初から、駄々目は周囲に吹聴してまわっていた。八千人の手下がいるウソップみたいな感じ。百人の部下がいるって、かなり大きな会社じゃないか。そんな実権を持ってたら、コネクションで再就職できるはず。縁もゆかりもない五十人規模の会社の面接になんて来ないだろう。

 管理能力と処理能力は別物であるが、駄々目はとにかく仕事ができない。リーチ式フォークリフトの操縦は、へたでもないがうまくもない。効率を考慮しないうえに、鈍重な動き。管理能力があるとも思われないが、まづ個人の能力が低すぎる。

 上司に取りいって出世するような、世渡り上手でもない。駄々目はたまに、そういった連中をディスったりする。


 駄々目は言う。「事務所より、現場やってるおれらのほうが偉いんだよ」と。

 浅い、じつに浅い。浅漬けの素でも飲んどけ。管理職をやっていた人間の発言だとは、とうてい信じがたい。そんなお花畑な頭じゃ、班長なんて務まらんでしょう。職種に優劣なんてないでしょうに。


 駄々目のなかでこれは、まぎれもない真実であるのかもしれない。最近はそう思える。まえの職場で「班長」と呼ばれていたんじゃなかろうか、年齢的に。ほんとうの班長はいるんだけど、揶揄するように。本人それを真に受けて、班長やっていたと信じこんでいるんじゃなかろうか……。


 「班長」に渾名になることはなく、やがて「主任」といじられることもなくなった。

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