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因果関係と相関関係の違いを僕達はまだ知らない。

作者: 作者2070

◆◆◆


登場人物


父 (47) --- 出版社社員。

母 (45) --- 兼業主婦。

娘 (17) --- 高校生。


老人 (65) --- 謎の人物。


◆◆◆


● キッチン、朝


父、テーブルの席に座っている。手にタブレット端末を持って操作している。

母、多機能電子オーブンの前に立って皿を持ち、トーストができるまでのカウントダウンを待っている。

季節は 5〜9月で、彼らは季節に合った服装である。


母「今日は朝、ゆっくりなの?」

父「うん、あの作家先生、どうせ昼過ぎにならないと起きないからね。」

母「いい生活だこと。その人、まだ無名の作家なんでしょ?」

父「今のところね。しかし、会社のコンピュータの分析によれば、あの先生に書いてもらえば次のベストセラーは9割がた間違いなし。著者の性別・年齢・出身地・専攻学科・以前の職業、まさに今の流行にぴったりなんだ。」


父、タブレット端末を見て、渋い顔をする。


父「やれやれ、3回目のテロ予告だってさ。」

母「あれね、地球解放戦線とかいう。」

父「ふむ、連中が小型核爆弾を持ってるって噂、政府が「そのような事実は確認されていない」だって。」

母「そう。ならそんなに気にすることもないわね。」


娘、駆け足で登場。学校の制服姿で、カバンを肩にかけ、髪にブラシをかけながら歩く。テーブルの前で急停止する。


娘「お母さん、なんか食べるものない!? 朝ごはん!」

母「もうすぐパンが焼けるけど、そうするとお父さんのぶんがねぇ…なんで今日にかぎって朝ごはん欲しいの? いつもは時間がないから食べないのに。」

娘「だって今日、英語のテストなんだよ。今日くらいは朝ごはん食べて、頭を良くしたいんだ。ほら、朝ごはんを食べる生徒は成績が良いんでしょ? 朝ごはんでブドウ糖を摂れば、それが脳のエネルギー源になるんだって。」


オーブンから電子音が鳴る。

母、オーブンからできたてのトーストを取り出す。

娘、トーストをかっさらい、口にくわえて飛び出していく。


娘「いっへひまーふ!」


娘、荒々しい足音で立ち去る。


母「まったくあの子は…。ねぇ聞いたことある? パンを咥えて「遅刻遅刻〜」って走るの、実際にやったことがある人が、クラスに一人くらいの割合でいるって。」

父「けしからん。男とぶつかってフラグが立ったらどうする。恋愛なんて、あの子にはまだ早い。」

母「そう? あのくらいの年頃、そりゃ恋愛に興味あるでしょう。」

父「あのね、私は統計的なデータに基づいて、娘の幸せのために言ってるんだよ。恋愛、特に、その…性…を経験するのが低年齢であるほど、その人生は貧困率が高い、という調査結果があるんだ。若い頃から脳内が性的に染まると、仕事や勉強をする気が失われるってわけさ。」


母、新しい食パンを電子オーブンに入れる。


母「そりゃあ貧乏よりは裕福なほうがいいでしょう。ある程度までなら、年収が増えるにつれて幸福度も上がるって、それは本当よ。でも、収入がそこそこあっても、夫が育児に協力的じゃないと大変なのよ。あの子がオムツしてたころ、あなた「大」のとき取り替えてくれなかったでしょ。あたしだって疲れてたのに、あなたは「ようやく仕事から帰ってきてメシ食ってるんだから、勘弁してよ」って言って、助けてくれなかった。それに、あの子が4歳のとき熱を出して、その日はあたしが町内会の当番だったこと、覚えてる? あのときあなたは「娘の世話どうする? 私は会社に行ってもいいのか?」って聞いたけど、あたし、本当はそこで「私が会社を休んで娘の看病をするから、おまえは町内会に行っておいで」ってはっきり言って欲しかったの。それに、あの子が小5のとき、友達と仲が悪くなって悩んでたときも、あたしが」


父、手で遮る。


父「わかった、悪かった、あれもこれも私が悪かった。さて、テロ予告で、株価はどう動くかねぇ…」


父、怪訝な顔をしてタブレット端末をつついたり、傾けたり裏返したりする。


母「どうかした?」

父「いや、なんかウイルスでも踏んだかな。」


◆◆◆


● タブレット端末の画面


老人、暗闇を背景に立っている。古びた服を着ている。何かを訴えるように目を大きく開いている。その目は狂気と知性で光っている。


老人「…のが、IoTとビッグデータ、それに、GPUとDNNだ!」


老人、聞き取れないくらいの早口で、まくしたてる。


老人「IoT、インターネット・オブ・シングス、モノの相互ネットワークだ。携帯電話や時計、介護用のベッドにも、加速度センサが搭載されている。その測定値からは、数千万の人々の生活リズムがわかる。横断歩道の歩行者検知器、駅の自動改札機、ショッピングモールの防犯カメラ、ここから人々の移動を知ることができる。店舗やオフィスビル、一部の住宅に、温度・湿度センサと日照計が設置されている。このデータを集めれば、10m単位の高精度で各地の天気がわかる。このような…数億個のセンサから収集された膨大なデータ…これがビッグデータだ! 毎日、毎秒、何百ギガ・何百テラバイトものデータが集まる。これをいちいち人間が分析するのでは間に合わない。」


老人「GPU、最近はジェネラル・プロセシング・ユニットの略だとされることが多いが、もともとはグラフィック・プロセシング・ユニットのことだった。その名のとおり、ゲームやCADといった3D画像処理ソフトのために作られたものだ。画像処理には大量の計算が必要となるが、画像処理で特徴的なのは、計算が大規模に並列化できることだ。このような並列計算のために最適化されたプロセッサが、GPUだ。オブジェクトの頂点座標に同次変換行列を乗じて、画面への投影座標を得る。また画面の各ピクセルがどのような材質であるかを求め、平面の法線と光源までの相対位置によって、視界内の全ピクセルについてRGB値を出力する。特殊な変形をする物体、特殊な材質でできた表面を再現するために、GPUで行う処理は自由にプログラミングできる。ということはプログラムしだいで、この大規模な並列計算能力を、グラフィックス以外に使うこともできるわけだ。」


老人「DNN、すなわちディープ・ニューラル・ネットワーク。動物の脳をモデル化して、ソフトウェアで実現したものだ。脳のニューロンは他の数千個のニューロンと、樹状突起および軸索によって接続されている。これを重み付き有向グラフとしてコンピュータ上に実装する。各ニューロンは他のニューロンと、それぞれ独自の重み、いわば神経の太さによって接続されている。あるニューロンが発火すると、その先に接続されたニューロンは、接続の重みと同じだけの刺激を受ける。このような刺激を数千個の前の段から受けたニューロンは、刺激の和を何らかの関数、たとえばステップ関数やシグモイド関数、あるいはアークタンジェントに入れ、発火したかどうかを求める。その発火がさらに次の段のニューロンへの入力となって、というぐあいに刺激は伝わっていく。このようなニューロンのネットワークにおいて、片側の端のニューロン群を入力端子として、そこに例えば画像素子の各ピクセルのRGB値を入れる。端子に入力された信号が、数百万から数億のニューロンのあいだを伝わっていき、反対側の端子から最終的な出力が出てくる。出力とは、例えば「この画像は犬か猫か」といった判定結果である。しかし初期状態の接続重みでは正しく判定できないので、教師付き学習を行う。入力データと正解の組み合わせを十分な数用意して、その入力に対して正解が出力されるよう、重みを調整する。これは出力側に近いニューロンから順に、正解との誤差を前の段にいわばフィードバックしてやることで、自動的に行われる。」


老人「ひとつの段のニューロンはそれぞれ独立して動くので、GPUで並列処理するのに都合が良い。IoTから集められたビッグデータを、GPUで実装したDNNによって処理して、パターン認識する。いわば人間志向のデータ圧縮だ。こうしてデータに意味付けして解釈することができる。」


◆◆◆


● キッチン、朝


父、首をかしげてタブレット端末を振る。


父「あ、元に戻った。何だったんだ、広告か?」

母「そうでしょう、映画の予告とかじゃない?」


母、電子オーブンからトーストを取り出し、かじる。


父「だな。ところで私の朝食は…」

母「ああ、じゃあこれ。」


母、野菜サラダの大皿を父に差し出す。


父「いやあの、パンとかご飯は。」

母「こないだ見た記事を思い出したんだけどね、野菜を多く食べてる人は、うつ病で自殺するリスクが少ないんだって。だから、あなた、野菜をいっぱい食べて、一日でも長生きしてね。これが私の愛情。」

父「なら仕方ない…」


父、サラダをシャリシャリと咀嚼する。


父「君の愛情は薄味だね。」


◆◆◆


● キッチン、夕方


娘、椅子にだらしなく座って、スマートフォンをいじっている。

玄関の電子鍵が開く音。

母、仕事・買い物兼用のカバンを手に持ち、登場する。


母「ただいまっと。」

娘「んー?」

母「まーた電話ばっかりいじって。知ってる? 電話をいじったりゲームをしてる時間が長い人ほど、成績が悪いんだよ。電子機器が脳に悪影響を与えるんだってさ。」

娘「えー、別にいいじゃん。うちの頭なんてどうせ平均的、中の中だよ。うちが頑張ったって、根っからの天才にはかなわないって。」

母「べつにノーベル賞を獲れってんじゃないのよ。ちょっとでもいいから成績を上げておけば、あなたの今後の生活が楽になるのよ。」

娘「そんなの昔の話でしょ?」

母「そうでもないのよ。えーとね…」


母、テーブルに置かれていたタブレット端末を拾い上げる。何回か画面をタッチしてから、タブレット端末を娘に見せる。


母「ほら、この記事、このグラフ。やっぱり今でも、学生時代の成績が高ければ、大人になってから収入が高いことが多いのよ。」

娘「はいはい、わかりましたよーだ。」


娘、頬をふくらませ、電話をしまい、怒り肩で立ち去る。


◆◆◆


● キッチン、夜


母、椅子に座ってスマートフォンをいじっている。

玄関の電子鍵が開く音。

父、薄型だが大きなダンボール箱を抱えて、帰宅する。


父「よっこらせっと、ただいま。」

母「あら、おかえりなさい。何か買ってきたの?」

父「うん、まあ、新しいディスプレイをね…」

母「ディスプレイなら、今のやつで何の不自由もないでしょ。」


母、冷蔵庫や電子オーブンから夕食を取り出す。

父、目を泳がせる。


父「それは、そう、なんだけど…先生との話題でね、持ってるディスプレイが大きいと、その持ち主の収入が高い、ていう最近の調査結果を聞いたんだ。大きいディスプレイを持っていれば、いろんなニュースを同時に見たり、複数の株の銘柄を見比べたりできて、それが収入につながるんだろうね。」

母「ああ、そういう理由ならいいわ。娘の進学にあたしたちの老後、もっとお金が必要だから。」


母、テーブルに夕食を並べ終わる。


父「お、今日の料理はずいぶんと豪華だな。」

母「売り場のテレビで言ってたんだけど、家計支出が少ない人には肥満が多くて、支出が多い人には肥満が少ないんだって。」

父「ほう。」

母「やっぱり、スリムな体になるには、良い物を食べなきゃダメってことよねー。だから、お肉はアメリカ産の和牛、野菜は植物工場の無農薬栽培よ。」

父「おお、いいね。体に良い物なら、代謝が活発になるから、しっかり食べても太らないんだろうな。いただきます。」


父、テーブル上のタブレット端末を持ち上げる。


父「さて、今日の株価は…わずかに下げ、か。気にするほどじゃないな。」


父、画面に指をすべらせる。


父「おっと、この記事は。金持ちはみんな長財布を使っている、だって。」

母「そう? 言われてみればそんな気もするけど。」

父「いろんなカードを使い分けて特典をもらったり、複数の通貨を整理したり、便利なんだってさ。実際に使ってる人のインタビューがついてるけど、すごい顔ぶれだな、大企業の社長、有名俳優、プロスポーツ選手。」

母「そうなの? ちょっと見せて。」


父、母にタブレット端末を渡す。


母「へえ、いいじゃない。あなたの財布、かなり古くて擦り切れてたでしょ。新しくこの長財布買ったら?」

父「良い考えだ。さっそく明日買ってこよう。どこで買うかな。」


父、手を差し出す。

母、タブレット端末を父に返す。


父「明日は会社に集合だから、その近くだとすると…」


父、タブレット端末の画面をタップする。


父「うわっ、また何か変なの踏んだ!?」


◆◆◆


● タブレット端末の画面


老人、タブレット端末を片手にさげ、ゆっくり歩きまわる。


老人「有名な俗説に「朝食を食べると頭が良くなる」というものがある。朝食を食べる学生は、成績の良い学生でもある…ことが多い。しかし、朝食を食べた「おかげで」成績が良くなった、と言い切ってよいのか? 他の理由は考えられないか? 別の原因、例えば「規則正しい生活」があって、これがふたつの結果、朝食を食べるという結果と成績が良いという結果を生み出した、とは考えられないか?」


老人、突然、タブレット端末を振りかざす。


老人「相関関係と因果関係を混同すると、こんなトンデモない記事になる! 相関関係だけで結論に飛びつき、もっともらしい理由をでっちあげ、ブドウ糖だとかマイナス量子クラスターだとかの用語で読者を煙に巻けば、記事の完成だ。そして人々はこんな記事を鵜呑みにしてしまう!」


老人、手を下ろす。


老人「相関関係とは、単にふたつの量 X と Y が、同時に変化するということだ。これに対して因果関係とは、X を原因として Y が引き起こされるということだ。相関関係と因果関係はまったく異なるものだ。必要条件と十分条件くらい違う。」


老人、首を振る。


老人「相関関係は、アンケート結果なりセンサのデータなりがあれば、簡単に見つけることができる。ふたつの量 X, Y を測定して分析したとき、Xが増えるのと一緒に Yも増えることが多ければ正の相関、Xが増えると Yが減るなら負の相関という。Xの増減と Yの増減が互いに無関係でばらばらのとき、相関がないという。相関関係を数値で表したのが相関係数だ。表計算ソフトで以下のコマンドを実行すれば計算できる。数式でいえば下のようになる。」


老人、タブレット端末の画面をタップしてから、画面が相手に見えるように端末を突き出す。

画面には、 CORREL というコマンド名や、ふたつの ∑ を含む分数式が表示されている。


老人「君が、何かのデータ X, Y に相関関係を見つけたとしよう。このときすぐに、 X が原因となって Y を引き起こすのだ、という結論に飛び付いて良いのか? (いな)! ほかの考え方もできる。逆に Y が原因となって X を引き起こしてるんじゃないか。いやいや、別の隠れた原因 Z が原因となって、その Z がふたつの現象 X, Y 両方を引き起こしてるんじゃないか。」


老人、タブレット端末の画面をタップする。

画面は 3つの図を表示する。


(1) 原因 X → 結果 Y


(2) 原因 Y → 結果 X


(3) 隠れた原因 Z → 結果 X, Y


老人「では X, Y のあいだに因果関係があるという仮説を、どうやって確かめる? この仮説を実証するには、正しく設計された実験を行う必要がある。以下のような実験だ。幅広く十分な数の被験者を用意する。それをランダムに 2つのグループに分ける。実験群(エクスペリメント・グループ)統制群(コントロール・グループ)だ。実験群には X を与える。統制群には与えない。このあと Y を測定して、実験群の Y が明らかに統制群よりも高ければ、このとき初めて、 X が原因で Y が起こるのだ、と確かめられる。」


がちゃ、とドアが開く音。数人が荒々しく入ってくる足音。

老人、慌てて止めようとする。


老人「何をするやめ」


暗転。

老人が数人と争う音。何かがガシャンと床に倒れる音。


老人「それを実際に使うなんて聞いてないぞ!」


◆◆◆


● キッチン、夜


父、タブレット端末を見ながら首を振る。


父「なんだ。やっぱり映画かゲームの宣伝じゃないか。」

母「面白そう?」

父「いや全然。なんだか面倒くさい。…こんなのは数学科とか、かすみ食って生きてるような連中が言ってる戯言だ。くだらない。現実のビジネスの世界では、もっとショートタームでアウトプットの出せる、アジャイルなソリューションが求められるんだよ。」


父、タブレット端末を放り出し、夕食に手を付ける。


◆◆◆


● キッチン、朝


母、座ってスマートフォンをいじっている。

娘、よたよたと歩いて登場。


娘「あつい〜。アイス、まだ残ってたよね。」


娘、冷蔵庫を開けて、カップアイスを取り出し、席に座る。


母「ほどほどにしなさいよ。そんなに体に良いもんじゃないんだから。」

娘「えー、うち、お腹は丈夫なんだから平気だよ。」

母「お腹だけじゃなくてね、肌にも良くないらしいのよ。アイスの消費量が多いときは、日焼けで肌が傷んでる人も多いんだって。なんか脂肪と砂糖って、アイスを作るときに冷やされると、なんとかっていう化学物質に変化して、それが肌に悪いんだって。」

娘「じゃあ、出かける前に、念入りにメイクするよ。」


◆◆◆


● キッチン、夜


母、テーブルに夕食を並べる。

父、席につく。


父「なんか下の駐車場に、妙な車が止まってたよ。」


父、タブレット端末を母に見せる。


● タブレット端末の画面

ミニバン車。ボディにでかでかと「地球解放戦線」と描かれている。後部座席には金属製の装置が横たわっている。装置の胴体は円筒形で、太さは相撲取りの体ほど。その両端にいくつかの配管やケーブルがついている。胴体に貼られたシールには、黄色い円の中に小さな黒い円、その黒い円を囲む 3つの黒い扇型、というマークが描かれている。


● キッチン

母「あらまあ。警察には通報したの?」

父「いや、下手に通報したら、私が犯人にされる。」

母「じゃあ、その写真も早く消したほうがいいんじゃないの。そういう写真を単純所持してるだけでも逮捕されるんでしょ。」

父「おお、そうだな。」


父、タブレット端末を操作する。


父「ちっ、またか!」


◆◆◆


● タブレット端末の画面


文字だけが表示される。


文字「20世紀のデータによれば、地球上での ○○○ の回数と日本の経済成長率のあいだに、正の相関関係がある。」


グラフが現れる。横軸に年をとり、2つの折れ線グラフを重ねあわせたものだ。どちらの線も、1960年代は高く、1970〜1980年代には中くらい、1990年代には低くなっている。


文字「日本の景気を良くするために、 ○○○ の回数を増やすのがよいと思いますか? (アンケート結果を集計して、自動的に装置が起動します)  YES / NO 」


◆◆◆


● キッチン、夜


父「そんなの YES に決まってるじゃないか。」


父、画面をタッチする。


◆◆◆


● タブレット端末の画面


文字だけが表示される。


文字「20世紀のデータによれば、地球上での ○○○ の回数と日本の経済成長率のあいだに、正の相関関係がある。」


ポンと音が鳴り、○○○ の部分が置きかわる。


文字「20世紀のデータによれば、地球上での《核爆発》の回数と日本の経済成長率のあいだに、正の相関関係がある。」


駐車場のミニバン車が映る。車内の装置で赤いランプが点滅する。


◆◆◆


閃光。

爆発音。

巨大なキノコ雲。


場面転換のテーマ曲、盆回り (人類滅亡シリーズのBGM) が鳴る。


終幕。


オチのBGMはこれ。

https://www.youtube.com/watch?v=YpYaWSj_21g


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[一言] 相関関係はこの世にあれど因果関係は想像上の産物だと思ってました。
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