紅い目の・・・死神?
地下室はゲームとかで偶にある開発途中で何かの理由で廃棄された場所的なイメージです。だからなんもない。
地下室はとにかく暗かった。
ランタンがあっても心もとない。むしろ周囲本の少ししか照らされないから怖さ倍増って感じだ。
そんでもって部屋を一つ一つ回ってみたけど、どこも中には簡素な机と椅子があるだけで特にめぼしいものはなかったです。どうしましょう。
それより、地下だというのにどこにも通風口がないのが気になるな。ただでさえ埋め立てられた場所だ。空気が通らない場所で、どうして私は生きていられるんだろう。
頭の中で色々考えながら扉を押し開ける。
さて、次で最後の部屋になるわけですが。そこも今までと同じ感じの部屋だったら、もう階段の上を殴って叫びまくるしかないのかなぁ・・・。地下じゃ電話も通じないだろうし、孝彦が気づいてくれる可能性に掛けるしかなくなるな。
不安になりながら歩いていると、ランタンの明かりに照らされて前のほうに人影が見えた。
光の中心には不気味なローブのようなものを着た人だ。そう、まるで死神みたいな・・・
「っ!? いやでもこの状況で躊躇っちゃダメだろ私! 勇気を振り絞れ・・・ッ!」
思わず声を出したのが悪かったのか、その死神さん(仮称)はグルッと私に振り向いた。
暗闇に彼の真っ赤な相貌が爛々と輝く。紅い眼の死神さんは私に気がつくと嬉しそうに口元を歪めた。
「ヒィッ!?」
直後、足元からガシャーンッと音がして光が消える。
驚きすぎてランタンを落としてしまったようだ、もう真っ暗ってレベルじゃねぇぞ!
そしてコツコツと足音が聞こえてくる。死神さんがこっちに向かってきているようだ。
「残念! 私の冒険はここで終わってしまったーーーーーーッ!!」
「えっ、ちょっと待って!? まだ終わってないから! 終わらせないから!」
戸惑ったように死神さんが声を上げて私の肩を掴んだ。
あ、意外と目は綺麗なんですねって違う!
「やめて、私に乱暴する気でしょう!? エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!」
「エロ同人・・・? なぁにそれ??」
「じゃあ離して下さいお願いします! まだ死にたくないんですーーーッ!」
「いや誰も殺さないけど。とりあえず落ち着こう? ね?」
いやこの状況で落ち着けって方が無理です!
半泣きになった私を見て何かに気づいたのか、突如ハッとして死神さんは私の肩から手を離した。
「あっ、もしかして暗いのが怖い? ランタン持ってたもんね。」
うーん惜しい! 今はそれ以上にあなたが怖いかな!
私の心中を察するわけもなく、死神さんの影がランタンを探すように蠢きだした。
しかしさっき落としたせいで砕けているランタンを見つけて、あっ(察し)といったように声を漏らした。
「壊れちゃったのか。じゃあ今もしかして何も見えない?」
「そ、そうですが何かぁぁぁぁ!?」
「んー・・・なるほど。それじゃ確かに話しにくいよね。じゃあ、ほいっと」
その直後、パチンッと指を鳴らしたような音が響いて辺りが明るく照らし出された。
周りには光の球がいくつか浮いている。このおかげで明るくなったんだろう・・・・・って、なにこれ!? えっ、なにこれ!?
「ええええええ!? なにこれ、魔法!? 死神さんの魔法ッ!?」
「ん? そりゃ魔法だけど? それより死神ってまさか僕のこと・・・・・?」
寧ろあなた以外にいらっしゃいますかね!?
にもかかわらず、死神さんは何故かショックを受けたように肩を落とした。
「って沈んでる場合じゃないな・・・えっと、僕は死神なんかじゃなくてただの魔法使い。
今はちょっと訳あって旅してるけど、前はそれなりに有名だったんだよ。」
だから、これでもすごいんだよ!? と焦ったように言ってきた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ、いきなり何言ってんのこの人。