ランタンに火を点けろ
物置から出てエントランスへ戻ると、ソファで座って本を読んでいる孝彦と出合った。
「あれ? 孝彦、なんでこんなところに?」
「いやー、向こうだとすっごく読みづらくって。 ・・・・・ところで、その格好は?」
「物置で見つけたから着てみた。どうよ?」
「えっ? うん、まぁ・・・いいんじゃないかな?」
むっ、なんでそんな微妙な反応なんだ。
でも孝彦いるなら丁度いいや、何か火を点けられるものがないか聞いてみよう。
「孝彦、物置でコレ見つけたんだけど、どっかにライターとかないかな?」
「わ、ランタンなんてあったんだ。でも懐中電灯あったよね?」
「あったけど、全部壊れてて使えないんだ。もう電池がダメになってるみたい。」
「マジか。んー・・・そういえば管理人さんタバコ吸ってたし、管理人室にいけばまだ残ってるかも。」
管理人室? そんなのあったんだ。
いつもここのソファに座ってたから知らなかった。
「管理人室は階段脇の部屋。・・・っと、今は鍵掛かってるから僕も行こうか。」
そう言うと孝彦は読んでた本をテーブルに置いて立ち上がった。おっ、なんだか心強いね。
孝彦に続いて管理人室へ入っていくと、そこにあった机の上に小さなライターが一つ置きっぱなしになっていた。コレを使えばランタンを付けられそうだ。
「・・・おっ、点いた!」
「へぇ、ランタンって結構明るくなるんだね。」
薄暗い部屋にランタンが輝いて、なんだか幻想的な雰囲気が漂いだす。
そういえば、ついでだし聞いてみようかな。
「そういえば、ここって4階まであったんだね。
このへんは本が置いてあるらしいけど、上は何があるの?」
「へ、4階? そんなのないよ?」
「・・・はい?」
「1階がいわゆる憩いの場? で、2階は資料以外の色んな書籍、3階は民俗資料とバルコニーがあるだけ。4階なんて無いよ?」
あれー? 不思議そうに言う孝彦は嘘をついているようには見えない。
そもそも嘘をつくような内容じゃないしね。そっか、なるほどなー。
・・・じゃあ、コレは一体どこの地図なんだろう。
構造はこの洋館とそっくりなんだけど・・・。