プロローグ終了
これでやっと前フリは終わりです。
次からは学園編になります。短く終わらせたい。
イーリオス、王宮付近
「女王様ーーーッ!」
最初に飛び出した豪邸付近まで戻ってくると、宰相さんたち三人が顔面蒼白で走ってくる。・・・無理もない、死神さんに抱えられた女王様は血に染まって倒れたまま動かないんだから。
中でも宰相さんは特に顔色が悪い。最初に会ったときよりもやつれてる気がするよ、相当心配していたんだろうね。
「じょっ、女王様!? そんな、まさか・・・ッ!?」
「大丈夫です、ギリギリでしたが間に合いましたので。しばらくは寝たままになるでしょうが。」
「それと、この人を攫ったクソ野朗は森の奥でノビてますので回収お願いしますね。」
「そう、ですか・・・・・よかった・・・。」
女王が無事だと知ると宰相さんと一緒に来た青い人はへたり込んでしまった・・・・この人も余程気を張っていたらしい。宰相さんもどこかホッとしたような安堵の表情を見せている。
それより・・・宰相さんと青い人は前に会っているから分かるけど・・・この金髪さんは誰だ?
よく見ると金髪さんは他の人よりの幾分豪華な装飾が着いた鎧を着ている。あっもしかして、この人が騎士団長か? その人は一瞬安心した表情を見せると、すぐに表情を戻して部下と思われる騎士に素早く命令を出していた。おぅ、行動早いなこの人。
・・・・・え? あの小物野朗はどうなったかって?
大丈夫、殺してはいないよ。ただちょっと魔法の鎖みたいなので拘束しただけ。殺しちゃったら騎士さんたちは詳しい話聞けないですしね。まぁその・・・アイツ、死神を見たせいか気絶してるけど。
「そういえば・・・襲ってきた敵はもう全滅出来たんですか?」
「あっ・・・はい。一応見張りを出していますが、恐らく既に全滅済みかと。」
「おぉ、流石騎士様なだけありますねー! それじゃ町の復興は? かなり酷く損壊してましたけど。」
「時間は掛かるかもしれませんが必ず成し遂げるつもりです。しばらくは最優先事項ですね。」
「それはよかった。」
うん。宰相さんたち、もう大丈夫みたいだね。やっぱり彼らにとって女王様の存在はかなり大きいみたいだ。生きる意味っていうのかな? なんかいいよね、そういうの・・・って、まだ肝心なこと聞いてないや。危ない危ない。
「そういえば聞き忘れてましたが・・・今回襲ってきたのはなんだったんです? 妙に統率とれてましたし、ただの魔物たちの集団の襲撃ってわけではないでしょう?」
「えぇ。恐らくは・・・・・ラスカティグローマの手先でしょう。」
「ら・・・ラスカティ、グローマ?」
「大陸にある巨大帝国です。最近国王が変わり、それから他国を侵略して回っているんです。」
「魔物は恐らく魔物使いから買い入れたモノ・・・しかし大多数はそこの召喚士が呼び出したものでしょう。なにせ軍事国家になりましたから高位の魔道士が何人いてもおかしくない。」
んー・・・・・と? つまりこの世界は今、世界戦争状態みたいになってるってことか?
それで強い力が必要で神獣に手を出そうとしたけど止められた、と。
「なるほど、随分と面倒な状況になっているようで。」
「えぇまったく。しかし女王に手を出された上にイーリオスも荒らされた以上、もはやこのまま黙っているわけにもいきませんね・・・。」
宰相さんは考え込むように腕を組むと、やがてバツが悪そうな顔をした。
「・・・・・・・その、非常に言いづらいのですが・・・。」
「はい? なんでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・あなたたち、私達と共に戦ってくれませんか?」
「・・・はい?」