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魔法使いは妻子持ち

プロローグはもうちょっとだけ続くんじゃ。

焦りから反転、一気に冷静になった。

イキナリなに言ってんだこの人。魔法使いなんて現実に存在しているわけないでしょうに・・・あぁっ。



「なるほど、童貞さんか。」

「いきなり何言っちゃってんのこの子!?」

「お前が言うな!」



『男はね、30歳を超えても童貞だと魔法が使えるようになるんだよ。』

という偉い人の格言がある。なるほどならば納得だ。でもこの人、顔しか見えないけど10代後半くらいかな・・・でも若作りしてる可能性が微粒子レベルで・・・



「意外と失礼だなキミ・・・僕これでも妻子持ちだよ!?」

「嘘だッ!」

「本当だよ! っていうか僕今ここで魔法見せたよね!? あと死神ってなんで!?」



言われてハッとする。た、確かに不思議な光球を出して見せたけど・・・いやでもやっぱり信じられないだろ! っていうか妻子持ちかよこの人!



「そりゃだってあなた黒いローブで紅い目ですし私怖かったですし?

そんなことより妻子持ちって・・・死神さん、あなた今いくつ?」

「黒いローブ着てるのはキミもだよね? ・・・僕、これでも今46なんだけど。」

「ファッ!? 46って・・・17歳くらいだと思った!」

「えっ、それは嬉しいなぁ。僕は他の人と比べて魔力が高いから、そのせいかな。」



思ったことを言うと死神さんは嬉しそうに笑った。心なしか周りに花が飛んでいるように見える。・・・あれ、なんか可愛いぞこの人。



「っと、いい加減そろそろ本題に入らないとだよね。

どうしてキミはこんなところに? 今までどれだけ歩き回っても誰も居なかったんだけど。」

「あっ・・・・・そうだった! 私、急に床をすり抜けたと思ったら地下室にいて。どうにかして上に戻らなきゃいけないんだ。」

「あらら、それは大変だったね。まぁ魔法の誤発なんて誰でもやることだし、気にしない気にしない。次は失敗しないように頑張ればいいんだよ、ねっ!」



死神さんは両手をグッと握って相変わらず花が飛んでそうな笑顔で励ましてきた。

ん? 今サラッと凄いこと言わなかったか。



「魔法の・・・誤発?」

「あれっ、違った? キミ『さっきから防御魔法使ってる』し、間違って透過魔法使って床をすり抜けたって困ったとばかり。・・・・・あぁ、急にって言ってたね。ってことは無意識的に発動しちゃったのか。そりゃ戸惑うよねぇ。」

「魔法を使ってる!? 私が!?」



なんだそれ!? どういうこと!?

私が大きな声を上げると、死神さんは訳が分からないと言うように眼をパチパチさせた。



「えっと・・・・・キミもしかして、そもそも魔法を使ってる自覚すらなかった・・・?」

「現代社会でそんな自覚持ってるのは中二病拗らせたような奴くらいでしょうね!」

「マジか・・・じゃあ無自覚でここまでやったの? いや多分なにか媒介があるはず・・・。」

「ばいかい?」



それってあれか。上手く言えないけど、なんか物事の仲立ちをするみたいなアレか!?

魔法でそんな効果がありそうなのなんて何も・・・・・・・






あっ。





「・・・・・・もしかして、コレ?」

「そうそう、そういうの。

なるほど、隠者のタロットカードか。だから透過魔法が発動したわけね。」



死神さんは納得したようにうんうん頷いた。

わ、私はさっぱり分からないんですがそれは・・・。



「えっと・・・とりあえず、このカードは魔法に詳しい死神さんが持ってた方がいいですよね?」



よく分からないけど、きっとコレは私なんかより魔法に詳しい人が持っていたほうが色々と良いんだろう。そう思ってタロットを差し出したら、死神さんは両手を振って拒否をした。



「止めた方がいいよ。今多分それを手放したらキミ死んじゃうから。」

「えっ!?」

「この場所、地下の癖に通気口がないみたいで空気が悪いとかそんなレベルじゃないんだよね。」



あっ・・・そういえばそうだった!

ここを探索しているときに気になってたじゃないか! どうして忘れてたんだ私・・・ッ!



「そのせいで今この場所には酸素がない。今は隠者のアルカナがキミを守ってくれてるけど、そのカードを手放して普通の人間に戻ったらキミは5秒経たずに死んじゃうよ。」

「なにそれ怖い!」



でも人間は酸素がないと生きていけない。昔なにかのテレビで酸素がなくなった世界を再現していたのを見たことがある。アレはまさにこの世の終わりだったな。

あんな風には絶対になりたくない・・・・・・!



「でもソレは元々防御用の魔法じゃないから・・・もうすぐ効果が切れちゃうみたいだね。」

「うえぇぇぇぇっ!? そっ、そんな・・・・・!? どっ、どうしたらいいの!?」

「んー・・・とりあえず適当な場所に逃げようか。僕に掴まってくれる?」



そう言って死神さんは右手を差し出してきた。

ここで縋らないという選択肢はない。私が飛びつくように手を取ると、死神さんは何かをブツブツと唱え始めた。



『我、焦がれ望むは新たなる大地。新たなる風。

汝、我が契約に従いし我らを誘わん―――新たなる世界へ!』



瞬間、世界が光に包まれた。

魔法の詠唱とか、どうやって考えたらいいんだ!!


ポンポン思いつく人すごいです。でも今回は詠唱呪文を出さなきゃなんだよなぁ・・・(白目) なんでこんな設定にしたし自分。

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