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Eクラスの最強魔法師  作者: 紙切虫
六夜スロウス
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第一話《六夜スロウスⅠ》

ーー魔法。

それは、幻想的である、空想のもの。

しかし、それは幻想的ではあっても、この世界では空想のものでは無い。

月読(つくよみ)魔法学園。

此処では、成績は通常の科目に加え、魔法科もある。そして、成績でクラス分けをする学園。

そして、その最低クラスの少年ーー《九々津 (くくつ) 六夜(ろくや)》は、屋上で寝ていた。そして、それを見下ろす人影が一つ。


「……Zzz…………」


「……爆睡し過ぎですよ、先輩」


見下ろしているのは、九々津の後輩の《竜胆(りんどう) 刹那岬(せつなみさき)》。一年生の、Aクラスの優等生だ。

九々津とは、入学式と時に知り合った。

その九々津は、寝息を立てて爆睡している。


「起きて下さい、六夜先輩!」


ビシリ、と心地よさそうに寝ている九々津の(ひたい)に、鋭いチョップを入れる。


「ぐあっ!?」


その痛みに、九々津は飛び起きた。だが、まだ寝ぼけている。


「……ふぁ……もう昼休みか?」


「六夜先輩。寝ぼけてないで起きなさい」


まるで保護者のように、九々津を叱る刹那岬は、寝坊がちな兄を起こす妹のようでもあった。

目をこすり、九々津はまた寝る態勢に入った。


「だから寝ないで下さい! 授業中ですよ!」


「いでっ!? なにすんだ刹那岬」


「それはこっちのセリフですよ、六夜先輩。授業は?」


「怠いからサボってる」


「いけません!」


マイペースな九々津と、真面目な刹那岬。

この二人は、何処かちぐはぐながらもかみ合っている。


「だいたい、そんなこと言い出したらお前はどうするんだ」


「私は賢いからいいんです」


九々津はげんなりした様子を隠そうともしない。

ひょっとすると、かみ合っているのはちぐはぐでは無いかもしれない。本当に、兄妹のようだ。


「はいはい……おっ、と」


重たい身体を無理矢理に起こすと同時に、昼休みを告げるチャイムが鳴り響く。


「よっしゃ。メシだメシ」


「はあ……。仕方ないですね。午後からはニ限とも魔法科ですから出て下さいよ?」


「わーったわーった。じゃあな」


そう言って、校舎内に戻ってしまう九々津。あまりにもマイペースな彼はどう見ても。


最強の魔法師には、見えなかった。

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