目覚め
『時は満ちた。』
ドクン…ドクン…
…ん、なに?
ドクン…ドクン…ドクン…
息苦しい…
ドクン…ドクン…ドクン…ドクン…
…やめて…来ないで…来ないで!!!
ピピピピピピピピピピピピピ…
「っ!!…はぁ。」
寝汗で前髪は額に張り付いている。冬なのに嫌な汗が体にまとわりついていた。
今日もまた変な夢に起こされる。まともに眠れたのはいつのことだろう?
時計を見る。まだ午前3時過ぎ。…なんでこんな時間に目が覚めるんだろう?あれだけ眠ることが大好きだったのに…。昔ならこんなことありえない。余裕で12時間以上眠りつづけることができたのに。
顔に張り付いた髪を手で避ける。…改めて気づく。こんなに汗をかいていたなんて…。
「…着替えよう。」
あまりの汗に、パジャマは湿っていた。このままでは風邪をひいてしまう。そう思った私はクローゼットに手をかけた。
その瞬間…。
『時は満ちた。』
どこからともなく、声が聞こえた。それは外からなのか、はたまた私の中からなのか…それでも確かに聞こえたその声が、全てを明らかにしてくれた。
時は満ちた
うん、そうだね。
全てが腑に落ちた。私、遙の言った通り、選ばれた人なんだ。ユウマが選んだのは私だった。
遙か昔の記憶が今鮮明に蘇る。そう、あれは私が七つの時…。