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約束  作者: りっこ
第6章 気付かぬ想いに気付いた時
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冷静な判断=ともちん

「茜!?」








私は遙を殺してしまったんだ……。


生気の感じられない遙の顔をじっと見つめる。人を殺すということは、こういうこと。その人の命を奪うということ。その人が生きた時間を止めること。流れるはずだった時間を、出会うはずだった人を、全て奪うこと。


この手で。遙の命を。奪った。…私が?


「…嫌だ。遙…嫌だよ。」


もう遙と話せないの?もう遙って呼んでも、私を見てくれないの?もう…一緒に笑うこと、できないの?


ぎゅ…と遙の襟首を掴みあげる。

そんなのは許さない。私まだ、謝ってもらってないんだから!!


「バカ遙!!あんなことしといて一人さよならとか絶対許さない!した理由も聞いてない!謝罪も聞いてない!!このまま一人で行かせてなんかやんない…!!」


顔面蒼白の男の襟首を掴んだまま揺さぶる…なんて、非人道的なこと普段はしない。…と、思う。でも今は何が何でも私の声を遙に届けたかったから。絶対このまま行かせたくなかったから。


「茜!?」


ふいに声がした。振り返るとそこには…皆の姿があった。


「とも…助けてっ!!遙が!!遙を助けて!!」


「遙?…っ龍太窓壊して!雅史、風!!ついでに玉木!!」


空に浮かんだままの観覧車。それなのに皆が窓の外に集結している。よく見たら風の力で浮かんでいるようだった。


ともちんの一声で皆動いた。


龍太の土が地から私達が乗る観覧車目がけて隆起し、窓を打ち破る。その破片が飛び散らないように風で威力を止める雅史。もしもの時のために私と遙に結界を施してくれる玉木。


「派手にやったな~。肋骨折れてる、これ。」


…冷静に遙を診る悠斗。(なんでわかるんだろ、そんなこと…)


「雅史、風で遙揺らさないように別荘に運んで。玉木、あんた仮にも防御系なら治療系もできなさいよね。茜、あんたも早くこっちに来な。とりあえず皆別荘戻るわよ。」


「んな無茶な…。」


無理難題を申し付けられた玉木がぼやいたが、目は真剣だった。


「とりあえず応急処置だけしとこっか。あとは医療班呼ぶよ。」


「おー、多分俺できるわ。翔しっかり手伝えよ?」


「勿論!」


「お前ら邪魔だ。そこにいたら通路が塞がる。」


ともちんが的確な指示を出してくれる。


皆それに従い、別荘へと戻る。


誰も…誰も何も聞かないでくれた。


なんで遙と私が一緒だったのか。なんで観覧車の中でこんなことになったのか。正直ありがたい。今聞かれてもきっとうまく答えられない。


今は遙の無事だけを祈っていたい。


…遙…!!

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