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約束  作者: りっこ
第6章 気付かぬ想いに気付いた時
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龍太のテーマパーク☆

「ここ、龍太のテーマパークなんですよ。」







木々は風になびき、耳に涼やかな葉っぱの音を届けてくれる。近くには川が流れており、少し歩けば圧倒されるような滝だってあるそうだ。息を吸い込むと自然の力がそのまま入ってくるような、そんな気さえする。…猛暑猛暑と騒がれる昨今だが、ここは比較的涼しい。


私は現実から飛び出し、優雅な一時を別荘で過ごしている…。


バッコーーーン!!!


「また意識飛ばしてただろう?」


「いった…痛い!メガホンは頭を叩くために存在してるんじゃないんだよ!?」


現実逃避をしている所に、雅史が振り下ろしたメガホンが炸裂する。油断していただけにかなり痛い…。くそぅ…。


「白田…諦めろ。底辺の俺らに発言権はない…。」


隣で同じく机に向かう玉木が呟く。彼の背後には竹刀を持ったともちんの姿があった。


そう…私達は今、別荘という名の監獄にいる。


「あうぅ…せっかく追試パスしたのに…」


「あら、茜のための勉強合宿じゃない。今後あんな点数をとらなくていいように、ね?」


「俺らも受験勉強になるし☆」


「嘘だ…悠斗が勉強してる所なんて見たことないもん。」


「仕方ないよー!だって宿題終わってないの二人だけなんだし。」


「いや…お前らが終わらせるの早いだけだろ?まだ夏休み半分しか過ぎてないのに…。」


「先輩…そこ間違ってません?」


「え?どこ?…あ・」


「後輩に突っ込まれるとは…一からやり直しだ。宿題が終わったら次は新しい問題集を解いてもらう。」


顔面蒼白の私と玉木。こんなことになるなんて思ってもいなかったよ…。




見事追試をパスした私に、仲間たちは温かい言葉をかけてくれた。けど、夏休みをどう過ごすかについての話し合いをしている中、雅史がいらんことを言い出したのだ。


「学生の本分は勉強だ。よっていくら夏休み返上を免れたからと言って、浮かれて騒ぐわけにはいかない。…おい、聞いてるか?そこのお前らだ。学力底辺のお前らに言っている。…よく聞け。夏休み、満喫するのは大いに結構。しかし、だ。その前にやるべきことはちゃんとやること。…わかったな?」


…どこの教育ママですか?教育者の回し者ですか??一体何者なんですか???


そんなこんなでとりあえず夏休み前半は各々やるべきことをやり、お盆辺りに龍太有する別荘へ行くということで、話し合いは落ち着いた。


…が、本当に宿題終わらせてくるなんて誰が思う?結構な量だよ?


私、そして玉木の二人だけが宿題を終わらせることができなかった。その結果、別荘でスパルタなうですよ…。なんてこったい…。


「早く終わらせて遊びに行こうよー!遊ぶためにここにしたんだから!」


龍太が机の上に積んである宿題を指で弾く。…そうだよね、暇だよね…。うぅ、ごめんなさい…。


「しっかしよくこんなの作ったわね…。あんたの娯楽用?」


「ここはね。新しいテーマパークの試作品ってことでもらったんだ。」


「普通に迷いそうですよね。マップとかあるの?」


「あるよー。けどまだ未開発ゾーンとかもあるから完成はしてないんだ。はい、これ。」


「何?何の話?」


皆の会話が耳に入ってきて、勉強を一時中断する。またもや雅史のメガホンが飛んできたが、今度は回避することに成功した。


「ここ。これだけの広さなら一日じゃ回れないわよね。」


「係員とかは駐在?この規模だと相当人数いるだろ?」


???

何の話?


「駐在じゃないよ~。全部自動で動くんだ。人件費削減ってことと、作業の効率化を図るための今までにない新しい施設って言ってた気がするなぁ。」


????

ついていけてないんだけど…本当に何の話?


「このマップ…完成してないにも程があるよね?何この「?」の多さは…」


遙が顔をしかめる。その手には紙。


「何があるかわかんない方が修行にもいいでしょ?ここは僕の所有だから存分に力使っていいよ~。人もいないし。疲れたら普通に遊んでいいしね!」


「…ねえ、一体何の話してんの?」


「ここに来るまでに通ったじゃない。見てなかったの?」


「や、船酔いで車の中じゃ死んでたもんで…。」


遙が机の上に持っていた紙を広げてくれた。そこには絵が描いてある。遊園地とかでもらうマップのような…いや、マップそのものだ。違う所と言えば、「?」記載があること。


「ここ、龍太のテーマパークなんですよ。」


…遙の言葉に目が点になる。テーマパーク?龍太の?


………いや、ごめん。は?なんて??


私…一体どんな人達とつるんでいるんだろう…?

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