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約束  作者: りっこ
第5章 個々の能力
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玉木の場合

今、何のために力を欲するか?そう聞かれたら、俺は迷わずこう言うよ。俺は俺自身を守るために力が欲しい。









俺…あいつのために何ができるんだろう…?



そもそも俺の力って何?春日と二人の時は…まぁそれなりにあいつの役に立ってたかもしれないけど。でも…今は?今、俺は…何の役に立つって言うんだ?



雅史みたいに風を操れるわけじゃない。悠斗みたいに人の心、今はない心を読み取れるわけじゃない。春日みたいに心の支えになれるわけでもない。龍太みたいに気分を上げてやることもできない。遙みたいに痛みを分かち合うことさえできない。


なんか…俺って、もっとあいつの役に立てると思ってた。


変な力とか…ぶっちゃけ嬉しかった。あいつとの共通点っつうか…仲間だって思ってもらえるなら、それでよかった。だけど、今はユウマの事情だかなんだか知らないけど、人が増えて…具体的に俺の力って何?って…なるよな?俺以上に強い力を持つ奴が現れてんだからさ。


そもそも俺の力って最初だけしか役に立ってなくないか?そもそも俺の力ってなんなわけ?もう…卑屈になってんなーってわかるけど、俺、ちゃんとあいつの役に立てるわけ?傍に…傍にいていいわけ?


…とかなんとかめんどくさいこと考え出したらきりがないっつーか…。


…あー…だめだ。俺…やっぱあいつが好きだ。何もしてやれないかもしれない。足引っ張るかもしれない。そうわかってても…今更離れることはできない。ましてや今、あいつが明らかに危険な目に遭うかもってわかってて、離れるなんてできない。もしユウマの課したノルマに到達できなくても、だとしても…絶対離れない。もし俺に何の力がなくてもあいつの盾になることくらいならできるだろ?…だから…傍にいさせてほしい…。



なんて…馬鹿正直にあいつに話せば、きっと「お前なんか必要ない」って切り捨てられると思う。あいつは…仲間を大事にすると思うから。盾になるとわかってて傍に置いてくれるような…そんな奴じゃないから…。そうわかってるから…俺は俺の力を手に入れる。じゃなきゃ傍にいることさえ許してもらえないから。


あいつの盾になるんじゃない。自分自身守るための力。それがないと、あいつの側にいさせてもらえないから。


今、何のために力を欲するか?そう聞かれたら、俺は迷わずこう言うよ。俺は俺自身を守るために力が欲しい。


俺は俺を守れて初めて、あいつの側にいられる。俺自身を守る力があるとわかれば、傍にいることを許されるから。だから今は、あいつを守るための力よりも、俺自身を守る力を欲するよ。


だからどうか…俺の中で眠る力…俺の想いに応えてくれ…!!


そう思いながらずっとこのジャングルの中を歩き続けた。だけど…特に変わったことなんかなくて…どんどん焦りが生まれた。




モシカシテコノママ…チカラノナイママナンジャナイダロウカ…??



それは俺にとってあいつとの別れを意味する。そんなこと…耐えられるわけがない。どうか…どうか俺に力を…守るための力を!!


そう思っていた。その想いにとらわれ過ぎた結果、何が起こるかなんて…全く考えなかった。考えられなかった。


俺の心を占めていたのは…違う問題だったから。


焦る俺に近づく不穏な影…徐々に蝕まれていく心に…俺は気付けないでいたんだ………。

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