龍太の場合
(…できる!!)
…なんかさ、皆何かしら力あるみたいだけど…
僕の力って…何なんだろう…?
僕だって茜ちゃんの手伝いがしたい。だけど…僕の力、それって…?
友達がこんなことにならなければ、幽霊なんて存在信じなかった。そんなのいるわけないって思ってたから。
でも実際いるってことがわかって、じゃあ手伝おう!!そう思っても…何をどうしたらいいのかわかんない。
ユウマは皆に力があるみたいなこと言ってたけど…僕今まで一度だって特別な力を感じたことない。
これから…なのかなー…?
うーん………
ま、考えてても仕方ないか!僕は僕なりに頑張ればいいんだし!
とにかく言われた通りに自然を感じてみよう。
………
……
…
…??やっぱりわかんないや。しっかし…悠斗の島はすごいなー!!こんなに自然に溢れ…ってるっていうか無法地帯…。まさにジャングルだなー。
そういえば僕、父さんに連れられて昔アマゾンに行ったことあるなー。あの時は大変だったけど面白かった…ような気がする。小さかったからあんまり覚えてないけど。見たことない生き物いっぱいいたし、歩いてて生き物に出会わないことがなかったなー。
ここにも同じ雰囲気を感じるや。
……探検、してみよっかな…?
わー…生き物の気配をいっぱい感じる。
想像以上に自然に溢れてるな。いじってない森林はぐちゃぐちゃに命の望むまま育ってる。その一つ一つから溢れんばかりの命の音が聞こえる…気がする。…あれ?僕ってこんなに感覚鋭かったっけ?
いつもと違う感覚に、意識して自然を感じようと目を瞑る。
……うん、やっぱり。これ…第六感っていうやつなんだろうか?これが僕の力?…いや、違うよね。こんなんじゃ何の役にも立たないだろうし。
もっともっと…もっと深く意識を集中させてみよう。
僕は地面に手をついた。掌から命の音が流れこんでくる。…だめだ。感じるだけじゃ…。僕が欲しいのはその先にある力なんだ…。
掌が熱くなる。土の温度が急上昇していく。なんか…今ならできる気がする。
未だかつてこんなに集中したことがあっただろうか?感覚が研ぎ澄まされていく。葉の擦れる音ですら耳によく響いて鼓膜が痛い。
(…できる!!)
僕の意識と土の意識が融合する。僕は土で…土は僕。
ドゴゴゴゴゴゴゴゴ………!!!
僕の手が触れた位置から、土は二つに裂けた。それはとても浅い…十数センチ程の亀裂だったけど、確かに僕が土に働きかけたことによって起きた現象だ。
「そうか…僕は“土”なんだ…。」
自分の力が見えてホッとすると同時に嬉しくなる。これで茜ちゃんの役に立つことができる。
もっともっと集中できたなら、もっともっとすごい力になるのかな?
待っててね!茜ちゃん!僕、頑張るから!!