遙のキャラ変
「ねえ先輩…本当にどうしたの?」
ユウマが私に合宿を提案してから1か月…。私は未だに皆に話せずにいた。
「どうした?最近元気なくないか?」
そんな私のことを玉木が心配してくれる。
「先輩、悩み事なら俺に言ってよ。玉木先輩にじゃなくって」
「お前…なんなんだよ、一体!?」
「いいライバルができてよかったな、翔☆これで張り合いってもんが出てくるだろ。」
「なっ!?ライバルってなんだよライバルって!?違う!違うからな!!」
「…明らかに動揺してるな。」
「…わかりやすいねぇ。」
「えー…じゃあ先輩は俺がもらうってことで。」
「なんでだっ!!!!!」
「うるさいわね、いい加減黙りなさいよ?」
ともちんの一言で喧噪は一気に静まる。…ありがたい。
あのサプライズの日から遙の態度…ってか性格?がかなり変わった。…やたらと私に付きまとう。キャラ変しすぎでしょってくらいに…。そして玉木につっかかってる場面が多くなった。
「遙さー…どうしたの?明らかに違いすぎて…どこをどう突っ込んでいいのかわからない…。」
私のことが大好き☆って態度を崩さない遙に一度そう聞いたことがある。ネタにしてもやりすぎてついてけない…。
「感情ってこんなにいいもんだとは思わなかったよ。今まで抑制されてた分が一気にきたってかんじする。…先輩、俺のこと嫌い?」
…なんだ、その明らかに計算された上目使い。お前はどこぞの女子か!!きっと私よりもかわいげあるな、こいつ…。
「いや、嫌いとか…今そんな話してるんじゃなくて…」
「じゃあ問題ないじゃない。こんな気持ち初めてなんだ。俺は俺のしたいようにさせてもらうよ。」
…そう言って笑う遙。…この子かわいいんだよなー…。それはわかってる。認める。かわいい。…だからって好きとか嫌いとか…恋愛としてはよくわからないのが私の現状であって…。遙の本気度もわかんないし…まあ、そこまでの害ないからいいんだけどね、別に。(玉木はいつもからまれてるからきついだろうけど…。)
「ねえ先輩…本当にどうしたの?」
帰り道にそう聞かれる。遙はほぼ毎日私を家まで送り届けてくれる。別に平気だって断ってもうまくかわされて今日まで至る。今じゃ一緒に帰るのが当たり前…ってなってるかも。
「いやー…うまく説明できなくてね…。なんて伝えたらわかってもらえるのか…結局私の問題になってしまうから…わかんないんだー…。」
…遙には素直に言えるな。やっぱり同じ霊媒体質?だからかな…。何言っても汲んでくれそう。
「あー…ユウマって人のこと?まだ全然解決してないもんね。あれからなんか言ってきたの?」
「すぐだよ。でもさー…意味わかんないし、相変わらずだんまりだし…。またこんなのに皆巻き込むのもどうかと思って…せめてユウマの意図がわかってから動かないとだめかなって試みてるところなんだけど…なかなかうまくいかないんだよねー…。」
「なんて言ってきてるの?」
「うーん…それがさ、皆を合宿に誘えってさ。目的教えてくれない限りは却下って言ったんだけど…口開かないんだよね…。」
「ふーん…でもさ、時間ないんじゃないの?」
「あんまり…って、なんで知って…」
「んー…なんとなく?だからさ、やれることは今のうちにやっとこうよ。先輩が言えないんなら俺が企画するし。きっと彼も悪いようにはしないでしょ?」
「う…ん…そうかなぁ…?でも遙、いい。自分で言うよ。これは私とユウマが巻き込んだことで始まったことだから。人任せに乗っかるわけにはいかない。」
「…先輩ってさー…変なところで律儀だよね。」
「は?変なところでって…それ完璧褒めてないでしょ?」
「いや、褒めてるよ。十分褒めてる。」
…そんな言い合いをしていると我が家に着いてしまい、遙は手を振りながらUターンしていった。…うん、なんとなく楽になったかも。ありがとう、遙。
明日、ちゃんと皆に話してみよう。きっと全部を理解してもらうには、私は言葉足らずだと思う。だけど、ちゃんと自分の言葉でユウマとの関係や約束のことを話さなきゃいけない。それで協力してほしいって改めて言うんだ。