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約束  作者: りっこ
第4章 名をもって
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部の存続

「遅い!!」


私と玉木が部室を訪れたのは7時を回った頃だった。迎えたのはメガネの一喝。



バレンタイン騒動の後、なんとか見れる程度には片づいた部室。広さも今ちょうどいい。教室の3分の2ほどの部屋に、結局捨てられなかった衣装置き場のスペースを作り(何に使うんだと散々止められたけど…ごり押し成功)、座り心地抜群のソファー2つ、少し広めのテーブルに冷蔵庫…部室は一般的なリビングと化していた。(皆が持ってくるものはいちいち高価そうで…うちで使ってる家具より絶対ランク上!!かなり上!!)


さすがにテレビはまずかったみたいだけど(1回悠斗が持ってきてたっつんに説教くらった)現段階ですごく居心地がいい場所になっている。


ここに人数増えるのかー…あんまり考えたくないなー…。メガネ一喝を聞き流して、部室を見渡す。うーん…悠斗が留年したらいいのに…。


と、悠斗を見る。今は大人しくスマホでゲームをやっている。


…あの告白からともちんへの悠斗の態度は一転した。うざいくらいにつきまとっていたのに、今じゃ全くそんな気配がない。別に避けてるとかでもないんだけど、あまりに普通の態度過ぎて調子が狂う。ともちんらぶってかんじが微塵もなく、普通の友達みたい…あの告白はもしかしたら夢だったんじゃ…と疑うほどだ。


ともちんの気持ちを聞いているから、悠斗のその態度に初めは抗議しようと思った。あんた、どういうつもりさって。でもそれをともちんに止められる。


「ちゃんと自分で考えたいから、何もしないで。」


そう言われちゃ…何もできん…。


うーん、複雑。


そんな私の気持ちを知ってか知らずか、ともちんが今日集まった目的である、勧誘について切り出した。


「部活動紹介やるのもなんだかねー…うちの男共はルックスはいいから、変なのが釣れそうで…」


「確かに…皆この見た目に騙されるからね。厄介だ。」


「おい、こら、ちょっと待て!性格まるで否定!?」


「俺顔いいからなー。ファンがいっぱい来ちゃうかも。」


「外見だけ見て騒ぐ奴にろくな奴はいない。」


…唯一玉木は性格もいいかも。


でもほんとどうしよう…


皆で頭を抱えていると(真剣に考えてるのどれくらいいるんだろー)部室のドアが空く音がした。やってきたのは…たっつんだ。


「おまえら、まだ残ってたのか。明日は入学式だぞ。ぼちぼち帰れ。」


「いやー…部の存続問題を話し合っててさー」


玉木がうなだれる。…少なくとも彼はちゃんと考えているようだ。たっつんはきょとんとしている。いや、いやいや、顧問よ、そこ重要よ?(人のこと言えないけど)


「存続?なんの話だ?」


「だーかーらー、悠斗が抜けたら4人しかいないじゃん。ってことは部活として成り立たないわけで…」


「新入部員がいるだろ。」


「そのことで話し合ってて…こいつらの顔でミーハーな子が殺到してもなーって言ってるんです。」


「でも部活動紹介しないと廃部でしょー?うーん…覆面してやる??」


「却下。俺はそんなん絶対にやらん!!」


「は?そんなもんやらなくったって部員足りてるだろ。現段階で6名いるんだから。」


…今度は私たちがきょとん顔。えーっと…私、ともちん、玉木、悠斗、雅史…5人だよね?


「まさかたっつん、自分含めてたりしてー。」


「んなわけあるか。とにかく部活動紹介なんて特にしなくていいぞ。さ、帰った帰った。」


そういうかんじに部室を追い出されて…うーん、どゆこと??


「まー…とりあえず部活動紹介まであと一週間あるし、今日のとこは帰るか。」


玉木のその一言で今日はおひらきとなった。しかし…うーん、私たちが知らないうちに誰か入部したってこと??…いやいや、知らないとかあるわけないしな。


ぐるぐる疑問でいっぱいの頭のまま、眠りについた。…わからないこと考えてる時ほどよく眠れるのは私だけじゃないよね、うん。

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