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約束  作者: りっこ
第3章 食い倒れ部発足
31/111

リフォーム

「料理研究会…ねぇ。」


すっかり平和になった教室でしみじみとともちんが呟く。朝からはやっぱり皆に囲まれた…どういう関係とか…彼のこと教えてー!!とか…。でも聞かれても名前とチャラいってことしか答えられなくて…。幸いなことに皆面白半分だったようで、私たちから何も情報を得られないことがわかると落ち着いてくれた。(ただ何人かの女子は悠斗とともちんの関係を最後まで聞きたがっていた…。)


昨日発足した私たちの部活、料理研究会。顧問はもちろん龍塚先生。何をするのか…というと、まあ、何もしない。放課後ただお茶をするってだけ。…そんな部活、よくOKでたな。


「部活と言えば部室だろ~。」


「…部活と呼べないようなこんな部に部室なんてあるわけないだろ。」


「それがあるんだよ。第3校舎(別名部室棟)の一室を使っていいんだと。」


「…たっつん、校長に何言ったんだよ…。」


「ちょっと待って…。私部活なんて入らないわよ?」


「何を今更。十百香は選ばなきゃいけないんだぞ?四六時中俺につきまとわれるか、部活の間だけなのか…さあどっちを選ぶ?」


「部活…しかないよな。」


「翔くんだまらっしゃい。」


「…できることならば私の前から消えてほしい…。」


「先生、ほんとにお茶するだけの部なんですか?てかなぜにお茶?(嬉しいけど…)」


「楽だろ?お茶菓子調達も活動内容に入ってるからな。」


「げっ…めんどうじゃんか…そもそもなんで料理研究会にしたんだよ?もっと楽そうな部活にすればよかったじゃん。漫研とかさ。」


「決まっている。食べたいからだ。」


「うーわ…まるで白田と春日を見ているよう…」


「俺は副部なんてやらないからな。玉木、お前一人で勝手にがんばれ。」


「そうか…副部長が嫌なら財前は鷹司の世話役な。」


「…副部でいいです…。」


…昨日の放課後、こんな話をしていたんだ。(数が多くなって誰が誰だかわからないかも…でもまぁそこは想像にお任せします。多分誰が何言っても話は問題なく進んでいくんで。でも部活を条件に悠斗が話を呑んだことが不思議だった。彼なら部活という口実がなくてもなんだかんだで放課後もつきまとうような気がする。そう思って帰りしな龍塚先生にこっそり聞いたんだ。すると先生はニヤリと笑って教えてくれた。


「合宿とかも活動内容に入ってるから、春日と一晩過ごす…ってこともあるかもな。…と言ったら釣れた。」


うーわー…ともちんが知ったら激怒しそう…。てか先生がそんなこと言っていいのか…?


まあそんなわけで、今日はその部室のリフォームをする予定なのだ。約束通り放課後まで悠斗は教室へ押しかけては来なかった。だけど…明日はバレンタイン。何度も私たちは女子に囲まれる羽目になった。もちろん目的は悠斗・雅史・玉木(これ意外だった!)の情報。


突然現れたイケメンにチョコをエサにお近づきになりたいのだそうだ。そこで甘いものは平気か、どんなチョコが好みか…とか聞かれたんだけど、もちろん知る由もない。冬休み中の食事で2人ともデザートも食べてた気がするから、甘いものが嫌いってわけでもないだろうけど…チョコが好きかどうかは返答しかねる。前者の二人については割とミーハーなかんじで聞かれたんだけど(まあ昨日突然出てきたからそんなもんでしょう)、玉木に関しては割と本気な子がいたりもした。どっちにしても答えられるようなことは知らない。力になれず申し訳ない…。


…と、モテる男子が入っている部活なだけに、入部希望者も続出するだろうと思っていたんだけど(なぜか昼には皆私たちの部活のことを知っていた。…噂回るの早い)、そうでもなかった。


活動初日、私たちはまあいつものメンバーでリフォームに取り掛かる。ここ10年は使われてなく、物置と化していた部室を掃除するのは大変だ。まずは男性陣が大きいものを廊下へ運び出す。以前ここは演劇部の部室だったらしい。なので衣装もそのまま残っている。廊下ではともちんと一緒にロッカーの中身を整理していた。…衣装の派手さに驚くばかりである。


「見てこれー!ジュリエットの衣装っぽいよ。あ、こっちは大奥チック…あ、これ…白鳥の湖だ!股間にアヒルがついてるwww」


部費を全て衣装に使ってたんじゃないかな。大量の衣装を漁りながらギャグ要素の強いものを選出していく。こういうの楽しいよね。


「茜…掃除…。……ん?これ…この衣装……」


ともちんが数多くの衣装の中からひとつを手に取った。気に入ったのかな??そのまま数秒間固まってしまった。


「…?ともちん?どうかした?」


私が声をかけるとようやく顔を上げた。…一瞬焦点が定まらなかったみたいで、軽く頭を振る。…気分でも悪くなったのかな?ホコリすごいし。


「…ううん、なんでもないの。…なんでも。」


にっこり笑うともちん。それならよかった…と、私は再びおもしろ衣装を探し出す。今度はバニーガールの衣装を発見した。これだけならおもしろくないんだけど…なんと男性用!!…これを誰に着せるか…私はそんなくだらないことを考えていた。


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