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約束  作者: りっこ
第3章 食い倒れ部発足
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転校生

「もうすぐバレンタインだね!」


教室で一部の女子たちがそんな話題で盛り上がっている。私としては信じられない。なぜなら…今は学年末テスト中なんだから!!いつだってぎりぎりに生きてる私にとって、チョコとかそんなもの…くぅ…食べたいけども!!


テストも残すところあと1日…土日挟んで次の水曜がバレンタイン。渡す相手は家族とともちんぐらいだし、この余裕ない時にバレンタインの話題なんてしてられない。今はそんなことよりテストに集中!!


うー…撃沈…。明日は一番苦手な数学です…。数字ってさ、ミミズのように見えてくるんだよね。公式あてはめれば解けるって言うけどさ、そんなに簡単じゃない。公式なんていっぱいあるじゃん!…全部覚えてないしね。


「帰らないの?」


テスト期間中だというのにいつもと変わらないともちん…普段から勉強してる人はテスト期間中だからといって何かが変わったりしないのかー…。そりゃそうか。焦る必要ないもんね。


「家に帰ったら絶対寝ちゃうから…もうちょっと勉強してから帰る…。」


ともちんにさよならを告げる。私も帰りたいのは山々なのだよ…。でも自分が悪いから仕方ないんだよね…はぁ~。


教室の中は人がまばらになる。図書室で勉強する人と家で勉強する人の方が遥かに多いから。ざっと私を含め5~6人が残ってる。


はっ…いかんいかん。観察してる場合じゃない。私はこの問題を解かなくてはいけないんだ!!再び問題へ挑戦する。…うーん、サインコサインタンジェント…2R…うん、えっと…正弦定理を使えばいいんだもんね?…うんうん、…うん?…やば、ミミズに見えてきた…こうなると睡魔が近いってことで…


バコッ…


頭に衝撃が!!…なんか辞書の角っことかのあの、痛い部分で頭を殴られた気がする…!!


しばらく痛みと格闘してから、ようやく顔を上げると…そこにいる人物に仰天する羽目になった。


「なななな、なんでいるの!?」


私を冷ややかに見下ろしているのは…そう、メガネ男子こと財前雅史。お金持ち校に通っているはずの彼がなぜここにいるんだろう?あ、やばい。驚きに任せて叫んでしまった…。ここには勉強している人がまだいるという…のに、ってあれ?いつのまにかちらほらいたクラスメートがいなくなっている。ここには私と雅史しかいない…。ぎょっとして窓の外を見ると…大分日が落ちていた。…一問解くのにどんだけ時間かけてるんだろう…明日の数学はきっと壊滅的に違いない。


「そこ、俺こないだ教えたところだよな?」


冷たーい氷のような声が私の心をズタズタにしていく…。そんなこと言われたって!!わかんないもんはわかんないんだって!!


「だから、円の半径をRとしてsinAが……」


うんぬんかんぬん。……………………………はっ!!わかった!!だから答えはルート3!?恐る恐る魔王(雅史)を見上げる。…ほっ、当たってた。雷落ちずにすんだよ。…て勉強教えてもらうんじゃなくって!!なんでここにいるのかってことを聞いたんだった!!


「なんでいんの!?他校生が無断で校舎入ったら怒られるよ?」


「あっ茜じゃーん!!」


またもや驚く人が登場する。…チャラ男までいるではないか!!なぜに!?口を開く前にぺらぺらと教えてくれる。…チャラ男、便利かも。


「いやー、俺やっぱり十百香のこと忘れらんなくってね?…転校してきちゃいましたー!!」


さらっと信じられないようなことをぬかす…。は!?事態が飲み込めずに雅史に救いの目を向ける。ため息をつきながら、途方もないことを告げられてしまった…。


「今日は転入手続きに来た。本来なら俺たちがすることじゃないが、悠斗がどうしてもって聞かなくてな。週明けからこの高校に通うことになった。…しかも同じクラス、だ。」


「マジで!?チャラ男も!?」


「ちょ、茜、俺の名前もしかしなくても覚えてなくない!?ひでーなぁ…」


「悠斗は違う。…お前、本当に他人に興味ないんだな…。悠斗は俺たちの一個上だぞ。」


「え!?先輩!?」


驚愕の事実に唖然とする。まさか先輩だなんて…こんな落ち着きないのに?ちなみに最初に会った時に皆年齢も合わせて自己紹介してくれてたらしい。龍太は一個下だから転校はできずに「仲間外れー…」と項垂れていたんだって。


「俺様を敬えよ、後輩。」


そんなチャラ男…おっと、悠斗はスルーでなんでわざわざ転校してきたかが不思議でならない。本当にともちんに会いたいがための転校なんだろうか…。悠斗はありえるが雅史も?そんな疑いの目で彼を見ると、その意図がわかったようで「心外だ!!」と言わんばかりに否定してきた。


「俺はこいつに無理矢理!!社会勉強になるから…とか言って親を丸め込まれたんだよ。いつだって悠斗に甘いんだ、うちの親…。」


がっくりと項垂れる。「俺ら幼稚舎からの幼なじみだかんな。親とも仲いいのよ。」と悠斗が補足してくれた。…にしてもマジでか。ともちん、冬休み終わってすごく喜んでたのにな…。


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