力の消失
「…わかんなかったんだ…。でもなんでそんなことできるんだろ?」
コーヒーを飲みながら女子会中の私たち。お見合い相手に実際会ってわかったことと言ったら、チャラ男が気に入らないということ、ワンコはかわいいということ、メガネ男子はともちんと合わなさそうということ、九条さんは掴めない人だということ。…それぞれの印象ぐらいだった。
結局ともちんが感じていた気配については何も確証を得ることはできず…それでも何か嫌な気配はずっとするんだって。それが誰によるものなのかがわからない。
「いるっちゃいるんだよね?自分で意識して気配消してるってこと?技使ってきたかー…え、てことは前のよりもレベル高いおばけ?」
ともちんと考えをまとめようとするけれど、嫌な方向にしか向かわず思わずため息が出る。誰かわかればすぐにでもアクションを起こせるのに。
あ、てかこのままじゃともちんが危なくない?明日から一人ずつとデートするんだよね?き、危険だよ!!
そう忠告しようとしたら、ノックの音に遮ぎられてしまった。
一気に緊張が高まった室内。もしかしたらおばけ?ともちんが低い声でどうぞ、と言う。私はいつ攻撃(?)が来てもいいようにキレる(経験上、キレたら私の中のおばけの力出せると思うので)準備をしておく。
部屋の中に現れたのは…玉木だった。
…紛らわしい奴め。私たちが身構えているのを見て取ると、玉木は驚いたようだ。
「何?今回は霊じゃないってわかったんだし、そんな警戒しなくても…。」
「は!?何言ってんの!?」
ともちんが眉を寄せて正気?と言わんばかりに声を飛ばした。キョトンとしてそれを受け止める玉木。…ん?どういうこと?
「実際にあの4人に会ってみて、俺は全く何も感じなかったんだけど…。え、いた?あの中に?」
「特定はできなかったけど…こう、無理に気配隠してるような…多分相当強い力持ってる霊がいると思うんだけど…。本当に何も感じなかったの?」
ともちんの言葉に玉木はショックを受けたようだ。玉木の力がなくなった…?
「うっそ…なんで?俺だけ力なくなった…?」
戦力が減ってしまったのか?私たちは訳がわからなくて、誰も言葉を発することができない。急に強くなった力故に、急に弱まるのだろうか?でもともちんの力はそのままなのに?
とりあえず今日は解散することになった。このまま考え続けてもきっと何も浮かばないだろうから。ともちんの部屋を出ると玉木はすぐに自分の部屋へ戻らずに、呆然と立ち尽くしていた。ちょっと心配だ。励ましてやるか。
「何落ち込んでんの!いいじゃん。霊感ない方が。これからは怖いもの見なくて済むよ。」
背中を肘で小突く。私の明るい声とは真逆な非常に落ち込んだ声で返事が返ってくる。
「力なかったらお前を助けてやれないじゃん…」
…ほんといい奴だなぁ…。
だからこそ心の底から安堵する。変な力がなくなれば巻き込まずに済む。危険から遠ざけることができる。…ありがと、玉木。




