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約束  作者: りっこ
終章 
100/111

気付いた真実。

あなたじゃありませんように…。






『とおりゃんせとおりゃんせ』



私が笑わせてあげる。



『ここはどこの細道じゃ』



なんでそんなに悲しい顔をしているの?



『天神様の細道じゃ』



大丈夫だよ。私が側にいるでしょう?



『ちっと通してくだしゃんせ。ご用のない者とおしゃせぬ』



ずっと



『この子の七つのお祝いに』



寂しかったんでしょう?



『お札を納めに参ります』



私はずっと



『行きはよいよい』



側にいるよ?



『帰りは怖い』



ずっと、一緒にいて欲しいのね?



『怖いながらもとおりゃんせとおりゃんせ』








一緒にいて欲しいのに、いつだってあなたは一人。それを選んできたの。ずっと一人きり。少しの間の愛じゃ、余計悲しくなるだけ。あなたは寂しい人。


あなたは


寂しい人。








私のやるべきことがわかったよ。私は、あなたを孤独から解放するための存在なんだね。なぜ私が選ばれた?それは…


本来なら目覚めるはずのなかった潜在能力。それがあなたの目にかなった。それだけのこと。私みたいに強い力を秘めいている人はいっぱいいる。それでも私を選んだのは…あの時出会ったのが私だったから。ただ、それだけのこと。弱ったあなたが選んだのは、幼い私だった。それだけのこと…。





こっそり家を出る。誰にも何も言わずに。


そもそもの始まりを思い出したよ。私達の出会いを。


ユウマ、あなたって本当に馬鹿だ。死ぬために私を見出したんだもの。


あんたを殺す私のことなんて微塵も考えてないんでしょ?ほんとやな奴だ。どんなにやな奴だって、いままで付き合ってきた仲間じゃない。最初から私が己を殺すのだとわかっているなら、また別の付き合い方があるでしょう?例えば、がっつり敵として現れるとか。敵になって捜査(?)をかく乱するとか。


とにかく、いろいろあったはず。それなのに、普通に一緒にいて、一緒にいろんなことを乗り越えて…なんて、


なんて


なんて



いい奴なんだろ。



それを殺すの?私が?






…でもそれを望んでるなら、私との出会いが彼の望んだ末路なら、私はそれに応えよう。


全て理解した私は、こっそり家を出る。誰にも邪魔されてはいけない。だってわかったし。『私』に気付いた私は、仲間の力を自分に還元しなくても大丈夫だって。それを超える力を持ってるもの。


ユウマ、待ってるんでしょう?あの場所で。


雪の積もる、あの場所で。


私は…


あなたが見出した私が、やっとあなたの望みを叶えます。


どうかユウマ、あなたが


あなたじゃありませんように…。

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