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第24ページ::君の夢

「うぉおぉおおおおおおおっ!」

 走って来る音と煩いほどの声で、涙を出したくなるほど会いたかった人の声が聞こえた。

 ザッとエインの視界の真上を通る青いズボン。それを、確かあいつはじーぱんと呼んでいた。その後に続くように、エインの横を通り抜ける影。

 刃の打ち合う音が聞こえると、目に砂が入りそうになるくらいの突風が吹く。

「着ましたか…」

 声も出すのが辛かった。だからカッコイイ所で出てくるんじゃないわよと心の中で笑って、エインは静かに視界を閉じた。



 ◆

 華奢を連れて俺は闇を出た。久し振りに見た『世界』は、夕日に染まっていても目に眩しかった。手で影を作って軽減する。

「レイトくん、ありがとう」

 いきなり寝ているベッドの隣から声がして驚きながら横に視線を向けると、そこに裸の華奢が寝ていて吹いた。目が見開くのを堪える。

 頭を撫でると華奢はくすぐったそうに笑った。

 幸せって、こんな感じなんだろうなと実感し、ベッドの中に隠れている拳を握る。

 青い髪がサラサラとしていて、触っていて心地が良い。赤と銀色の綺麗に澄んだ瞳が火照っている頬を一層輝かせているようだった。髪をずっと撫でていると布団で目の下の顔を隠してしまい、目の潤みが愛おしさが倍増する。

「言っただろ。一緒に出ようって」と頭に乗っていたタオルを取と零人は華奢に笑顔を見せる。

 誰もいないのかと周りを見渡そうとすると華奢がくいくいと袖を引っ張る。

 その目は怯えてる事はなかった。真っ直ぐ零人を見詰め、口を動かす。

「レイトくん、近くに…闇に飲まれそうなエルフがいる。その人と戦っている人が二人。助けに行こう。やられちゃうよ」

「お、おう」

 結構実行形なのかなと重いながらも、零人はベッドから飛び起きて撃たれた部分を確認する。どうやら貫通はしてないみたいだ。魔法でも出来ない事はあるだろうから少しおっかなびっくりだったりもする。

 華奢が自分に続いて布団を出た時に零人は耳まで赤くなった。

 体は幼いけれど、白く、細い腕や脚。ウエストも引き締まっていて見惚れてしまう。一言で言えば全裸と言えるものだ。その中でも一番目を引いてしまったのが…胸の中心に刻まれている青い剣の紋章。それは痛々しい傷にも見えれば、華奢に相応しい体の一部のような気もした。

「レ、レイトくん、あんまり見ないで…」

 服がない事を気にしていたのか、彼女は手で直ぐに隠してしまう。

「っ!ごめん!」

 後ろを向くと背中に暖かい物を感じた。

 少しすると、華奢が「いいよ」と言ったので向き直る。

 零人の服を、まるで縮小したような服を着ている華奢がいる。違うのはジーパンが膝の下までのショートパンツになっただけ。白い脚が、青いズボンで一層引き立っているのは秘密だ。

「わたし、魔法みたいな事が出来るの。これもそれの一つだよ」

 少し赤くなりながら言う彼女に見惚れないようにしながら笑い返す。

 裾を押さえながら俯く彼女を見て、零人は頭を掻いた。

「じゃあ…いこ、レイトくん」

 分かっているように手を差し出すと、華奢はその手を握り、目を静かに閉じる。目を開いている零人の視界が歪む。それと同時に、堪えられなくなり、目を素早く閉じた。


 ◆

 次の瞬間には浮遊感と新しく見える情景。

 岩場が立ち並び、視界の先には戦争を繰り広げている兵士達が武器を取り、何かと戦っていた。魔方陣から炎や氷、雷が出現し、それを紙のように斬って行く大剣持ちの少女と、巨大な魔方陣を一瞬で作るクレベルディア軍の魔法使い。

 それは、物凄く怖くて、弓が刺さり倒れる兵士を見て鳥肌が立ってしまうくらいだ。

 おいおい待ってくれ。俺、戦争なんてみたの初めてじゃないかなんて事を思ってしまう。

「レイトくん、こっち。こっちから闇の感覚がある」

 同じスニーカーを履いた華奢は、零人の見ている方向と逆を指す。

「え、岩場…だよな」

「うん。向こうに、いるよ」

 どうやら、奥に道が続いているらしい。

 零人は裏腰に手を当てるとエクシールを握ろうとする。しかし、その手は、宙を握っていて、零人の口からは「ありゃ?」なんて間抜けな声が上がる。

「どうか、した?」

 華奢が首を傾げて聞いて来たので、零人は両手を前に出していった。

「武器…ないデス」

「ぶき…?」

「エクシールって剣なんだが…おっかしぃな。確かここに差してた筈なんだが…」

 ポケットや色々なところをくまなく探すが、ない。

 こんな大事な場面で剣を忘れましたなんて言ったら切腹物だろう。

「エクシール…この子の事?」と言うと、華奢は自分の服を少し脱いで、剣の傷跡のような場所を見せる。零人が慌てて目を閉じようとした時、、その目を閉じられない事が起きた。

「エ、エクシールっ!?」

 華奢の傷跡から出て来た剣のグリップは、まさしくエクシールだった。

 彼女が目を閉じてグリップを包み込むように手を浮かべるとグリップが徐々に姿を出していく。青く輝いた光から現れる剣の青は、幻想的にも感じた。

『握れ。我が主よ』

 そんな声が頭の中に響いて、気付かない内に手の平はそのグリップを握っていた。

 何かが流れ込んで来て、手が震えたが、零人は力を込めるとエクシールを華奢の『中』から引き抜く。そこには、刃があった。青く透き通る刃じゃなくて、それは…銀色に輝いて、零人の姿を鏡のように映していた。

『我が名はエクシール。レイト、貴方の剣だ』

 流れてくる声が体を突き抜けて行く。それは、体に動きを教えているようでもあった。

『闇を掻き消し、決められた運命の中でももがき続けられる力。それを、貴方に授けよう』

 心強い声が聞こえ、体を振るわせる。

「レイトくん…いこう?」

 華奢は剣を見詰めている零人の先を走って行く。

「…頼むぜ、エクシール」

 零人は呟くと、全力疾走で華奢の後を追う。その足が、羽より軽いような気がしたのは、気のせいじゃないだろう。

か、かなり置いてしまった…。

今新作を書いている真っ最中で御座います…(土下座)。

本当に申し訳ございません!

ドンドンペースアップ出来ると良いのですがねw

そんなに文力ないと…。

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