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第20ページ::エルフ進行

さぁさぁさぁ、結構間をあけたぁああああ〜〜!


で、ですが、ちゃんとやりました!

ほめて頂けると嬉しい限りだったりw

「……あれか。エルフ進行軍」

 身を隠そうとしたマントは出くわしてしまったモンスターとの戦闘中に破け、腰に据えた剣は鞘にその身を隠してはいるが、それでは意味がない。

 何時もは帽子で隠されている上の髪も風に揺れていた。

 崖の上から見る人込みは、まるで緑色の森が自ら進行しているようにも見えた。

 面白い。少女が考えた思考は、目の前の光景に狂ってしまったようにも思える。しかし、体の中が熱い。あの大群が、どれだけ自分を本気にしてくれるかが楽しみになってくる。裾の短い上着とタイツが隠している背中。そこが異様なほど疼く。

 恐れはない。ただ、目の間にいる軍勢が、自分を高めてくれる玩具のように見えた。

「さて…エルフはどれほどの物か、見極めさせて貰おうか。クレベルディアを、ここまで攻めた力」

 崖を走り降りる。

 一人のエルフが気付いたのか、エルフ軍がざわめき、途端に炎や氷、風、雷の魔法が次々に飛んで来る。しかし、彼女はその魔法を軽々と避けて行く。その動きは、瞬間移動と言ったらいいだろうか?

 崖の下、一人の杖を構えていたエルフを斬り捨てる。

「我が名はレイチェル。レイチェル・カルマ!我が名を知り、掛かって来れる者がいるなら掛かって来い!全て相手をしてやろう!」

    夜にはまだ遠い夕日が、まるでその時の惨劇を見せているようだった。



 ◆

「エルフ全軍、クレベルディアに進行中との報告!」

「隠密部隊の過半数が敵に殺されたという…報告が」

 耳に入って来るのは、兵が減った。進軍されている。全てが胸を痛める報告だった。それが、本当に絶え間なく兵から聞かされる。精神が狂いそうになるのを魔力を多く循環させる事で抑える。

「……わかりました…」

 こんな言葉がさっきからずっと口から漏れている。

 ベレンスは頭を抱えると足りなくなった魔力を補う為、体をぐったりとさせて休ませる。

 レイチェルがいなくなった。その事で軍は動揺し、今までの力を失いつつある。そして、エルフ軍の予想以上に早い侵攻。絶対絶命か、それとも四面楚歌という言葉が似合う状況下だった。

「…もう、駄目なのかな…」

 強がってた口調が、兵士の居なくなった部屋で突然泣き声に変わる。

 エルフ軍の侵攻。そして、考えたくないレイチェルの行方。あの、親友の剣士が、そんな簡単に死ぬ筈ないと首を振るが、顔は沈んでいた。心の隅では…嫌な事を考えてしまっている。そんな自分が嫌で堪らない。今でもレイチェルは何処かで生きている。そう思うしかない事に苛立ちがこみ上げる。

「諦めるのは、良くないと思います。姫様」

「っ!?」

 部屋の隅から聞こえる声に体が震え上がった。

「ふふ、驚かせてしまいましたか?」

 綺麗な腰までのアメジスト色の髪が歩きに揃うように揺れて幻想的な風を思わせる。部屋に差し込む赤い夕日と同じ色の赤いルビーのような瞳。ローブを着込んでいる。その姿は、みたままの魔術師。しかし、エインより魔力が高いのが一目でわかる。

「お、驚かさないで下さい…」

 驚愕の顔から暗く沈んだ顔へ直ぐに逆戻りをしてしまう。

「いえ、報告を。わたしの部隊、『ウィエード・ロイス』が中部隊を破りました。それと、少々ですが、大部隊にも傷跡を。それと――」

 少し間を開けると、彼女は言った。

「カルマさんの暴れた後が、ちゃんと痕として残っていましたよ」

 それを聞くと、沈んでいたベレンスの顔に焦りが出る。

「れ、レイチェルが!?」

「…話を聞いて下さい姫様。わたしは『痕が残っていた』と言ったのです」

 ルビー色の、同じ色の瞳が自分を映す。

「心苦しいですが…わたし達が攻め入った場所。崖の下に…大量の血が、血痕で残っていました」

 再びベレンスの体が椅子に崩れ落ちる。

 …駄目ダッタ。レイチェルはもうイナイ。死んでシマッタ。

「そして…」そっと目を瞑ると、彼女の口からゆっくりと呟かれる言葉に、ベレンスは涙を流した。きっと、悪い感じではなかったと思っている。

「その血痕を調査(ディバイス)したところ、カルマさんと同一の血痕は見付かりませんでした」



 ◆

「…寝ちゃった…の…?」

 エインが少しずつ目を開けると、安らかに眠っている零人の顔が最初に飛び込んで来た。

「…まだ、寝てるんだ…」

 二日寝てないのが、やっぱり来てる事を自覚する。着ている衣服を直し始める。赤い、夕日のような奇妙な服。ローブの代わりに、エインはそれを羽織っていた。軽いし、少し暖かいからだ。

「…レイト」

 短く、小さく、目の前で眠っているバカの名前を呼ぶ。

 最初、弾丸で撃たれた傷と破れた服は、魔法で治ってしまう。しかし、精神はどうにもならない現実がある。

「今日ね。アンタにずっと、付き添ってあげたのよ?…そりゃ、ちょっと寝ちゃったけど」

 朝から零人の顔を見続けて、少し時間感覚が狂ってしまったかも知れない。

「ホント…バカみたい。アンタじゃなくてあたし…だけどね」

 溜め息を吐いて、零人の顔をじっと見詰める。

「早く、起きなさいよね…。言ってやりたい事、いっぱいいっぱいあるん…だから」

 微笑みながらベット越しに体を擦る。

 少しだけたっただろうか。いきなり、病室にも耳煩く聞こえるほど、大きな緊急指令の鐘が鳴り出した。

「っ!え、エルフ軍、もう進行してきたの!?」

 素早く椅子から立つと、病室の扉を開ける。

 ――そうだ。言うの忘れてた。そう思い、こんな状況でも寝付いてる零人に近づく。その額を軽く人差し指でデコピンする。

「あたしは…帰って来るからね。帰って来たら…あたしを出迎えてよ?」

 そう言うと、身勝手に病室から走り出していったエイン。

 ベットの上に掛けておいたレイチェルの帽子がボトっと落ちて、零人の顔に被さっていた。

さて、如何だったでしょうか?

聖なる○なに結構はまっていたりする水無河です。


ま、レイチェルはメインヒロインなんですが…エイン可愛くなってると思いません?

そりゃ作者のお気に入りキャラですから(えへん)


まぁ、そろそろ中盤でございます。

今回の題は『特攻』という感じでした。

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