第18ページ::絶望を悲しみに
さてさて、こんな感じで言うのもなんですが20話目と書いてあります。
……こ、ここまできたかぁ…。
受け継いだ作品がここまで来るとは思いませんでしたね、はい。
これからも、レイトくん、レイチェルさん共々、宜しくお願いします。
「レイト、大丈夫?」
暗闇の中から目覚めると、風が頬を打つ。着ている服が靡いて気持ち良い。
「ここは…?」
「屋上よ。全く、ワープ後遺症なんて初めて聞いたわ」
腕を組みながら柱を背につけているエインが言った。
それと同時に気付く何かの破壊音と耳に響く未知の音。零人が驚き混じりにエインを見ると、頷いてそれを返して来る。
「さっきからよ。魔法と何かがぶつかり合っている。魔力が半端じゃないわ」
夕日に染まった日が頬を熱くする。エインの羽織っているローブが風に揺れ、今の状況を知らせているようだ。激しく鳴る音は耳に痛い。
「どうする?」
「…アンタとあたしがいれば、何時もの答えは出ないんでしょうね」
呆れ混じりに溜め息を吐くとエインの手に嵌めているグローブの宝石が輝き出した。零人はそれを見るとベルトに引っ掛けているエクシールを取り出し、刃を創り出す。
「先ず、敵かどうかを見極める」
「そして…」
「「後は個人の判断!」」
柱から出ると目に飛び込んで来たのは桃色の髪の白い銃と呼ばれている物を二丁手にしている無表情の美女と、息を切らせて巨大な剣を両手で握っている緑の長い髪をツインテールにしている少女の姿。
両手剣を持っている少女には覚えがあった。町に入ってからぶつかってしまった少女だ
零人は素早く間合いを縮めると白い銃を持った女に向かう。
「…来たな」
女性は驚く事もなく一言呟くと、双銃の銃口を零人に向ける。
「させないわ!喰らいなさい!ライトニング・ドライト!」
エインの魔法が、女性の撃ち出した弾を零人の目の前で相殺する。
後方で走る音がすると「飛べ!レイト!ウインデ・ディバイス!」とエインが叫ぶ。
階段で転んだ時に助けてくれた呪文が、背中を強く押す。そのスピードに乗るように剣を振り被りながら走る。強く押された体は地面を離れ、一直線に女性に向かう。
「エクシール!」
見えない素振りで女に振るわれるエクシールの刃。宙を舞う体。なぜ斬れたか、怖がりもせず。それは、女を斬る時にエクシールの刃をなくしたからだ。いわゆる鈍器。せめて悪くても失神だろう。
空中で回転をして女の方向を凝視する。女性の体には傷すら見当たらない。それどころか、振り向いて宙に浮いた零人に銃口を向ける。エインも呪文が間に合わない。
「…終わりだ」
女の指が引き金を引き絞る。ここで撃たれれば終わる。エインも必死で呪文を唱えているが間に合いそうにない。
「鳴り渡れ!我が正義!」
空に響く声。澄み渡った声が零人の心に響いた。諦めると言う言葉をかき消す心強い声。
「エクス・カリバー!!」
女性を吹き飛ばす剣圧。輝いている剣と吹き飛ばした者の手。
宙を舞う零人の体を完成したエインの魔法が受け止める。もう少しで屋上から落ちている所だった。
「遅れてすまない、レイト」
最強と呼べる剣士が前で視線を向けて来る。輝いていた剣は、技を終えたからなのか休息を取っているようにも見える。
「遅いぞ、レイチェル」
「ふふ、すまないな。少し手下と思える進入者を捕らえて来た。後は…根源者だけだ。やれるか?ミリス」
レイチェルが呼んだ緑髪の少女は剣を構え直すと無言で頷く。
「副団長に言う言葉ではないな」
女性の銃から撃ち放たれた銃撃。少女は前の空間を剣で斬る。すると衝撃波が中心で起き、吹き飛ばされるほどの風圧が襲った。
「おいおい!大丈夫かよ!?」
目に埃が入らないように片手で顔を庇いながら零人が言うと、レイチェルはあの勝負の時の鋭い瞳になりながら言った。
「我が第一番騎士団『ディア・ロイン』の副体長、わたしが心から背を預けられる者が、彼女なのだ。負けるなんて事はない」
女性が撃つ弾を少女はことごとく薙ぎ払う。差をドンドンと縮めて行くが、女性は焦った表情も見せない。銃口をずらすことなくミリスに向けている。
鳴り続ける音。耳に直接響き渡るようだ。
突然、少女の大剣が輝き出した。まるでレイチェルの剣の色違いのように、緑色に。
銃の光る弾丸を的確に避けながら距離を素早く詰める。タイミングを掴んで飛び上がると少女は大剣を女性に振り下ろした。
「……ド」
女性は持っていた双銃から刃を出し、その攻撃を真っ向から受け止める。
その刃はまるで「エクシール…」その物だった。出す要は違うけども、その刃はエクシール。光り輝く二つの刃は打ち合い、その輝きを増して行く。
「援護するわ!ライトニング・ドライト!」
エインのグローブから放たれた雷撃は女性に直撃する。しかし、刃が吸い取るように魔法を消し、女性には焦げ跡が見付からない。
後方のエインに気付いた女は向きを変えると驚くほど速く移動する。
「………え?」
斬られると構えていたエインの口から間抜けな声が漏れる。
「俺を…忘れんなよ!」
女の刃を弾き返すとエクシールを構え敵の動きを見る。
「レ、レイト……早く助けないさいよ、ばかぁ!」
「おいおい、助けたのにそれはないんじゃないか!?」
「アンタはあたしを助けなきゃ駄目なの!」
強気になっている瞳から涙が零れる。相当怖かったんだろう。腰が抜けたのかその場に座り込んで声を上げる。
「訳わかんねっつ!!」
斬りかかって来る女の攻撃を受け止める。地面にひびが入るんじゃないかと思える衝撃が全身を駆け抜けた。
「貴様を…殺す…」
「何訳のわかんねぇ事言ってやがる!」
剣を弾くと女に向かって剣を振る。瞬時に姿が消え、何時の間にか距離を取っている。人間では有り得ない速さ。しかし、レイチェルの剣の捌きや、エインの魔法を見ていて慣れてしまっている自分がいた。
刃は、エクシールと同じだったら変えられる。あのミリスと呼ばれていた子と闘っていた時は手を抜いていたのか。それとも、銃で全力で押し切っていたのか。無表情が感情を顔に出してくれない。
女の足元から音がした。俊敏に剣を構え、見切ろうとする。
「遅いな」
背後から聞こえた小さな声。そして、銃撃音。
「……あ…」
体が動かない。立っている足に力が回らない。叫びも出ない。
胸元にある小さな穴。そこから、血が流れ出ている。そのまま、石で出来た屋上の床に顔から倒れる。胸が熱い。頭を打ったのか頭痛がする。
「レ…レイト…?」
どんどんと、堕ちてゆく。意識が途切れる寸前聞こえた響き。それは、エインが自分の名前を呼ぶ声と、剣と剣が交差して聞こえた耳障りな音だった。
レイトくんの大ピーチ!
「へわわ、ここはどこですか〜!?」
うわっ!誰誰々!…って赤髪の貴方ですか。
ドジッ娘代表&2007年ロリコン代表の白魔術師さん。
「な、なんですかそれは?」
気にしないで宜しい。これ読んで。
「は、はい。
なぞのじょせいにじゅうでうっ!←(舌噛んだ
ひははんだ〜(涙)」
真面目にやる気あるのかいこの子。
し、仕方ないですね。いつもの調子でレイチェルさん、頼みます。
「あ、あぁ。謎の女に銃で撃たれたレイト。レイトの身は?そして、進入して来た謎の女性は一体…。
次回、『涙の秘密』!輝け、希望のJustice!」
やっぱりしっくりくるなぁ〜。
「ひぅぅ〜!ひはひはい〜!(舌痛い)」