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第16ページ::何時もと違う君

やっと、やっと20話まで後2話!

長かった!長かった!

ここまでホンッッッットに長かったです!


これも感想を下さった皆様のお陰です!

ありがとう御座いました!


と、まだまだ初編なのですが、そろそろ急展開を迎えたいですね。


ぐふふふふ。

 レイチェルに朱髪の少女の話しをしたが、そんな人物は見た事がないと返され、零人は腑に落ちない気持ちを抱えながら中央庭園を歩いていた。

 傷は少女の魔法で治癒されていたらしく、レイチェルは誰が治したとしつこく聞いてきたが、零人は可愛い女の子と答えて逃げ去った。そして足が向いて向かったのがここの中央庭園だった。

 噴水の水が弾ける音と、金色の小鳥の鳴き声が響いている。寝るのには打って付けだろう。

「何やってんの、アンタ」

 余り晴れない気分でベンチに寝転んだが、睡魔が来る前に聞き覚えのある声で阻まれた。零人は起き上がるとその人物が前屈みになって自分を見つめている事に気付く。

「お前こそ何やってんだ?」

 目を細めながら零人は言い返した。

「こっちが聞いてるんだけど……まぁ、良いわ」

 ポニーテールを風に吹かせて、そっと零人の頭の横に腰掛ける。何時も強気な彼女の姿はなく、ただ蒼く染まっている空を見つめていた。横顔は強気に張っている表情とは違い、優しく、暖かい。

「どうかしたのか?エイン」

「アンタに名前を呼ぶ事、許した覚えはないんだけど?」

 明らかに何時もとは違う表情を浮かべている。零人に言い返す時も微笑んでいる事は奇跡に近い。

 不思議に思って零人は寝転がっている体を起こした。これが乗りの良い男ならきっと気の効く言葉を言うんだろうが、零人にはそれが思い付かなかった。

 ベンチが軋む音が少し聞えた後は、先程と同じ噴水の音と小鳥のさえずり以外聞えなくなった。

 風が吹くごとにエインの髪から発せられる少女の香りが零人の鼻を乗っ取る。さっきまであった木の香りは鼻に届かなくなっている。

 様子を伺うと言う事ではなく、声が掛けずらい空気を感じ、零人はエインに声を掛けられなかった。

 腰のエクシールが当たり、少し邪魔な気がしてベルトから外し、ベンチに置いた。剣が恋しがっているように蒼く光ったが、無視しておく。

「ねえ?アンタ、確か違う世界から着たって言ってたよね?」

 エインは髪を抑えて微笑みながら零人に問い掛けた。

「あ、あぁ。俺は…日本の八王子ってとこから着たんだ」

 少し胸を弾ませながら目線を逸らし、顔が熱くなるのを隠す。ギャップがある奴は可愛く見えるというのはこの事かと実感する。

「ニホン……ハチオウジ…ね」

 少し片言だがしっかりと発音をしている。

 オレンジ色のリボンが揺れ、髪も同じく揺れる。子供のような表情。無邪気な、友達に語り掛けるような口調。絶対に友達になれないと思っていたエインが近くで微笑んでいる。今なら、きっと小鳥と戯れているエインを見ても驚かないだろう。零人はハニカミながら必死に目を逸らしていた。

「ねぇ、レイトってホントに『男』なの?」

 少し身を乗り出して零人に顔を近付けて来る。きっと知っている漫画のように俺が追い回されないのはこの世界の皆が男を知らないからだろう。最初から居ない者が突然やって来ても余り関心が湧かない。当たり前だ。

 その前に、エインがやっている格好は、まるでグラビアアイドルの撮影写真のようだった。顔も良ければスタイルだってそれなりには良い。レイチェルほど胸も身長もないが、凛とした顔立ち。誰にも負けない正直な性格。これは普通の人は余り自身を持って表現できない事だ。

「聞いてるの?レイト」

 少し考えていたら、エインの顔が目の前にある事に気付かなかった。吊り上がり気味の瞳だが、エインには似合っていて綺麗だった。ブラウン色の瞳の奥には零人の姿が吸い込まれるように映っている。

 途端に昨日の出来事が頭の中を駆けて、少し焦る。

「え、あ…そういうつもりじゃないの…!」

 乗り出していた体を引っ込めて少し言葉を強調する。この方が彼女らしい。ツンデレを萌えと言っている奴等の考えが解りそうな気がした。

 一度だけ、ゲームショップのバイトをした時、仲間にギャルゲーと言うゲームをやらされた。その中のキャラが無性に自分と合わない事に気付いた。それがツンデレと言う奴だ。最初は毛嫌いしている癖に、好意を持つと近寄って来る。それを受け止める主人公も気に食わなかった。それから余り、そう言う性格の奴に近寄れなくなった。ゲームショップのバイトはその次の日に辞めた。自分に合わないと自覚したからだ。

 だけど、零人はエインの姿を瞳に映した。

 目の前のローブを羽織った少女は、好感が持てた。恥ずかしがっている所や、自分の行動に一々ケチを付けて来るのが気に食わなかったが、それでも、少女は何かが違うような気がした。

 あのレイチェルの部屋に訪れようとした時も、レイチェルを本気で心配してやった事じゃないのだろうか?ベレンス姫と会う時に不機嫌だったのも、本気で自分を信用できなかったからじゃないか?

 頭を大きく横に振る。そんな訳ないじゃないか。思い込み過ぎだ。

「何時か…帰れると良いね。自分の、居るべき場所に」

 今にも泣きそうな顔をして俯いた少女。

「どうした?何時ものお前じゃないな」

「煩いわよ、ばか」

 零人は静かに、エインの肩に手を置いた。一度だけ不安そうに震えたが、直ぐに落ち着いて身を任せるように胸の場所に倒れ込んで来た。

「母様……」

 少し経つと、青空の下、ベンチに座っている零人の胸元でエインが声を出すのを我慢して泣き始めた。

 母親の事を呟いたのは、聞いていない事にしよう。零人は心で決めながらエインを強く抱き締めていた。



「誰かに…言ったら殺すから」

 泣き止んでからも、少しだけ体が震えていたエインが唐突に零人に言った。

「言うか」

 零人の服の裾を掴みながらか細い声で言ったエインの頭を撫でて零人は微笑んだ。目の下を腫らして泣いた彼女の顔は、こう思うのも変かもしれないが、可愛かった。

 安心したように目を瞑ると静かに寝息を立て始める。

 疲れていたのだろうか。それとも、久し振りに安心して眠れたのだろうか。エインと言う少女の寝顔は幼く、あどけのない可愛いものだった。

 目の前でこんな無防備に寝られると言う事は、安心して身を任せられると判断してくれたからなのだろうか?エインの寝顔を堪能しながら零人は苦笑いで頭を撫でていた。


「今夜、襲撃する」

 桃色の髪の美女が紫色に光る石に告げる。

 石の影に隠れ、後の人物を見ると一人のローブを着た魔女は寝込んでいた。一番の注意人物はその魔女の髪を撫でながら優しい顔をしていた。

『策は?』

 奥から響くような音色の声が石から響く。

 自分の長過ぎる長袖を捲くりながら石を持っていると邪魔でしょうがないが、仕方ない。上司の指示だ。

「先ず、わたし、リィナ・アビルレイが一人を仕留めます。その後に全ての軍隊に責め込ませましょう」瞳を閉じて静かに応対する。

『勝てるのか…?伝説に』

 伝説。それはこの世界を救ったと言われている男。

「勝ってみせます」

 今までにないほどに胸が高鳴る。あの一個大隊を率いる少女と戦っていた所を見ると、久々に期待できる相手と戦えると言う物だ。自分に与えられた称号が輝くようにも思える。

『成功させよ。白き雷鳴』

さて、楽しんで頂けたでしょうか?


少しデレを出したエイン編だったのですが、本編にまさか出すとはじぶんでも思わなかった…。


話の内容が結構合い、ご依頼されたエインの甘い話を本編へ。

まぁ、こういうこともありますよね?


さぁて、次回予告をレイチェル・カルマさん、お願いします。


「うむ、今回は出番がなかったからな。さて、庭影に潜んでいた密入者。次回からは少しバトルが入ってきそうだな。お楽しみ要素満点だ」


っと、次回は久々のベレンス姫様登場です。

まだまだあの子は本出場となりませんね…。


実際言ってしまうと、僕はテ○ルさんが一番好みだったりするのですがw


え〜、言ってしまうと、エインは今回のオリジナルです。後、庭影に隠れている人もオリジナルと着ます。


話は崩さないようがんばっているんですよ?はい。


それでは皆さん御機嫌よう〜。

次回で会いましょう。

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ありがとう御座います。 またのお越し、心より願っています
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