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グレンジャー:突如現れた戦隊ヒーローです。全身スーツの五人組って、記号化されすぎですよ。赤い人がグレンレッドって名乗っていたんでたぶん紅蓮レンジャーの略だと思います。でも愚かなレンジャーの方が似合ってます。超似合ってます。


「さぁ、いつでもかかって来い。俺たちは逃げも隠れもしない!」

 さっきから赤い人だけが喋ってるんですが、他の四人がポーズを決めたまま全然動きません。今日は気温も高いし、僕と同じように全身スーツを着ているヒーローの人たちは大丈夫でしょうか。

 正直、熱中症で倒れて欲しいと思う外道、常田です。

 いいんです、外道でも。別に仏教徒でもないですし。

 さて、現状を整理してみましょう。頭のおかしい台詞を叫んで変身したら、突如戦隊ヒーローが現れて、シリアスなムードになるも楓さんが台無しにした、と。

 どこの人外魔境ですか、ここは。

 ともかく、一番の問題はやっぱり戦隊ヒーローをどうするかですね。戦うにしても、今はロボットも五、六体くらいしか連れてきてません。相手が一般人なら問題ないんですが、戦隊ヒーローを相手にするには少し心許無いです。

 ならばどうするか。

 ……現実的な対処といったら、やはり話し合いでしょう。都合のいい事に、グレンジャーとやらはこっちが手を出すまで受け身状態みたいですし。

 と、言う訳で僕が交渉してみますね。花音さん。

『了解ー。楓ちゃん、ひとまず下がって、交渉は常田くんに任せなさい』

「ばっこ、ばっこ……? ばっこ、ばっこ、ばっこ……」

 跋扈跋扈と呟きながら楓さんが下がります。正確に行くならば、楓さんを乗せた楓さん専用の移動用ロボット「い」の十二号が下がりました。楓さんは何も聞こえてなさそうです。だから、普段から電子辞書を持ってください、って言ってるのに……。

「えーっと、赤い人?」

「グレンレッドだ!」

 テンション高いうえに反応早いです。こういうタイプは話が早くて好きなんですよね。

『え、あんたってぐだぐだが好きなんじゃなかったの?』

 それは楓さん限定です。他の奴なんか糞食らえです。特にタレ乳メガネなんかが相手だと最悪です。

『んなっ…………』

 通信機能をオフにしてやりました。これでお局さんの小言を聞かなくてすみます。あぁ、怒れる花音さんの顔が見える。ザマミロです。超ザマミロです。

「グレンレッドさん、僕たちは今のところあなた方と戦闘する意思はありません」

「なにっ!? つまり、これまでの非道を反省し組織を解散してくれるという意味か!」

「違いますよ馬鹿野郎」

 こういう奴には直接言うのが一番です。馬鹿って、言わないと気付かない癖に、言われたら言われたでキレるから嫌なんですよね。

「ならばもう話し合う事は無いな。覚悟しろ、ファンシー☆テイル!」

 それはつまり「問答無用、やっちまいなー!」って意味ですよね?

 はぁ、できれば穏便に済ませたかったのに。世の中、そんな都合のいい事ばかりじゃ無いってことですね。仕方ありません。そのことを彼らにも、身を持って知ってもらうことにしましょう。

「はぁぁぁ、たぁ!!」

 赤い人もといグレンレッドが殴りかかってきました。迷いの無い拳です。悪に対してとはいえ、人に向って拳を揮うことに恐れがない。なかなかの使い手と見ました。

 まぁ。

 容赦がないという点では僕も負けませんけどね。

「えい」

 馬鹿の調理法。

 その一、一直線に突っ込んで来たので足を掛けて転ばせます。

「ぬっ!? ぐはっ!」

 その二、踏みつけます。

「痛っ!」

 その三、踏みます。

「痛っ、痛っ!!」

 その四、踏みます。

「痛い痛い痛い! おのれ、足をどけろ!」

 その五、力の限り踏み続けます。

「痛い痛い痛い止めろ止めて、頼む止めてくれ、おい聞いているのかぁ!」

 やられてても威厳があるというのはある意味凄いことなんじゃないでしょうか?

 まぁ、このくらいで止めといてあげますか。仲間もいるんですし、後は大丈夫でしょう。

「敵勢力の一名を無力化。彼を囮にして撤退します」

「恐れをなして逃げるか卑怯者! ぬぅぅ、貴様の事は忘れん! 忘れはせんぞぉ!!」

 先に撤退している楓さん、正確に言うならば「い」の十二号を追いかけて僕も走り出します。それにしても、喋れば喋るほど面白い人だなぁ、赤い人。

 しかし。敵がでてきた以上、今までのように出撃することはできなくなりましたね。

 毎回意図は不明な作戦ですが、柳さんも何か考えがあっての作戦なんでしょう。柳さんの邪魔をする奴は……許せないですね。もし出撃回数が減ったら、誰が日給1万円を払ってくれんだよ。

「………………ばっこ?」

 そしてまだ考えていたんですか、楓さん!?



やっぱり続きました。評価・メッセージ随時受付中。

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