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「い」シリーズ:花音さんが作ったロボットです。その数、実に1253体。一体づつ違う性格をしているんですが、その違いを見分けるのは困難です。超困難です。


「一つ、人の生血を啜り!」

「二つ、不埒な悪行三昧!」

「三つ、醜い浮世の鬼を!」

「四つ、世直しその為に!」

「五つ、逸した心を正し!」

『退治てくれよう、グレンジャー!!』

 常田です。突如現れた戦隊ヒーローを前に、突っ込み所が多すぎて茫然自失中です。

 まず、変身する時は英語なのに、なんで決め台詞は桃太郎侍をパクっているんですか。効果音はともかくバックグラウンドミュージックは一体どこから流れているんですか。グレンジャーって、紅蓮レンジャーの略称なんですか、それとも愚かなレンジャーなんですか。

 それ以前に。

 誰ですか、お前ら!

 いつもハイテンションな楓さんも、いきなりの事態に呆然としています。いや、あれはボケーっとしているって言った方が合ってるかな。たぶん「何だろう、この人たち」って考えて知恵熱を出しかけたから頭をフリーズさせてる状態なんだと思います。可愛いなぁ。

「悪の組織、『ファンシー☆テイル』。これ以上お前らの好きにはさせないぞ!」

 赤い人が何か叫んでます。今まで敵らしい敵っていなかったからなぁ。どうします、花音さん?

『とりあえず相手の要求を聞いてみましょう。戦うのはその後でも遅くはないわ』

 了解しました。そういえば、思考が花音さんに盗聴されてることに違和感がなくなってきました。これは精神を守るために防衛機能が働いているんでしょうか、それとも防衛機能が麻痺してしまったから慣れてるだけなんでしょうか。

 ひとまず、それは横に置いときましょう。いま考えるべきことは目の前の相手とどうコミュニケーションを取るかです。

 とりあえず、楓さんに相手の要求を聞くよう進言しますか。

「楓さん、楓さーん?」

「ふぁ、はい! 何でしょう政次くん!」

 頭をフリーズさせたまま眠ってたみたいです。改めて、可愛いなぁ。

『はいはい、それは分かったから。さっさと相手の要求聞きないさって』

 僕としては楓さんとグダグダしながら一緒にいられるだけでいいんですけどね。

「楓さん、花音さんがとりあえず相手の要求を聞いてみろって言ってます。たぶんあっちのリーダーはあの赤い人です」

「わっかりました。赤い人ー、あなた達の要求はなんですかー?」

「俺たちの願いはこの街の平和! そのために悪逆非道な振る舞いで街を跋扈するお前たちを成敗する!」

 おぉ、即答した。グダグダな僕たちと違って、あっちは確固たる目的があるみたいですね。

「ねぇ、政次くん」

 楓さんが今までにない真剣な顔で僕を見つめてきました。もしかして、ようやく敵に対して警戒心が沸いたのでしょうか。それとも、今の答えで「敵と戦う事」を選んだんでしょうか。

 安心してください。僕はあなたがどんな選択をしても着いていきますから。

 その決意を示すために、僕も真剣な顔で答えます。

「何ですか、楓さん」

「ばっこ、って何?」

 楓さん、あなたにシリアスクラッシャーのあだ名を付けてもいいですか?



当然続きました。評価・メッセージ随時受付中。

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