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鶴来一也:凄腕の剣士さんです。道具に頼らないその腕前は名刀なまくらを選ばず、と言えば聞こえはいいんですが、実際はどの刀使っても必ず折ってしまうんで刀に興味がないってだけです。勿体無いです。超勿体無いです。


 今日はファンシー☆テイルの定例会議。会議室にはいつもの面子が揃っています。

 頭領、柳さん。剣士、鶴来さん。科学者、花音さん。ご意見番、巌さん。隊長、楓さん。そして、会議の時だけ書記官。常田です。

 ファンシー☆テイルの定例会議はちょっと特殊です。まず、柳さんの思いつきで会議を行うので不定期。この時点でもう定例会議じゃありません。

 まぁ、特殊なのはそういう点ばかりじゃありません。例えば、意見や批判などは階級に関係なく言うことができます。端的に言えば、僕が頭領のやってることを批判することもできるわけです。みんなの仲が良いからこそできる、少数精鋭の利点ですね。

 ただし、一つだけ守らなければいけないルールがあります。それは、誰かが喋ってるときは最後まで黙って聞くこと。

 組織に入って初めての会議の時でした。聞き取れない単語があったのでつい「すいません、もう一度お願いします」って言ったところ、突然床が抜けて椅子ごと奈落の底に落とされました。3日後に回収されました。その落とし穴を作ったのは花音さんらしく、花音さんが僕に謝ってくれたのは後にも先にもこの時だけでした。曰く、死んだ魚の目をしてた。見てて居たたまれなくなった、とか。

 ファンシー☆テイルのやることはどれも極端すぎて困ります。超困ります。

「さて、次の議題じゃ。先日花音くんが発明した『変身ピアス』を戦闘隊に本採用してくれ、と申告しているんじゃが。はて、どうしょうかの?」

 司会役の柳さんが皆に尋ねました。ここが某国会なら即座にブーイングが起きたと思います。だけど落とし穴の怖さを知っている僕は何も言えません。にたにた笑ってる花音さんの顔が非常に癇に障ります。ムカつきます。超ムカつきます。タレ乳薄命って言葉があればいいのに……。

 と、ここで鶴来さんが手を上げました。テーブルの前にあるランプが光ります。これは発言権があるという印です。

「俺は良いと思うよ。着替えの手間が省けるし、『チェンジ、ブレード・ワン』っていう決め台詞も格好良かったから」

 花音さんの野郎、鶴来さんの好みに合わせやがったな。やばいです。超やばいです。たぶん花音さんは他の人のもその人の好みに合わせていると思います。そしたらなし崩し的に採用が決まって「チェーンジ、ドキ☆ドキ、ファンシー!」とか叫ばなきゃいけなくなってしまう。

「わしは反対だな」

 いつの間にか発言権が巌さんに移っていました。

「その、なんだ。若いもんには良いのかもしれんが、この年になって変身グッズというのは……」

 嬉しい援軍です。巌さん、そのまま押し切ってください。

「ふむ、確かにそう言われると。ちと恥ずかしいものがあるのう」

 ほら、柳さんも食いついてきました。さ、もっと「変身グッズは如何に老人に合わないか」を説いてください。声には出せないので心の中で応援しています。

「えー、可愛いからいいじゃん」

「うむ、可愛いからいいな。ほんじゃ採用決定」

 椅子から思い切り転げ落ちました。えぇ、それはもう力の限り。

 わ、忘れていました。柳さんは基本的に楓さんに甘かったんだ。常田、一生の不覚です。巌さんは柳さんの決定したことに逆らわないし……、終った。



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