表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/14

[14]

紫藤早紀:僕や楓さんと同じ学校に通う女子生徒です。真理曰く、「元気で素直でヒートな娘」。その正体はグレンブルー。熱いです。超熱いです。正直近寄りたくありません。

 ピンチは突然やってくる。どうも、常田です。

 ピンチ。

 人は何を持って現状をピンチとみなすのでしょうか。

 財布をなくしたとき?

 旅先で迷子になったとき?

 Yナンバーと事故ってしまったとき……?

 いえいえ、そんなことではピンチといえません。他の人ならピンチかもしれませんが、正直他の人なんてどうでもいいので……。

 さて、話を戻しましょう。

「さーて、政次くん。何でデートを台無しにしてくれたのか」

「昌良をボコボコにしてくれたのかぁぁーーー!」

『説明してもらおうかしら』

 ……ピンチです。

 丸いテーブルに僕と楓さんと早紀さんが座っています。理由と経緯は察してください。

 察せないという空気の読めない人の為に、偉い人の言葉を借りて説明してあげましょう。

 曰く、『かくかくしかじか』。

 あぁ、昔の人はいい言葉を残してくれたものです。

「お前は話を聞いているのかぁーーー!!」

 やれやれ、いい加減現実逃避はやめますか。さすがに今日は逃げられそうに無いですし、早紀さんの拳が今にも飛んできそうなので。

 っていうか、何でこの場に昌良が居ないのかが謎です。超謎です。この修羅場に相応しいのは昌良の奴だろうがっ!!

 っと、いけないいけない。取り乱してしまいました。

 ピンチはチャンス、ともいいます。楓さんも先さんも、とりあえず僕の話を聞く気はあるみたいですね。話を聞いてくれる、それ即ち弁解する余地があるということです。

 つたないながらも華麗なる話術を持って、見事この場を切り抜けて見せようじゃありませんか。

「あ、そーだ。政次くん、手出して」

「あ、はい」

 メキャ、………………と。僕の右腕から音が聞こえたのは気のせいでしょうか。

 え、いや。まさか。問答無用ですか?

 まさか、楓さんに限っていきなり骨砕いてくるなんて有り得ません、よ。

 ね?

「とりあえず、誰が悪かったとか、誰に責任があるとか、そーゆーのの前にやるべき事はやっておかないとねー」

「あ、の。やるべき事って、コレですか?」

「うん。だって、理由はともかく、政次くんは昌良にドロップキックしたでしょ。だから、その報いね」

 うーわー。昌良に告白されてから、楓さんって容赦無くなってきたなぁ。

「そうだっ! 最低でも昌良が殴られた分はやり返さないと気がすまない!!」

 今日も素直にヒートってますね、早紀さん。でもお忘れですか?

 昌良の怪我の9割は早紀さんが原因だ、ということを。僕のドロップキックで地面に転がった後自転車に轢かれたのに、その怪我がわずか1割ですよ、1割。あの後どれだけ殴ったんですか、早紀さん。

 まぁ、大体そんな内容の事を反論として述べようと思っていたんですが。あー、もう手遅れですね。早紀さんってば、助走を終えて離陸してますよ。

 それでは、これぞリングの美学とばかりにちょっくら少女のドロップキックに耐えてきます。生きていたら後で会いましょう。

「ってわけでとりあえず1発目ぇぇぇーーーー!!!」

「んー、もうちょっとテイクオフのタイミングを早めれば威力が増しまぶっ……!!」






 唐突に話は変わりますが、皆さんは格闘技ってどう思います?

 僕は、あれほど安全な決闘は無いと思いますね。だって、危なくなれば審判が止めてくれるんですから。

 ですが、こちらはたとえギブアップをしても相手が攻撃をやめるとは限りません。それでも一縷の希望を信じるのが人間ですよね。

 だから、あえて僕は言います。

「ギ、ギブギブ。ドクターを呼んで下さい」

「おらぁぁぁーーー、2発目ぇー!!」

 あ、駄目だこれ。本気で死んだかも。

「そこまでだ早紀! いい加減やり過ぎだぞ!」

「オーケイ! 紫藤ちゃんが今日も元気に素直でヒートなのはあい分かった! だけど、俺とハニーのヴァーニン! ラヴ!! に勝てるかな!?」

「やだ、馬鹿……。そんな、皆の前でだなんて」

「はっはっは、普段は切れ味バッサリどころか血がブシャーッ、てくらいの突っ込みするのに今日はノッてくれるんだね。そんな所がスキッ!」

「あぁぁ、僕はもう奴隷さ。そう、愛という名の……」

「………………」

 なんでしょう。

 以前の僕なら、たとえ骨は砕かれたとしても楓さんが手を握ってくれたことを一番喜んだと思います。

 でも、今は。

 楓さんに手を握られたことよりも、

 早紀さんがドロップキックしてきた時に実はちょっぴりスカートの中が見えたことよりも、

 昌良が被害者であるにも関わらず加害者である僕を助けるべく早紀さんの前に立ちふさがってくれたことよりも、

 善一さんと真理がいつもの馬鹿な漫才しながらも必死で僕を運んでくれることよりも。



 見知らぬ女の子が同情の眼差しで僕を見ながら頭を撫でてくれたことの方が嬉しいです。



 さて、ところで善一さん、真理と一緒に走ってるこの女の子は誰なんでしょう。

 ……あー、なんていうか、大体オチは読めたなぁ。



かなりサボってましたが続きました。お待たせしてすみません。さて、二十歳になる前に後何話書けるのか……。

評価・メッセージ随時受付中。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ