白い代償
花粉症に苦しむ少年が見つけたのは…
ベッドの上からゆっくりと少年は起き上がる。
机の上には、花粉症の錠剤とティッシュや目薬。
窓からはいる日差しが心地よい。
少年の頭上にある目覚ましが朝だと告げていた。
なんだか長い夢をみていた気がする。
ゆっくりと洗面所へと向かうと、そこに箱らしきものが置いてある。
「なんだ…これ…」
そこにはカラフルな色の箱ティッシュがあった。
オーロラのような美しい色。
少年は箱から一枚ティッシュを取り出す。
鼻をかんでも痛くない柔らかさだ。シルクのような高級感がある。
その瞬間に少年は、朝からの花粉に対しての嫌悪感がなくなっていることに気づいた。
目のむず痒さや、くしゃみも止まっている。
思わず目を見開いた。
(なんで急に…)
鏡を見ると鼻血の跡があった。
かみすぎたのだろうか。
不思議に思いながら、少年はゴミ箱へと紙くずを捨てた。
次の日から少年はこのティッシュを使うようになる。
どんなに症状が酷い花粉症でも、これで鼻をかむと全て無くなる。
処方された薬よりずっと効くのだ。
しかも、どれだけ使ってもティッシュはなくならなかった。
少年の目には白いティッシュが純白の女神の羽のように見えていた。
(僕の花粉症を哀れに思った神様からの贈り物なのかも…!)
その日も少年はティッシュで鼻をかんでいた。
目も鼻も、全ての症状が嘘のように消える。
その時、フラリと体が揺れた。
ガタンッ
危うく横転するとこだったが壁に手をついて事なきを得る。
見るとティッシュには赤いシミがついていた。
鼻に手を当てると鼻血が出ている。
なんだか胸の奥がモヤつく。
(また…鼻をかみすぎたのか…?)
モヤつきを振り払い、少年はリビングへと向かった。
そして次の日。
その日は休みだった。
少年は部屋で薬を飲んでいた。
いくらティッシュで治せると言っても、処方された薬は飲まないといけないからだ。
その時ふと箱ティッシュが目に入った。
そう、オーロラのような美しい色。
何度見ても綺麗だな…。
しかし、あんなに質の良い物を一体どこから買ってきたんだろう。
箱をじっと見つめていると、くしゃみが出た。
「…鼻水が。」
ティッシュを取ろうとしたその時
ボタボタと床に血が垂れた。
鼻血だ。それも、止まらない。
「ティッシュ!ティッシュ…!」
何枚もティッシュを取り出して止めるが鼻血は止まらない。
まるでティッシュを取る度に悪化しているみたいに。
ゾクリとして手を止めた。
だがフラフラと足が震えて上手く立てない。
貧血なのだろうか。
床に垂れる真っ赤な血が少しずつ変形し、真っ白くなっていく。
少年の血という液体は白くなったあとペラペラの紙になった。
(ティッシュペーパー…?)
考えている間にも少年の血は止まらない。
視界が歪み、少年は倒れ込んだ。
どちらが天井でどちらが床なのか。
意識は少しずつ薄れていった。
はっと目が覚める。
窓からはいる日差しが心地よい。
少年の頭上にある目覚ましが朝だと告げていた。
なんだか長い夢をみていた気がする。
少年は洗面所へと向かった…
一方、夢から覚めない少年の部屋には、大量のティッシュペーパーの山が残されていた。
その中にはカラカラに乾いたミイラの手のようなものが埋もれている。
ところどころに少年の服のような物が見え隠れしている。
山になったティッシュペーパーは純白に輝いていた。
女神の羽のように。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
僕自身、花粉症に苦しむタイプの人間なので、これをテーマに作品を作ってみたいな〜と考えた時に思いついた作品です!(*´▽`*)
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