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~プロローグ〜
人はいつも、奇跡を求めてしまう。
だがその奇跡は、ときに世界の均衡を崩すものでもある。
この王国には、ひとりの歌う少女がいる。
その歌は人を癒し、涙を止め、絶望を静かに消していく。
人々は彼女をこう呼んだ。
『歌姫』と。
しかし、誰も知らない。
その歌が、古き時代から受け継がれてきた力であることを。
そしてその歌が、王国の未来だけでなく、
世界の運命さえ揺るがす可能性を秘めていることを。
王は言った。
『あの子を守れ。たとえこの国が滅びてもだ。』
その言葉の意味を、まだ誰も理解していない。
静かな夜の王都。
どこからか、小さな歌声が聞こえる。
この歌声が、やがて世界を動かすことになるなど知らずに星は今日も静かに輝いていた──




