第1部 終章 1 大攻勢の訓示
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ソビエト社会主義共和国連邦カムチャツカ州首府ペトロパブロスク・カムチャツキーにあるソ連地上軍の駐屯地では、将兵たちが整列していた。
「同志諸君!西部戦線では、ナチス・ドイツ軍の侵攻に対して、ソ連軍及び赤軍が奮戦し、侵攻を阻止している!」
大隊長が、訓示を行っている。
「我々の任地が決定した!エルキア公国である!」
大隊に所属する下士官や兵たちが、ざわめく。
「同志諸君等も不思議に思うだろう!しかし、これは決定事項である。エルキア公国は、ナチス・ドイツと手を組んで、ソ連の土地を悪き帝政ロシアに戻そうとしている!我々は、それを阻止するために攻勢をかけるのだ!」
大隊長が、大隊に所属する将兵たちの顔を見回す。
「我々が保有する戦車は旧式であるが、エルキア公国陸軍及び義勇軍の戦車も同じだ!さらに我々と違って、さまざまな国の戦車を保有しているため、部品の共通性も無ければ弾薬の共通性も無い!」
大隊長は振り返り、隊舎に掲げられているソ連旗に顔を上げた。
「祖国に栄光を!」
「「「祖国に栄光を!!」」」
大隊に所属する将兵たちの叫び声が、響く。
ユーリイ・レベジェフ少尉は、自身が乗車するT-34を眺めていた。
このT-34は初期型であり、ナチス・ドイツ国防軍との戦いには不向きである。
「レベジェフ!」
戦車大隊に所属する友人が、声をかけた。
「大隊長の訓示にあったように、ソ連軍上層部は、本気でエルキア公国を攻略するつもりだ・・・」
「そうだろう」
「それが・・・な。それだけでは無いんだ。エルキア公国だけでは無く、大日本帝国の北海道、大日本帝国領の南サハリン島、さらに北方領土にまでに攻勢をかけるらしいんだ・・・」
「何だって?」
「政治将校たちの話を盗み聞きした。間違いない!」
「お二方。何の話をしているのですか?」
2人の小隊を管轄する中隊の政治将校である中尉が、声をかけた。
「いえいえ、何も!?」
「どちらが先にエルキア公国の首都に乗り込むか、話をしていました」
「そうですか・・・内緒話をするのでしたら、もう少し周りに注意して下さい。誰が聞いているか、わかりませんからね」
「は、はい!」
「気をつけます。同志中尉殿」
「では、内緒話は、ほどほどに」
政治将校の中尉は、後ろに手を組み、2人から離れていった。
「おい!本当に政治将校たちが、話していたのか?」
レベジェフが、小声で囁く。
「ああ。ソ連極東方面軍の全軍に、出動命令が出た。満州地方にも再度侵攻するんだって」
「おいおい、大作戦じゃないか・・・」
「ああ、俺たちの知らないところで、何か・・・とんでもない事が起きようとしている」
「赤軍も、投入されるらしいからな」
「ああ、地上軍7万と赤軍5万・・・計12万人の兵力と予備兵力3万・・・つまり15万の地上部隊で、エルキア公国を攻めるらしい」
「その程度か・・・?」
「ああ、少ないだろう」
「エルキア公国は、陸軍だけでも10万人、親衛隊3万人程度いる上に、義勇軍は50万人規模だ。その程度の兵力では、エルキア公国の北部地方の一部分を占領するのがやっとだ」
「戦術の教科書に反した内容だな・・・」
「上層部は、何を考えているんだ・・・」
「これは噂だが、アメリカからの圧力があったらしい・・・」
「アメリカから・・・?」
「ああ、そうだ」
進撃を続けるナチス・ドイツ軍との継戦のため、アメリカの支援を得る必要があるのはわかる。
だが、あの拝金主義者どもが支配する、アメリカが信用に値するかは、否としか言えないのだが・・・
第1部 終章1をお読みいただきありがとうございます。
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