第1部 序章 郷土防衛隊
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です。
西暦1941年12月。
エルキア公国北部にある国境の町のステファ町で、1人の女性が軍事訓練を終えて帰省した。
「あっ!お姉ちゃん!」
姉弟の中で、一番幼い弟が駆け寄って来た。
「レム。いい子にしていた?」
彼女は、抱き付いてきた弟・・・エフレムの頭を撫でた。
「お帰り、ソフィー」
「ただいま、ナージャ」
お腹の大きい姉であるナージャに、帰りの挨拶をした。
彼女の名は、ソフィア・アウロフである。
兵役の年齢である18歳になったため、兵役に志願したのだ。
兵役検査と兵役試験では、彼女は正規軍である陸軍若しくは海軍に不合格であったため、郷土防衛隊に志願したのである。
郷土防衛隊になるためには、訓練所で6ヶ月間にも及ぶ基本訓練と兵種訓練を受ける事になる。
ソフィアは知能、体力、射撃の等の能力が高かったため、狙撃兵という兵種になったのだ。
「ソフィア」
町の郷土防衛隊の勤務服を着た男性が、声をかけてきた。
彼は、元正規軍である陸軍の下級将校だった、イーゴリ・アバエフである。
「イーゴリおじさん。お久しぶりです」
「うむ。あんなに小っさかった娘が、狙撃兵か・・・俺も歳をとるはずだ」
厳つい顔に似合わず、柔らかい笑みを浮かべた、アバエフだった。
「イーゴリおじさん。私だって、もうじき母親になるのですよ」
ナージャがお腹を擦りながら、声をかける。
「ああ、幼かったお前たちが、大人になった・・・これは喜ばしい事だ」
アバエフが、顎髭を撫でる。
「さあ、本部に案内しよう。隊長がお待ちだ」
「はい!」
案内するために歩き出したアブエフに、ソフィアは付いていく。
「早く帰って来てね~貴女の好きな料理を並べているから~」
「は~い」
「それで、どうだ?訓練所は?」
「とても厳しかったです!部屋は整理整頓が当たり前で、食事は1日3食で、量が少ない!とても地獄でしたぁ~」
「はっはっはっ、お前は大食いだからな・・・1日10食だったか・・・?」
「そんなに食べないです~1日6食です!」
「そうか、そうか」
ソフィアは町の広場に、視線を送った。
「正規軍が、配置されていますね・・・」
「ああ、ここは国境の町だし、最近、共産主義者たちが怪しい動きを見せている。1個中隊が常駐していたのが、1個大隊が常駐するようになった・・・さらに、機甲部隊から戦車1個中隊が配置された。国境であるエルキア山脈では、1個連隊強クラスの連合部隊が配置されている」
「安心ですね・・・」
「安心なもんか・・・」
「どうしてですか・・・?何か問題でも?」
「配給される食糧が足りないというから、町の備蓄糧食に手を出している始末だし、正規軍だと威張って、町の住民から食糧を取り上げている始末だ・・・これじゃあ、戦争になる前に、こっちが飢え死にする」
「死活問題ですね・・・」
「ああ、お前も気をつけろ。ここに配置されている正規軍の軍規は緩い・・・はっきり言って、盗賊よりタチが悪い。何かあったら、俺や隊長に言え」
「わかりました」
「それと正規軍を信用するな」
「?」
「俺の知り合いが中央にいる。そいつの話では、正規軍の中に共産主義者勢力に加担する者もいるそうだ。ソ連との戦争が勃発すれば正規軍の連中は奴らに寝返るらしい・・・」
「そんな!?」
「声が大きい」
ソフィアは、口を塞いだ。
「共産主義者ですよ。彼らが私たちの父や母たちに何をしたのか、忘れたのですか?」
「忘れたんだろう・・・」
「・・・・・・」
思いもしない事に、ソフィアは言葉を失った。
第1部 序章をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。
次回の投稿は10月11日を予定しています。




