第1部 序章 大公の憂慮
みなさん おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です。
はじめましての方ははじめまして、IF自衛隊派兵シリーズの中でところどころに登場しているエルキア公国の物語です。
初めての方が読んでも問題ないように書いていますので楽しんでいただけると幸いです。
カムチャッカ半島の南端に位置する、エルキア半島。
カムチャッカ半島の最南端であるエルキア山脈の、南端の南端に突き出た平野。
そんな小半島に建国された、小国家であるエルキア公国。
1917年に発生したロシア革命から避難したロシア人たちによって、建国された国家である。
エルキア公国の元首である大公殿下は、ロシア革命で崩御されたニコライ・アレクサンドロヴィンチ・ロマノフ皇帝の息女の1人であるマリア・ニコラエヴナ・ロマノヴァである。
「大公殿下。陸軍大臣が謁見を求めています」
信頼する夫であり、この国の宰相でもある男が報告した。
「通しなさい」
「かしこまりました」
宰相は、一礼した。
しばらくすると陸軍大臣の大将が、謁見の間に姿を現した。
「大公殿下」
陸軍相は、深く一礼した。
「陸軍大臣閣下。何事ですか?貴方が急な謁見を申し出るというのは、よほどの事でしょう・・・?」
「はい、殿下。エルキア山脈北部カムチャッカ半島南部地域で、ソ連軍地上軍による大規模な演習が開始されています。列車砲や長射程の野砲による砲撃訓練と、戦車を主力とした歩兵部隊による訓練です」
「ナチス・ドイツ軍に対する新兵の教育でしょう・・・それが何か?」
「どうやら・・・単なる新兵の教育という訳では無いようです・・・大日本帝国陸軍省からの情報によれば、ソ連軍は、大日本帝国や朝鮮半島等への攻勢の準備を行っているという事です」
マリアは、眉を顰める。
「ソ連は、大日本帝国との間で不可侵条約を締結しています。さらに、ナチス・ドイツ軍の攻勢が強まっている中、ソ連軍が極東に侵攻する可能性は、殆どありえません。先日、外務大臣は、そうおっしゃっていたではありませんか?」
「その情報は、間違いかも知れません。ウラジオストク軍港に張らせている、我々の諜報員の話によれば、重巡洋艦、軽巡洋艦、駆逐艦、フリゲート、戦闘艇等に大量の糧食と弾薬を積み込んでいるようです。さらに、アメリカから貸与された輸送船、輸送艇等に兵員を乗せています」
「・・・・・・」
マリアは、目を細めた。
「仮に陸軍大臣の話が本当だとして、我が国は、大日本帝国に対して地下資源による経済支援及び軍事支援のみを行っています。それ以外の事については、我が国は支援を一切いたしません。ソ連軍が大日本帝国に侵攻しても、それは大日本帝国の問題です。私たちが関知するものではありません・・・この方針に問題があるのですか・・・?」
「いえ・・・そうではありません・・・ただ・・・」
「何かあるのですか・・・?」
「はい、情報によれば、ソ連軍はエルキア公国への侵攻を計画しているとの事です。国境方面及び国境の町に、正規軍を増員したいのですが?その許可をいただきたく・・・」
「軍事に関しては陸軍大臣、海軍大臣に任せてあります」
「わかりました。では、正規軍に出動命令、予備軍に召集命令を発令します。郷土防衛隊に、義勇軍への編入を命令します」
「大臣。くれぐれも、あまりソ連を刺激しないようにして下さい」
「承知しております」
陸軍大臣は、深く一礼をした。
彼は、そのまま退室した。
マリアは、疲れたように額に手を置いた。
「お疲れのようですが・・・お姉様」
声をかけたのは、妹のアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァであった。
「ええ、アナ。少し公務が立て込んでいるの・・・」
「ここは私に任せて、少しお休み下さい」
「ええ、そうさてもらうわ」
マリアは、ため息を付きながら玉座を立ち上がった。
第1部 序章をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。




