クリスマス短編集 私のクリスマス
私のクリスマス
私はよくいるもてない女
仕事はそれなりにして、帰宅する。
私の美しさに自分だけ気づいて誰も気づいてくれない。
こんなに魅力があるのに。
そうやっていつも布団に入る。
そして繰り返す毎日。
誰か気づいてくれないかな。
少し寂しくて、大切で、ささやかで、そんな気持ち。
もうあきたのに。
いつもの帰り道。
いつも、通り過ぎる人々
毎日すれ違うとそれなりに他人ではなくなる。
他人だけど他人ではない。
気軽に声をかけられてれば私こんなんじゃない。
そして今日も布団に入る。
もう、いい加減慣れてほしいこの気持ち。
今日も仕事を終えて帰る。
またいつもの帰り道。
今日はクリスマス。
そんなもの私にはいつもの仕事の日でしかなくて。
早く家に帰ろう。
私の愛の行き場はいつも家族に向けられる。
それが余計に私をさみしくさせて。
こんなにいい女いないんだから!
いつもの帰り道。
いつもの人とすれ違う。
今日はあの人もマフラー。
どこで小指のいとがつながっているかなんて。
私には。
私の恋はいつも片思い。
何事もなく終わっていく。
いつになっても慣れない。
家でテレビを見ていると電話が。
私の友達からだ。
「どうしたの?」
「あんた彼氏いないよね」
「今度男の人と会ってみない?」
「私の友達なんだけど」
今日はクリスマス。
さあ、この機会がうまくいくはわからない。
でもね、私の心は跳ね上がる。
今日はクリスマス。