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異世界の戦争学  作者: AO
12/15

戦争終結。戦争開始。


(…なるほど、素晴らしいな。)

ヴェルノはそう思った。

目の前の血塗れの青年、12番。

ほとんどが返り血だろう。

すでに彼の後ろには死体の山。

まだ魔法を学び始めて1年と少ししかないとアズリールから聞いている。

にも関わらず、B,Cランクなど魔法界上位の魔法使いを相手取ってここまで戦える。

スキルは「魔力操作」。

一見大したことのないこのスキルは、実は大きな可能性を秘めている。

このスキルは、「進化」することのできる数少ないスキル。

しかもどんなスキルにもなりうる、最高のスキル。

一体、どんな

そんなことを思いながら、ヴェルノは彼をみている。

魔法障壁、剣の腕前、体術、体力、魔法とスキルの切り替え。

これなら推薦状を書いても問題ないだろう。

また一人、後ろの死体の山に加わった。

とても一年目の魔法使いとは思えない、素晴らしい才覚。

第0課最高戦力の「F」に配属されるのは少しも不思議ではない。

それにしても、あの動き、誰かに似ているような…

「…レイズさん?」

いや、それはないな。あの人は12年前に死んだはずだ。

ヴェルノが時間を確認すると、もう作戦終了が近づいていた。


右から一人、左から二人。

左は魔法で処理、右は剣で処理。

ひたすら魔法と剣を振い続けていると、ヴェルノがパンと手を叩いた。

「はい、そこまで。作戦終了の時間だ。

アズリールの迎えが来ると思うから、外に出よう。」

ヴェルノはそう言って、俺と一緒に外に出た。


外は荒野だった。

「どこですか、ここ…」

俺は呟いた。

「ここはアレロメギア西部、ケルタンという地方だ。」

とヴェルノはいい、俺を抱き寄せた。

「え…?」と俺が困惑していると、

「魔法障壁を展開」

とヴェルノが言った。

俺は困惑したまま、黙ってヴェルノに抱かれていた。

次の瞬間。

バアアアアン!という大きな音と一緒に、魔法障壁が砕け散った。

「…相変わらず化け物だな。」

ヴェルノが呟く。

目の前を見ると、地面が割れていた。

「お、いた。課長様の登場だぜ。」

見ると、アズリールさんが遠くにいた。

「やっほーヴェルノ。」

「やっほーじゃねえよ。お前これやりすぎだろ。」

「ああ、ちょっとミスって。

新しい魔道具を使ったら、こうなった。

前線からここまでの数キロにわたってこうなったよ。」

「二度と使うなその兵器。

一振りでこれなら数万人が死ぬ。」

そう呆れたように笑って、

「じゃあな、12番。

次は戦場で会おう。」

とヴェルノは俺に言った。

「はい」

と俺は返した。

「あ、ちょっと待って。

この建物、もう用済みだから吹き飛ばしていいよね?」

え?作戦本部だった基地を吹き飛ばすんですか?

「俺がやっとくから、もうお前は行け。」

え?まじで?

「お、助かる。

じゃあ、ユウ君。行こうか。」

「どこにですか?」

「アレロメギアの王様がいるところにさ。」

そう言って、俺はアズリールさんに連れられて、歩き始めた。


「さて…」

ヴェルノは、無人となった作戦本部を一人歩いていた。

「久しぶり。アーガット。」

彼がそういうと空が口のように割れ、黒いパーカーを被った女が現れた。

顔は暗くてよく見えない。

「アズリールからギリギリ逃げ出したところ悪いけど、殺させてもらう。

レイズさんのために。

「4番。」使用。」

彼の黒く大きい目が輝いた。

彼の手には、剣が一本握られていた。

一方、黒いパーカーを着た方は

「5番。」使用。」

とだけ呟いた。

彼女の目が、青く怪しく輝いた。

ヴェルノの剣が分裂し、彼女の「口」とぶつかった。


「万牙鏡」

ランク「S」

大きさ 61cm。

効果 自在に分裂し、空間内を移動できる。


「さて、ついたね。ここが講和の場所だ。」

どうも戦争は終わったらしい。

「あそこに見えるハゲがいるだろ。あいつが外務大臣のテルヒ。

今回の講和会議の全権だね。私たちの仕事はあいつの護衛、とは言うけど

ほとんど何もしなくていいよ。ドアの前に立っとくだけでいい。」

見たところ、第一課、第二課の人間も護衛として数名いるらしい。


講和は本当につまらなかった。

テルヒがさっさと条件を突きつけ、向こうの代表らしき人間がそれに項垂れながらサインして、終わり。

俺もアズリールさんも呆れたような顔でそれを見ながらドアに立っていた。

かくして、アレロメギアは滅びた。


「そうか…アレメロギアが滅びたか…。」

ペルセフィアーノ帝国軍総司令部。

6名の人間が、円卓を囲んでいる。

上の電球は付いていない。つけていないのだ。

代わりに蝋燭をつけている。

「そろそろ滅ぼすか…。

Sランク三名を呼べ。」

帝国が、動き出した。

当然その動きは各国に広がり、各国が準備にいそしみ始めた。

大戦が、おころうとしている。





読んでくださってありがとうございました。

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