第83話
『よし! ステータス回復した!』
『階段、一掃して、ホールに行こう!』
『うん!』
ボク達は、階段を上がってくるゾンビを一掃し、ホールへと
下りた。
『リビングアーマーが来てるな。あいつは、籠球で倒そう。
経験値持ってそうだし。』
『ラジャ!』
『ドリブルしやすい様に、ゾンビを倒しつつ、コモンゴールを
目指すって事で! ココア、籠球だ!』
『りょ! Get Jump ball.』
両手の中に、白く輝くボールが現れ、
しゅた! って感じで、両足で着地した感じになる。
『さぁ、一本行こう!』
『おー!』
コモンゴールは、ホールの端に現れた。
ゾンビは、籠球に吸い寄せられる様に、わらわらと集まってくる。
だが、リビングアーマーは、違う動きを見せた。
『おにいちゃん、リビングアーマーが、コモンゴールの下に!?』
『ふむ。籠球にヘイトが集中しないのか…』
『よくわからないけど、考えてる暇ないわよ!
オフェンスタイムは、30秒しかないからね!』
『了解!』
ココアの前のゾンビを、エアカッターで倒しつつ
ゾンビのいないスペースへと、走る。
ココアは、ゾンビを引き付け、躱しながら、カラムへとパスを出した。
『ナイスパス!』
ドリブルでゾンビを抜き去ると、もう目の前には、リビングアーマーが槍を構えて
待っている!
リビングアーマーは、高速で槍を突き刺す動作を繰り返し始めた。
水平方向だけでなく、コモンゴールのある上方向にも、高速で突き上げる動作を繰り返す。
一人槍衾。
『くっ、これでは、シュートが打てない』
ゾンビに囲まれそうなので、ココアにパスを出し、
ステップワークで、一旦下がる。
『ココアに、ダークバインドで、リビングアーマーの動きを
止めてもらって、おにいちゃんがシュートを打つってのはどう?』
『そうだな、それでいくか!』
『ココア、ダークバインド出来る?』
『うん、やってみる! カラム、パス!』
『ほいっと。』
カラムはパスを受け取り、ドリブルでゾンビを躱していく。
『いっくよー! ダークバインド!』
リビングアーマーの槍衾に、ココアのダークバインドが炸裂した!
激しい動きが、闇の力で押さえつけられていく。
リビングアーマーは、膝をついてしまった。
『今よ! おにいちゃん!』
『あっ、うまくシュート出来るかな…』
『大丈夫よ! ココアのレイアップ、MotionCapture してあるから!
シュート レイアップで、打てばいいわ!』
『さんきゅー、リミット。
じゃあ、いきますか!
モーションリンク シュート レイアップ!』
カラムは、ドリブルで、ゾンビを躱し、目の前で膝をついてる
リビングアーマーの前で、左足で踏切り、ジャンプしながら、
右手を伸ばして、ゴールに籠球を置いてきた。
コモンゴールに、カラムのシュートが決まった!
その瞬間、ゾンビ達の頭上にあったゴールが弾け飛び、
同時にゾンビ達は、崩折れる様に、地面に倒れ、光の粒子となって
消えた。
だが、リビングアーマーの頭上にあるゴールは、依然として存在し
ダークバインドの拘束に抗っている。
『ナイッシュー! カラム!』
『サンキュー』
『魔力が足らなかったみたいね。』
『そうみたいだ。次は、もっと込めてから、シュートしないと…
って、オフェンスタイム終わっちゃったか…』
『ゾンビは、一掃したから、次のオフェンスタイムまで
リビングアーマーを警戒ね』
『ラジャ!』
リビングアーマーのダークバインドが解け、動き出した。
『逃げ回って、籠球で攻撃しよう!』
『ラジャ!』
『ココア、ダンクシュートって、やった事ある?』
『ないわ。』
『まぁ、中学生のバスケで、ダンクはないか…』
『うん、試合とかでは見たことない…
けど…』
『ん? けど?』
『遊びでね。トランポリンダンクなら、やった事あるわよ』
『トランポリンダンク?』
『うん、小さいトランポリンで、高くジャンプしてダンクを決めるの』
『なるほど。ジャンプ力をトランポリンで補うわけか…
ん? 待てよ、身体強化なら、トランポリン無くても、さっきのゴールくらい
ジャンプ出来るよな…
ココア…』
『わかった! ダンクね! やってみる!』
ココアは、カラムにみなまで言わせずに、答えた。
リビングアーマーは、こちらに向かって歩いて来てるが
来た分下がる感じで、リキャストタイムの20秒が終わるのを待った。
『じゃあ、いこうか!』
ココアは頷き、呪文を唱える。
『Get Jump ball.』
両手の中に、白く輝くボールが現れ、
しゅた! って感じで、両足で着地した感じになる。
『もう一本! いくよー!』
『おう!』
コモンゴールが、ホールの端に現れる。
と同時に、リビングアーマーが、コモンゴールに向かって
走り出した。
『やっぱり、こいつ、あのゴールを守ってるのか?』
『そうかもしれないわね』
ゾンビのいないホールを、ゆっくりと、ドリブルしながら
コモンゴールを目指す。
籠球に魔力を込めながら、パスを繰り返す。
眼の前には、リビングアーマー。
一人槍衾を展開している。
とても近づけそうにない。
『ココア、ダークバインドだ。』
『ラジャ!』
『ダークバインド!』
リビングアーマーの激しい動きが、闇の力で押さえつけられていく。
『ココア、パス!』
魔力を込めた籠球が、白く輝き、薄暗いホールを照らす。
真剣な瞳のココア。
ゴールを目指し、ドリブルが始まった!
『いっけー!』
ぶわっと、飛び上がるココア。
踏切が遠い!?
いや、届く!
滞空時間の長い、まさかのワンハンドダンク!
ドゴーン!
コモンゴールが弾け飛ぶ様な、豪快なダンクが決まった!
その瞬間、リビングアーマーの頭上にあったゴールが弾け飛び、
リビングアーマーは、光の粒子となって消え、床には魔石が転がっていた。
そして、コモンゴールも、ゆっくりと消えていった。
『ナイッシュー!!』
腕を振り上げるココア。
『凄い! レベルが上がったわ!』
『マジか!』
『なになに? レベルが上がったの?』
『うん、おにいちゃんが、レベル2になったわ』
『わたしは?』
『ココアは、まだね。』
『えーー』
『ココアは、レベル10だからね。レベル1から、レベル2に必要な経験値と
レベル10から、レベル11に必要な経験値とじゃあ、だいぶ違うと思うわ。」
『そうなんだ…』
『でも、レベルが上がるって事が判ったから、いいか!』
『だよなー
ずっと、レベル1のままだったら、どうしようかと思ってたよ』
『よかったわね』
『ようやく、レベル上げが出来るよ!』
『でも、凄かったなー』
『何が?』
『ココアのダンクだよ! マジ、凄かった!』
『へへへ、そう?』
モンスターのいなくなったホールで、ハイタッチの音が響いたのだった。
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