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第69話

はじまりのまち 街門前


『行った時のままだね。俺達の他に動いてる人はいない』

『感染以外の人も。』

『とはいえ、誰か来るかもしれないから、早めに用意して

ネクストステップへ向かおう』

『了解』

『うん』


大きな岩を乗り越え、街門を突破する。

今回は、リミットがいるから、用意も捗るはず。

自分の家だしね。



自宅


『ここだよ。入って』

『大きい家ね。』

『そう?』

『フィー、早く来て。着替えるわよ』

『え? はい…』

『いつまでもそれだと、見つかるわ』

『そっか! わかった。』


『おにいちゃんは、見ちゃだめ!』

『そうだな…!? でも、どうすればいい?』

『チャットから、一旦抜けて。』

『了解』

カラムは、チャットを抜けた。


『おにいちゃんは、ここに座って、全画面で、魔力操作やってて』

『う” マジか…

了解……』

「カラム、ごめんね。がんばって!」


リミットは、脳内妹なので、会話は可能だが、フィーは普通に声で会話となった。


仕方ない、やるとするか。




リミットは、元々自分の部屋だけあって、どこに何があるのか知っている。

クローゼットから、服を取り出させ、着替えを促す。

『このシャツ、ちょっと胸がきつい…』

『ぐぬぬぬ…』

『あ! 大丈夫、着れるわ。着れるから!』

リミットのお怒り顔が、フィーに迫る。


『丸首の長袖Tシャツを、Vネックにしてやりましょうか?』

『いえ、大丈夫です…ごめんなさい…』


ベストを合わせて、フード付きのコートを羽織る。

ボトムスは、膝上までのショートパンツに、編み上げのブーツ。

フィーにはちょっとだけ、小さい感じだが、スタイルがいいので

着こなしてしまう。


『うん、どうかしら?』

『いい! 冒険者っぽい!』


カラム(リミット)は、女の子だが、行商人として育てる為、男の子に見える様な

格好を、母にさせられていた。

行商中に、明らかに女の子と判る格好をしていると、目をつけられ、襲われる可能性が

増す為だそうだ。


「カラム! どう? 冒険者に見える?」


いきなり、話しかけられ、魔力操作に失敗したカラム。

「あー……」


「後ろ、向いてもいいよ!」

「……………………」


やばい…

チャットしてなくてよかった…


「いい…んじゃないか…」

ちょっとぎこちなくなってしまったが、大丈夫だろう…

『……………………』


「冒険者に見えなくもないかも…」

「え? どっち?」

「あぁ、見える…ね…うん、見える」

「よかったー」

にっこり笑うフィーに、ちょっと、ドキッとしたのは秘密だ。


『じゃあ、他の着替えも用意するから、リュックに詰めて』

『了解!』


「リミット、俺の着替えは?」

『元々、カラムの服だから、別のリュックに詰めとくわ』

「あざーす」


「なぁ、変装とかしなくて大丈夫かな?」

『髪の色とか、目の色を変えられれば、完璧なんだけど、

そんな魔道具ないしね。』

「存在はしてるのか?」

『さぁ、父さんか母さんなら、知ってると思うけど。』

「そっか…仕方ないな。変装は無しで」


『でも、髪型くらいは変えてもいいかもね。

フィー、ちょっと来て』


「はーい、なぁに?」

『髪留めなんだけど、付けられる?』

「うん。いいの?」

『戦闘の時とか、髪が邪魔になるし、見た目も少しは変わるから』

「そっか、ありがとう! 付けてみるね」



「どうかな? 羽ばたいてる?」

これまた…いい…な…


「うん? 羽ばたいてる?」

「どうなの?」

「羽ばたく? 髪が?」

「あーカラム…残念…」


「え? 残念?」

「まっ、いっか。ふふ」


あとで知ったのだが、あちらの世界の現役14才達は

普通に使ってる言葉だったらしい。

知らんがなー


そんなやりとりをしていたら、リミットが切れた。


『二人共、イチャコラしない!

ご飯、食べるんじゃなかったの?』


「そうだった! 腹減ってたんだ…

思い出したら、急激に腹減ってきた…」

「うん、減ってきた…」


「リミット、何か食べるものってあるかな?」

『確か、クッキーがあったはずよ』


食堂に行き、棚を開ける。

棚には、箱が何段か積み上げられていた。


『あった。この箱を開けてみて』

「これか、了解」


箱を開けると、クッキーと思われる物が入っていた。


『あまり美味しくは無いかもしれないけど、この世界のクッキーよ』

「おぉ! これが、この世界のクッキーか!」

「食べてもいい?」

『どうぞ』


「「いただきますー!」」


固い…

うん、粉っぽい…

あまり、甘くない…

過度に期待してはいけないな。

でも、食べられるし、不味くはない。

贅沢は敵だ。

携帯食として考えれば、とてもいい食材だ。

なるほど、行商人が持ち歩くわけか…

小腹が空いたら、このクッキーを。という感じで同業者に売る。

よく考えられてる。さすがだ。


「リミット、これって売り物?」

『そうよ。お父さん達が行商で売ってるわ』

「持っていってもいいかな?」

『えぇ、ネクストステップまで行くのに、何日か、かかるから

持っていきましょう』

「よかった。調理無しですぐに食べられるのは、いいね」

「うん、美味しいよ。」



俺達は、空腹ステータスを脱した。


『二人共、聞いて。

おにいちゃんは、チャット、INして。』

「わかった」

カラムはチャットにINした。


『二人がご飯食べてる間に、ちょっと調べ物をしてたの。』

『調べ物? 何を調べてたんだ?』

『さっき、籠球使って、戦闘したでしょ?

だから、レベルが上がってないか? 確認したの』

『どうだった!?』

『残念ながら、レベルは上がってなかったわ』

『そっか…

まぁ、ゴブリン3匹じゃあな…上がらないか…』

『みたいね。でも、フィーの SP が増えてたわ』

『マジか!』

『え? ほんと?』

『フィー、ステータスオープンしてくれる? 共有で出すから』

『OK! ステータスオープン!』

リミットは、チャットの下に、フィーのステータスを表示した。


名前:フィールド

年齢:13才

職業:神託の巫女


LV:10

HP:85

MP:215000(+214570)

SP:500

STR:15

ATK:11

VIT:18

DEF:10

INT:80

DEX:43

AGI:25

LUK:20


スキル:籠球 ヒール

職業スキル:

 告知 プロシージャ


魔法:浄化

称号:攫われ中な巫女


『!? 途方もないな…』

『MPが!』

『ほんと、途方もないわね…』


『それで、増えた原因が、これ。

長くなるから、名前だけに絞ったわ』

リミットは、チャットの下に、フィーのイベント完了データを表示した。


sql> select Name from events where PlayerId='66666' and EventFlag='099'\G

*************************** 1. row ***************************

Name: はじめてのログイン

*************************** 2. row ***************************

Name: はじめてのチャット

*************************** 3. row ***************************

Name: はじめてのヒール

*************************** 4. row ***************************

Name: はじめての籠球

*************************** 5. row ***************************

Name: はじめてのレイアップシュート

*************************** 6. row ***************************

Name: はじめてのモンスター討伐



『おにいちゃんと同じ、”はじめて” シリーズよ』

『なるほどな…

こんなに大盤振る舞いしてるとこを見ると、転生者は、MPが必要なのかな?』

『どうなのかしらね…わからないわ。

それよりも…

スキル交換した方がいいんじゃない?』


『確かに! フィー、スキルの交換なんだけど…』

言いかけた所で、フィーがかぶせてきた。


『うん、わかってるわ。カラムが選んでちょーだい』

『いいのか?』

『うん。あんまりよく分からないから、お願いしたい』

『わかった!

フィー、スキル選択の画面出して貰ってもいいか?』


『うん、ちょっと待ってね。

はい、これ』

チャットの下に、共有設定されたスキル選択の画面が現れた。


ふむふむ。結構あるな。

目ぼしい奴だけリストアップしよう。


身体強化パワータイプ

身体強化スピードタイプ

身体強化バランスタイプ

ウォーターボール(水属性攻撃魔法)

ファイアーボール(火属性攻撃魔法)

セイクリッドインパルス(神聖魔法攻撃魔法)

ダークバインド(闇属性拘束魔法)


いいね。全部 SP 100 で、取れる。

100 は、残すとして、400使える。って事は、4つ覚えられるのか。

うーん…


『フィーは、覚えたいスキルとかある?』

『そうね……

この中なら、ウォーターボールか、セイクリッドインパルスかな』

『なんで?』

『ウォーターボールは、水が出せるから、喉が乾いても困らないし、

セイクリッドインパルスは、ほら、わたし、こう見えても、巫女だから…

ね…』

『なるほど。2つは確定として、あと2つか…

うーん…』


しばらくの間、悩んでしまっていたらしい。

しびれを切らしたリミットが、声をかけてきた。


『時間かかりそうなら、先に、へそくりを確保しといた方がいいかも』

『あー! そうだ! へそくりを取りに来たんだった…』


先に、へそくりを探しに行っとくか。

悩ましい…


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