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第6話


2階の講習室に行くと、誰もいなかった。

今日の新人は、俺だけか。

しばらく二人で待っていると、講習室のドアが開いた。


熊みたいな体格の獣人の男がやってきた。

丸い耳が頭に付いていた。


「あーこれから、新人冒険者の講習を行う。質問があれば受け付けるが

都度ではない。質問タイムを設けるので、その時にするように。

では、講習を始める」


熊のおじさんは、ギルドについてのあれや、これやを淡々と説明していく。

『うわー、これ覚えきれないぞ』

とりあえず、検索しとくか


ギルド関係のテーブルはと…

あった


m_guild_rules テーブルか。

ギルド規約のマスターっぽい


sql> select Id, Name, Contents from m_guild_rules\G

*************************** 1. row ***************************

Id: 1

Name: 冒険者ギルドについて

Contents: 冒険者ギルドは、中立の組織であり、国の成約を

受けない。国が戦争となっても、国からの依頼で冒険者を戦争に参加

させる事はない。冒険者個人の判断で、戦争に参加するのは、ギルド

としては、干渉しない。

*************************** 2. row ***************************

Id: 2

Name: 冒険者ランクについて

Contents: 冒険者ランクは、F~Sの7種類ある。新人冒険者は

Fからのスタートとなり、ギルドに貢献する様な行いをすると、

冒険者ランクが上がっていく。ギルドに貢献する様な行いとは、依頼を

こなす事であったり、魔物の討伐などである。



一杯あるなぁ。

検索したデータを眺めつつ、そんな事を思っていると

30分くらい説明しまくっていた熊のおじさんが、話しかけてきた。

「では、ここらで、質問タイムとしよう。何か、質問あるかね?」

「特にないです」

「大丈夫かね? 質問なしなら、このまま続けるが」

「大丈夫です。続けてください」

「ふむ」


「意地悪する訳じゃあないんだが、この後はこちらからの質問に

答えてもらう事になる。それに答えられないと、追加講習で

明日、また来てもらう事になるが、本当に質問しなくていいかね?」

『なんと! テストがあったのか。』

追加講習なんて、やだな。

まぁ、ギルドのマスターデータを参照しながら、答えればなんとかなるな。

「はい、大丈夫です」


『この子は何日で、講習を終わるかな? 大抵、7日くらいかかるし、

覚えが悪い奴は、2週間は講習受けてる。

でもまぁ、これを覚えないと、冒険者としてはやってけないからな。

きっちり、覚えてもらうか』


「では、こちらからの質問に答えてもらおう」

「ギルドランクについて、ランクの種類はいくつあるかな?」

「はい、F~Sの7種類です。」

『ほう、即答か。ぼーっとしてるから、聞いてないのかと思ったが…』

「正解」

母が拍手してる。


「では、依頼を受ける時の制限について。冒険者が、Fランクの時

受けられる依頼のランクは、何かな?」

「Eランクです。一つ上のランクの依頼までは受けられるので。

ただし、実力や実績等により、ギルドが許可しない場合もあります。」

「むむ、正解じゃ。」

母がニコニコしながら、拍手してる。

『またしても正解だ。しかも満点な回答』


「では次、Eランクに上がる条件は何かな?」

「はい、10の依頼達成が条件になります。ただし、ギルドマスターの

裁定によっては、この限りではありません。」


「ほう、ギルドマスターの裁定とは何かな?」

「例えば、明らかにAランクの実力が見込まれるのに、Eランクには

しておけないとかですね。他の冒険者に示しがつかないとか

そういう場合が、ギルドマスターの裁定になります」

『ぐぬぬぬ…またしても満点な回答じゃ』

「正解じゃ」

母は嬉しそうに拍手してる。


この後も、熊のおじさんは、質問をしてきた。

それはそれは、沢山の質問だった。

ぜぇぜぇしてるし。

1時間くらいの質問攻めに、耐えきり、やっと終わった。

全問正解だ!

当然だけどね。てへ。


「これで、冒険者講習は終わりだ。」

「明日は来なくてもいいですか?」

「あぁ、来なくてもいい。1回でこの講習を終わるのは、君がはじめてだよ」

『なんと! そうだったのか…やりすぎちゃったかな』

「このまま、ギルドで働いて貰ってもいいくらいだよ」

『やっぱ、やりすぎたー』


「あの」

黙って座っていた母が、熊のおじさんに話しかけた。

「ん? なにかな?」

「ギルドカードの発行は明日ですよね?」

「今日の登録なら、そうだね」

「カードが無くても、依頼は受けても大丈夫ですか?」

「………」

くまのおじさんは、俺の方をじっと見た。

「この子なら、知ってるはずじゃ」

「ああ、大丈夫だよ、母さん。ギルドカードが無くても受けられるよ。

登録済なら、大丈夫。依頼完了報告時に、ギルドカードを提出すれば

いいんだよ。今日、依頼を受けて、明日、貰ったギルドカードと一緒に

依頼完了報告をすれば。

ギルドカードももしかしたら、必要ないかも。登録済だし」


「正解」

「ギルドで働かないか?」

熊のおじさんは、俺に目線を合わす様に、しゃがみ込みながら、そんな事を

言った。

「え?」

「あらあら、まだ12才ですから、ギルド職員は無理ですわ」

母が介入

「そうですか、残念です。この子なら、出来ると思ったんですが」

残念そうな熊のおじさん。


「では、講習ありがとうございました」

「何か、分からない事があったら、なんでも聞くといい。

といっても、わからない事が無さそうだが…」

「はい、ありがとうございます」

苦笑いを浮かべ合う二人。


母と2人で、講習室を出た。


はぁ、やっちまったかなー

知識チート極まれり。

冒険者ギルドのマスターテーブル見ながら、答えれば満点だよなー

追加講習を受けたくない一心で、やってしまった…


お読み頂きありがとうございます。

ブックマーク、評価など頂けるととても励みになります。


誤字報告ありがとうございます

(_ _)

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