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第59話

森の入口


「ここからは、モンスターがいるから、出来るだけ静かにして。」

「ちょっと、カラムを助けるんでしょ? 森になんか入ったら

助けに行けないじゃない!」

「大丈夫だよ。もう少ししたら、わかるから」

「ほんと?」

こくりと頷くストーンゴーレム。

「夜の森はモンスターが多い。ここからは、急用以外は、声を出さないで」

「………………仕方ないわね。わかったわ」

お姫様抱っこのまま、了承するフィー。




地図を見ながら、森の中を歩く。

モンスターを避けつつ、川を目指す。

まずは、水を確保しないと。

ストーンゴーレムの身体は、暗闇の中だというのに、森の中がよく視える。

暗視というのか? スキルにはなかったはずだが、特に不便に感じない位には

よく視える。


右前方にゴブリン5体、左の方からは、オークが1体来ている。

どうするか…


このまま進むと、どちらかと戦闘になる。

オークか…

オークはまずいな…

フィーみたいな女の子を、オークに近づけさせる訳にはいかない。

ゴブリンに行くか。

だが、オークは鼻が利く。離れたとしても気づかれるかもしれない。

遠くから、さくっと、殺っておくか…


フィーをお姫様抱っこしてる為、両手が塞がっている。

一旦、下ろすか…

まだ、距離もあるし…と思っていた所で、ひらめいた。

リミットに、エアカッターを撃ってもらおう!


リミット、エアカッター撃てる?

『ええ、おにいちゃんが出来る事なら、大抵出来るわ』

じゃー、オークにエアカッターを撃ってくれるかな?

『いいわよ』


よし! これが出来ると、近接戦闘しながら、魔法も使える

マルチタスクな戦士になれそう!


一応、エアカッターの設定を確認しとこう。


魔力量     25

大きさ     魔力量に準ずる

速さ      魔力量に準ずる

数量      5

ターゲット設定 マニュアル

飛び方     直線

属性付与    なし

DMA設定    なし

動作設定    なし

詠唱設定    エアカッター

魔力操作設定  自動


オークが近づいてきている。

何かに勘づいたのか?


リミット、頼んだぞ!

『ラジャ!』


オークがエアカッターの射程内に入った所で、リミットがエアカッターを

放った。


『エアカッター!』


同時に5発のエアカッターが、オークを襲う!


「ぶも!?」


何が起きたのか? わからない内に、オークは五体バラバラに

なって、血の海に沈んだ。


よし!

魔法はリミットに任せよう。

頼むな、リミット。

『ラジャ』


魔石の回収は諦めて、川へと急ぐ。




川の周りはモンスターが結構いた。

見た目には何もいない様に見えるが、地図はごまかせない。

レッサーホーンラビットが1体、フォレストウルフが4体、

ダークオウルが1体、地図に表示されている。

フォレストウルフが川に近づいた所で、レッサーホーンラビットが

離れていった。

ダークオウルは、木の上で、気配を殺している。


ふむ。

さて、どうするか…

まだ、気づかれていないと思う。


フィーは凄く大人しい。真っ暗闇の中、抱っこされて

もしかしたら、寝ちゃったのかもしれない。

ずっと磔にされてたしな。

あんまり寝れなかったのかも。


フォレストウルフが立ち去るのを待つか…

待ってる間に、他のモンスターが来そうな気もする。

ダークオウルが、音もなく飛んできて、攻撃されるのも嫌だな。


位置を把握している俺達の方が有利だから、先手必勝、遠距離からの

エアカッターで、殲滅するか。


『おにいちゃん、まかせて。

何もさせないうちに、殲滅してみせるから!』


わかった。リミット、頼む!

『ラジャ!』


川の上流から風が吹いている。

俺達は、風下からフォレストウルフがいる場所へと近づいた。

フィーを抱えながら、1歩2歩と近づいていく。


パキリ


しまった! 枯れ枝を踏んじゃった!?

ビクリと、フォレストウルフが反応した。

一斉にこちらを振り返るフォレストウルフ。


『エアカッター! ホーミング!』


リミットが、エアカッターをホーミング設定で放った!

川の手前は、河原になっていて、障害物がない。

これならば、ホーミングが生きる!


どんなに変則的な動きで、フォレストウルフが迫ろうとも

ホーミングからは逃れられない!


ズバッ! ズバッ! ズバッ! ズバッ! 


4発のエアカッターが、フォレストウルフを切り裂き、

どさりと、大地へと倒れる音がした。


やったか!?

『フラグよ、おにいちゃん』

うっ! でも、これはやったろ?

『どうかしら? 仲間を呼ばれなければいいけど…』

すまん…


しばらく動かずにじっとしていたが、新たな敵が来る気配もなく

地図に敵のマークが増えることもなかった。

『大丈夫みたいね』


ダークオウルは、どうする?

『ホーミングで狙いはつけてあるから、動いたら…』

リミットは、みなまで言わなかった。


わかった。じゃあ、水を汲んで、洞窟に向かおう。


ストーンウォールでタンクを作ったまでは良かったが、

フィーを見ると、すぅすぅと心地良さそうに寝ていた。

起こしてしまうのは、可哀想だ。

どうしようかと、考えていると…


『いつまで大事そうに抱えているの?

早くしないと、フォレストウルフの血の匂いで

他のモンスターが来ちゃうわよ』


そうだった。

早くしないとまずい。

フィーを起こしちゃうのは可哀想だが、仕方ないな…


地面に直接寝かせるのも、どうかと思ったから、

ストーンウォールで、フィーが寝れるくらいの机を作り

そこに、そっと寝かせた。


『………………………』


タンクに水を汲み、首に巻いてあるマフラーで、背中に背負う様に

固定した。


これでよし、洞窟に向かおう!


俺は、フィーをお姫様抱っこして、洞窟へと向かった。

お読み頂きありがとうございます。

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