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第55話

結局、自宅の自分の部屋に来ちゃったな。

ここなら、罠もないはずだし。

ベッドに寝転がり、考える。


さてと

凄い時間が経過した様な気がするが、森を出てから2日目だ。

洞窟にいた時間の方が、よっぽど長い。


母さん達は、まだあの洞窟にいるかな?

地図を拡大、スクロールして、洞窟を確認する。


いる。

母さんも、ギルマスも、冒険者達も、動いていない。

コミットくんも、父さんも、兄さんも、動いてない。


まだ石化中だな。

とはいえ、レイドボスが降臨した時の映像。

あの時、まちは賑わっていた。

それに、領主の館の前の広場に、ピラミッドは無かった。


賑わっていたまちに、レイドボスは降臨したんだ…

そうなると、

11月11日よりも前に、まちの人達の石化は解けるのか?


むむむ…


母さん達の心配は、一旦置いておこう。

今は、自分の行動だな。

いつの間にか、神託の巫女を助けないルートを進んじゃってるが、

これを、神託の巫女を助けるルートに変更しなきゃならない。


フィーのあんな姿見たくないしな…


よし! やるか!


ブーストオフ カラム!


2日ぶりに女の子の身体に戻った。

ちりちりと、つま先から、石化が始まった。


3分で腰くらいまでだったか。6分位で全身が岩になっちゃうな…


うーん、意外と長いな。

そういえば、ここの所、ステータスとか見てなかったな。

見とくか。


『ステータスオープン』

名前:カラム

年齢:12才

職業:冒険者 (行商人見習い)

状態:感染


LV:1

HP:10

MP:23400(+23980)

SP:1200(+500)

STR:6

ATK:5

VIT:5

DEF:4

INT:8

DEX:4

AGI:7

LUK:9


おっと! SPが500も増えてる!

Mpが凄い事になってるな。

元のMpが、20 だったから、

20 * 1200 = 24000

魔力だけはSランク。他はクソザコw


なんで、SPが増えたのかな?

カラムのイベント完了で、イベントテーブルを検索したら

以下のはじめて~シリーズが HIT した。


はじめての浄化

はじめてのファイヤースターター

はじめての竈作り

はじめてのお料理

はじめての天体観測


これの報酬が、それぞれ SP 100 とかなんだろうな。

いや、しかし…

この調子で、SP 貰えると、俺の魔力は天元突破しそうだw

でも、いくらあっても、足りなくなるのが魔力だからな。

どんどんウエルカムw。


こんな事をしてる内に、首の下まで、石化してた。

これって、他から見ると、まあるい岩になっていってるのかな?

体育座りに、姿勢が固定されたけど、じわじわ、不安になってきた。

動けるようになるのかな…


あっ! と思った瞬間だった。

意識がブラックアウトした。


……………………

……………

………

……




どのくらいの時間がたったのか? わからない…

誰かが呼ぶ声が聞こえる…


おに…ちゃ……

お…い…ゃん……

おにい……ん……おき…

おにいちゃん…おきて…

おにいちゃん、おきて!


ん…んー…!?

薄く目を開けて、すぐに閉じた。

夢か?

もう一度、目を開ける。

ぎゃーー


ゾンビがそこにいた!


「ゾゾゾゾンビが! 食われる!」

「失礼ね。ゾゾゾゾンビじゃないわ。ゾンビよ」

えーーー

「食べないから安心して。おにいちゃん」

「お・に・い・ち・ゃ・ん? 誰が?」

指をさすゾンビ。

「誰の?」

「うちの」

「いやいやいや、ゾンビの妹を持った覚えはないんだが…」

カラムの妹と名乗るゾンビは、カラムの上にまたがって座っており

逃げられない。


「それに、ここはどこだ?」

「ここ? ここは、おにいちゃんとうちの部屋だよ」

「俺と? 君の部屋? 君は一体誰なんだ?」

「うち? うちは、カラムだよ。」

にっこり笑うゾンビ。

顔色は悪いし、目の周りは黒いし、とって付けた様な傷跡が

あったりするが、なんとも愛嬌があって、笑うと可愛かったりする。


「え? カラム?」

「うん、やっと会えたね、おにいちゃん!」

そういえば、どことなく俺に似てる…

俺がゾンビになったら、こんな感じかも…


もしや…

この身体の元の持ち主さま!?


「な、なんで、ゾンビに?」

「うーん…

おにいちゃんが、うちの中に入ってきた時に

体中が熱くなって、痛い様な、気持ちいい様な、変な感じになって…」

「ちょーっと、タイム! 誤解をまねく様な言い回しは…

やめて…ほしい…」

「カラムの中に俺が入った?」

「うん」

こくりと頷く、ゾンビ娘。

「俺は…やってない…と…思うんだが…」

「おにいちゃん、覚えてないの?」

こくりと頷いた。

「さいてー!」

ぷいっと、横を向いてしまったゾンビ娘。


「今、初めて会ったよね?」

「会ったのは、初めてね。」

「????」


「今、初めて会ったのに、どうやって、君の中に入るの?」

「どうって? おにいちゃん、転生してきたでしょ?

その時の話しだよ」

「え? 転生? は?」


じとーっとした目で、見つめてくるゾンビ娘。


ヤバい誤解してた…

顔が赤くなってきたが、ゾンビ娘は、スルーしてくれるみたいだ。




「話し、続ける?」

「おねがいします…」

「おにいちゃんが、うちの中に入ってきて、ゆっくり溶けあっていって

うちと、おにいちゃんの境界があいまいになってきた時に

おにいちゃんは、フォアグラウンドに、うちは、バックグラウンドに

飛ばされたの」

「ほう…」

「フォアグラウンドで動いていた、うちのプロセスは、唐突にバックグラウンドに

なったおかげで、親のプロセスが無くなって、ゾンビプロセスになったってわけ。」


「なっ!?」


そういえば、そんなプロセスがいた様な…


USER PID STAT COMMAND

column 1259 Z /usr/sbin/iThink.ido


「我思う」とかいうプロセス…

もしかして、これが、本来のカラム…

マジか…



「それじゃ…俺が転生したから、君が、ゾンビになったって事なの…か?」

「まぁ、簡単に言うと、そうなるね」

「そ、そんな…」

そんなつもりは、無かったと言いかけたけど、そんな事を言ったって

もうしょうがない。


「ゾンビを直して、君に身体を返したい!」

「何を言ってるのさ、おにいちゃん。

おにいちゃんとうちは、深く溶けあって、もう、うちがおにいちゃんで

おにいちゃんが、うち。みたいになってるんだ。

だから、本当なら、うちは知らないはずの知識を知ってる。

フォアグラウンドとか、バックグラウンドとか

本来のうちなら、全く知らないはずだからね。

おにいちゃんも、うちの事、知ってるでしょ?」

「……………………」

確かに、カラムの事を考えると、思い出す感じで知っている。

それに、今話した感じだと、こちらの世界の人じゃなくて、

前世の地球にいたエンジニアと話してるみたいに感じる。


「でも、知識は共有出来ても、何をどう思うか? とか、そういう所は

それぞれ別のプロセスで動いているせいか、違うみたいだけど。」


「フォアグラウンドコマンド FG で、君のプロセスをフォアグラウンドに

戻せないかな?」

「戻せない」

「試したの?」

「いや、おにいちゃんがいたからね、試してはいないよ。

それに、そんな事をしたら、即死かもしれないし。

戻り先のないプロセスを戻そうとしたら、KILL されそうじゃない?」

「まぁ、確かに、KILL されなくても、何らかのエラーが出るな。たぶん。

その結果、変な事になったら、嫌だね。」

「でしょー」


「確か、プロセスを再起動する手順は、ゾンビプロセスを、KILLして、

もう一度立ち上げる感じなはずだな。」

「だよね。でも、一度 KILL したら、次に立ち上がってきた、うちが

今のうちと同じかどうか? わからないから、KILL したくないんだ」

「なるほど…」

「うちは、今のうちでいたい」


カラムの上にまたがって座ってるゾンビ娘に、熱い視線を向けられて

そんな事を言われていた。


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