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第34話


森の入口まで、家の行商に使っている荷馬車で、リカバリーさんに

連れてきてもらった。


「さぁ、ここからは、歩きよ。リカバリーありがとうね。

あとはよろしく」

「はい、クエリー様。お気をつけて。カラムちゃんも、怪我しないようにね」

「はーい」

母は頷き、ボクは返事をした。

町へと戻っていく荷馬車。


「さてと、ギルマスはどこ?」

地図を表示し、ギルマスの現在地を確認する。


「まだ、街道を移動中みたいね」

「ただ待ってるのも退屈だし、先に、ひと狩りいっとく?」

「いいの!?」

「レベル上げしないとだし、昨日も訓練頑張ってたしね。

行方不明になってる冒険者達も、動いてないんでしょ?」

「うん」

気になって、度々、位置の確認をしてた。

「動いてない。」


「遭難したら、動かずに助けが来るのを待つ。引率の冒険者が

そう判断したんだと思うわ。」

「早く助けに行ってあげたいけど、ギルマスと一緒に行く約束してるし

ギルマスを待つ間、カラムちゃんのレベル上げするわよ。」


「はい!」

「ただし、わたしの言う事を絶対に守ってね」

「はい、姉さん!」

「もう、カラムちゃんたら」

おほほほと、笑うクエリー




森の中を歩き始めて5分くらい立った頃、母が何かの気配を感じ取った。

指のサインで、5体のモンスターが近づいているのを、教えてきた。

「たぶん、ゴブリンね。カラムちゃんは、ここで待機。

動いちゃだめよ」

「はい」

残念だが、母の言う事を絶対に守るって約束だから、仕方ない。


母は、するすると、木の間を縫うように移動していく。

そして、大きな木に背を預けると、こちらに向かってサインを出す。

確か、あのサインは、「魔法で殲滅する」だったはず。


母の少し先には、緑色の肌をした子鬼の様な人型のモンスターが

きょろきょろと辺りを見回しながら、歩いてくる。

ゴブリンか…

ゲームに出てくる様な、ゴブリンと言ったら、これ。みたいなモンスターが

そこにいた。


「ストーンバレット! ストーンバレット! ストーンバレット!」


「ゴギャ! ゴゲェ! グギャー」


開幕ストーンバレット3連発。

3体のゴブリンの胴体に穴が空いた。1秒に満たない間の事だ。

崩れ落ちていくゴブリン。

残された2体のゴブリンは、慌てふためいた感じで、棍棒を振り回しているが

すぐに、沈黙する事になった。

ストーンバレットを放った後、すぐに別の木の裏へと移動した母。

棍棒を振り回しているゴブリンに向かって、角度を変えて、ストーンバレットを

放つ!


「ストーンバレット! ストーンバレット!」


「ゴギャギャ?」

自分の腹に空いた穴を、信じられないものを見た感じで、崩れ落ちて行く2体の

モンスター。


母は、こちらを振り返り、殲滅完了のサインを出す。

10秒に満たない戦闘時間。凄い。


母のこっちへ来いのサインで、待機していた場所から移動して、母と

合流した。


「どう? わかったかしら?」

「え?」

「次はカラムちゃんがやる番よ。もう、ストーンバレットは

覚えちゃったんでしょ?」

「いや、まだ使えないんだ」

「? どうして?」


『SkillAnalysis Success!!』のアラートは、上がってるから

デバッグすれば、使える様にはなるけど、今すぐには使えない。


「使える様になるには、もう少し、時間がかかるんだよ」

「そう…じゃあ、どうしようかしら…

最初は遠距離から、安全に殲滅したいんだけど…」


「あ、それなら、エアカッターが使えるよ」

「エアカッター?」

「うん、スクロールで、覚えたんだ」

「あー、しょうそだったかしら? たしかに、スクロールを貰ったわね」

「う” しょうそじゃないから…」

真っ赤になってるカラム。

「まぁ、いいわ。エアカッターでいきましょう!

開幕ぶっぱで、殲滅よ!」

「うん!」


討伐したゴブリンをどうするのか? 母に聞いたら

魔石を取り出して、後は放置だそうだ。

討伐部位を切り出して、ギルドに報告すれば、いくらかの報酬が

貰えるらしい。

ゴブリンの討伐部位は、魔石だそうだ。

ちなみに、魔石はゴブリンの心臓位置にあるらしく、母が討伐した

ゴブリンは、身体に穴が開いており、魔石ごと無くなっていた。


「こういう風に倒しちゃうと、お金にならないっていうのを

教えたかったのよ…ははは」

ジト目を向けるカラム。


「まだ、時間はあるわよね? ギルマスは何処かしら?」

カラムは、地図を表示し、ギルマスの現在地を確認する。


「もうちょっとで、森の入口に着きそうだけど、入り口近くで

合流しなくてもいいよね?」

「そうね。じゃー、カラムちゃんの初討伐の後に、合流って事で

もう少し先に進みましょ」


森の中を歩きながら、母の教育? を受ける。


「遠距離攻撃のあるモンスターを優先して、やっつけるのよ!

弓だったり、魔法を撃ってくる奴を、狙って、キル」

首の前に指を持ってきて、水平に動かすジェスチャーをする母。


「うん」

ちょっと笑いそうになってしまったが、我慢我慢。


「ねぇ、母さん。」

「なにかしら?」

「この森って、岩が多くない?」

「そう?」

「ほら、あの岩とか、あっちの岩とか。ごろごろあるよね?」

「うーん…自然だからね。岩が多い森とかもあるんじゃないかしら?」

「自然と言えば、自然なのか…」

「あんまり、気にしなくてもいいと思うわ。それより、来たわよ!」

「!?」

母が、サインを出す。

モンスターだ。

右の方から、3体。モンスターが来るらしい。

「私は、木の上から見てるからね。頑張って!」

そういうと、母は、木の枝を掴むと、蹴上がりで上り、ジャンプして

別の枝に飛び移って行った。


凄いな。まるで猿の様だと思ったが、そんな事は決して言わない。

身体強化なしで、あんなに動けるのか…さすがだな。

こっちは、口にだして言える。

そんな事を、考えている場合では無かった。


モンスターの左に回り込み、大きな木の裏へと隠れる。

木の上の母にサインを送る。

魔法で殲滅する!


よし、エアカッターの起動時のパラメータ設定を確認しよう!

魔力量     50

大きさ     魔力量に準ずる

速さ      魔力量に準ずる

数量      1

ターゲット設定 マニュアル

飛び方     直線

属性付与    なし

DMA設定    なし

動作設定    なし

詠唱設定    エアカッター

魔力操作設定  自動


このままでいいな。

ターゲット設定がマニュアルだが、この距離だし、当たるだろう。


初陣だし、開幕ブッパしてやるぜ!


今回も近づいてきているモンスターは、ゴブリンだ。

グギャ、ゴギャ言ってる。


カラムは、木の裏から飛び出すと、右の手のひらをゴブリンに向け、

エアカッターと、3回叫んだ!


「ボン! ボバーン! バキィ!」


目を覆う様な光景が、そこに出現していた。

1発目のエアカッターで、2体のゴブリンの身体が弾け飛び、

2発目のエアカッターで、3体目のゴブリンも吹き飛び、

3発目のエアカッターで、ゴブリンの後ろにあった木が、へし折れていた。


「あ……」

これ、お金にならない奴だ…

とりあえず、母に殲滅完了のサインを送った。


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