第33話
ギルドで姉さん、もとい、母さんが迎えに来たのは覚えているのだが、
そこから先の記憶がない…
今は、朝。自分のベッドの上。猛烈にお腹が減っている。
そして、いくつものアイコンが、右下の方で、ピコンピコンと、
上下に動いている。
『あー、デバッグするものが一杯あったんだった…
訓練で寝落ちか…
とりあえず、ご飯を食べないと…』
今日は、訓練2日目だ。頑張らないと!
本当は、ヒールとか、鑑定とかのデバッグがしたいんだけど
まぁ、明日でもいいしね。
訓練が終われば、森に行けると思えば、そっちの方が優先度は
高いからねー
朝からびっくりするぐらい、ご飯を食べたカラムは、母と一緒に
ギルドへとやってきた。
冒険者ギルド前
なにか騒ぎが起きているみたいだ。
馬車2台に、何人かの冒険者が乗り込んでいく。
その中に、コミットくんがいた。
カラムは馬車に駆け寄ると、コミットくんに話しかけた。
「何か、あったんですか?」
「カラムちゃん、すまないが、今日の訓練は中止だ」
残念そうな、悲しそうな顔をするコミット君。
「こちらからお願いしておいて、本当にすまない。
この埋め合わせは必ずする。」
「いえ、埋め合わせなんて、大丈夫ですよ、それより、
何があったんです?」
「実地訓練に行った冒険者達が、森から帰って来てないんだ。
これから、探しに行ってくる」
昨日、ギルド前で騒いでいた子達を思い出したカラム。
あの子達が、帰って来てない…
そう考えると、なぜか、胸の奥が痛くなった。
「出発だ! 行くぞ!」
冒険者の1人が声をあげると、馬車は走り出した。
カラムは、呆然としたまま、馬車を見送るのだった。
「母さん、探知スキルで、行方不明になってる冒険者達を探せるかもしれない」
ギルド前で、呆然と立ち尽くしたまま、話すカラム。
「! そうね。何が必要なの?」
「名前とか、年齢かな」
「わかったわ、ギルマスに相談してみる」
ギルド内会議室
今、2人は、ギルドの会議室にいた。
目の前に座っているのは、クマのおじさん事、ギルドマスター。
「君は、犬の捜索の時に、居場所を教えてくれた子だったね」
「はい」
「今回も教えてくれるかな?」
「はい、出来れば、協力したいです」
胸の中が、重く苦しい。
クエリーの方をチラと見るギルマス。
クエリーが頷いたのを確認して、ギルマスは話をきりだした。
「ここでの話は、一切、口外しない。約束しよう。
力を貸して欲しい、カラム君」
「あーすまない、女の子だったね。だけど、俺は男でも女でも
君って、呼ぶ事にしてるんだ。なにせ、男女平等だからね」
「はい、大丈夫です」
おっと、男女平等社会だった。
確かに、スキルのあるこの世界だと、女の人も、力が強いし
平等なのかも。
なんて事は、あとで考えよう。
「君の探知スキルの事は、クエリーから聞いている」
母さんを見るカラム。
「信用のおける協力者を得る必要があるの、わかるわよね?」
「はい」
ギルドマスターの様な人に秘密を打ち明けるのは、怖いが
母が、信用ある協力者と言っているのだから、信用するしかない。
「それでなんだが、探知スキルを使うのに、名前とか、年齢がいるって
話だったが、これで、わかるかね?」
ギルドマスターは、木札に書かれた名前の一覧を机の上に出す。
「一番上が、引率していた冒険者パーティのリーダーの名前だ。」
よし! DBを検索だ!
sql> select * from players where name like '%ジョーダン%'\G
*************************** 1. row ***************************
Id: 5963
Name: ジョーダン
Kind: 000
Lv: 26
~
~
Job: 冒険者
BodyAge: 26
latitude : 35.73876
longitude : 139.32651
elevation : 130.8461303710938
いたけど、like 検索なのに、毎回1件しかデータがヒットしないな。
偶然なのかな? ジョーダンっていう人は、この世界で1人だけなのか…
うーん…
なんて、考えていたけど、とりあえず座標位置をプロットしてみよう
アイコンを選択して、緯度経度の座標を設定する。
さて、どこにいる?
地図を縮小して、世界を広げる。
お! いた!
地図を拡大していき、アイコンが真ん中になる様に、地図を
スクロールさせていく。
ここは! 森の中? 最大拡大でも、森の中の詳しい状態までは、見れなかった。
なるほど、森の中にいるという事だけはわかった。
とりあえず、聞いてみるか?
「あの、ジョーダンさんて、年齢はいくつですか?」
「え? 年齢は知らんなー」
ギルマスは頭をかいて困った顔をする。
「ちょっと、あいつに聞いてくる。」
「あ! 出来たら、レベルとかも聞いてみてください」
「わかった。レベルは答えられないかもしれないが、一応聞いてみる」
「はい、それでいいです。お願いします」
よし、その間に、他の人もプロットしてみよう。
うーん…
みんな、同じ所にいるな。
これ、当たりだろ。
7人のアイコンが同じ位置に表示されていた。
しばらくして、ギルマスが会議室にきた。
「年齢はわかったぞ、26だ。レベルはわからないそうだ」
「ありがとうございますー」
26か。DBのデータと同じだな。
それに、7人が同じ場所にいるとか、場所は特定出来たと思っていいと思う。
俺にだけ見えてるウインドウの、セキュリティレベルを下げよう。
表示ユーザー一覧に、母と、ギルドマスターを追加したい。
そういえば、ギルドマスターの名前を聞いてなかったな。
「あの、クマのおじさんじゃなかった、ギルドマスターの名前って
教えてもらえますか?」
「俺か、俺の名前は、ラウンドロビンだ」
「ありがとうございます」
表示ユーザー一覧と、操作ユーザー一覧に、母と、ギルマスを追加した。
何もない空間に地図が現れ、目を丸くするギルドマスター。
この反応は、みんな同じだね。
「ここが、今、ボクがいるギルドです。」
地図を縮小して、世界を広げ、行方不明になっている冒険者の位置を
表示する。
「そして、ここが、行方不明になっている冒険者達のいる所だと思われます」
「!? なっ、なんだこの地図は!」
「そ、そうよね、私も初めて見た時は、びっくりしたわ」
「びっくりなんてもんじゃないだろ! 戦略級のしろものだぞ」
地図の価値が判ってる人は、そういうんだね。
「まぁまぁ、今は置いておいて、ここにいるってのが判ってるんだから、
当然、行くわよね?」
母は、地図に触れ、スクロールさせて、更に拡大して指をさした。
「なっ! そんな事まで出来るのか!?」
ちょっとドヤ顔の母。
「当然、行くが、この地図は貰ったりする事が出来るのだろうか?」
「それは、無理ですね。ボクがいないと、表示出来ません」
「うーん…」
困り顔で悩むギルドマスター
「森へは私が連れていくわ。」
「しかし、それでは、カラム君が危険では?」
「元々、訓練が終わったら、行くつもりだったのよ。
それに、あの森なら、よく知ってるし、それほど危険とは思えないわ」
「まぁ、そうなんだがな。」
「一緒に行くと、目立っちゃうから、別々に出て、森で落ち合いましょ」
「森のどこで、落ち合う?」
「森を適当に歩いてれば、カラムが見つけてくれるわ。」
「なるほど…」
「私達は、すぐに出発するわ」
「準備はどうするんだ?」
「森の道案内でしょ? 特にないわよ。」
「そうか、クエリーなら、大丈夫か…
分かった、俺も、準備が出来次第、森へ向かう。
カラム君、クエリー、すまないが、よろしく頼む」
こんなやり取りがあり、ボク達は、森へと向かうのだった。
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