第31話(閑話 クエリーSIDE)
クエリー15才
ディリーミッションをこなし、色々なものを鑑定していくクエリー。
鑑定し過ぎて、魔力枯渇になったりと、色々あったけど
行商人見習いとして、徐々にではあるが、確実に貢献していった。
そんな、ある日、事件は起こった。
「なんでだ! なんでこれが、たったの100zなんだ!
アブクーゼ男爵の御用商人から、買った短剣だぞ!
10000zはする代物だ! それを100zとか、ありえーねーだろ!」
「しかし、なぁ…」
困った顔をする、クエリーの父。
「儀礼剣とか、うちでは売れないし…」
「そんな事ねーって、見栄を張る冒険者に売れば、高く売れるぞ!」
「いや、うちは騙す様な事はしないんだ。剣ならちゃんと切れないと
使い物にならん」
「ちっ! それにしたって、100zはねーだろ!」
「ほんとは、値段も付けたくないんだ。うちでは売れないからな」
そんなやり取りの最中に、父に用事のあるクエリーがやってきた。
「父さん、これなんだけど…」
「今、来客中だ。あとにしなさい」
「あ、ごめんなさい」
店先での商談だったので、あまり気にせず、話しかけてしまったクエリーだったが、
そんなクエリーに、商談中の男が声をかけた。
「なぁ、嬢ちゃん、ちーとばかし聞きたいんだがよ。この短剣、嬢ちゃんなら
いくらで買う? この店で売れる売れないは関係なく、
この短剣、買うなら、いくらで買う?」
「え?」
いきなり話を振られたクエリーだったが、ちらと父を見て、短剣に鑑定をかけた。
修復した儀礼剣
武器種類 : 短剣
武器名 : なし
品質ランク : F
・耐久値 : F
・魔力値 : ー
・切れ味 : ー
攻撃力 : 4
属性 : 無
特殊能力 : 無
説明 : 折れた儀礼剣を修復した短剣
「これですか? うーん、わたしだったら、買いませんね」
「なんだと!」
「だって、この剣、折れたの直してますよね?」
「え?」
「それに、品質ランクも悪いし、お金を貰ってもいらないです」
「……品質ランクときたか…」
急に黙り込んでしまった客。不思議そうな顔をしながら、それじゃ、失礼しますと
言った所で、客が呼び止めた。
「待ちな、嬢ちゃん。」
ギロリとクエリーを睨む客。
「今、鑑定を使ったな。」
「え?」
「俺は魔力の流れが見える。嬢ちゃんから、この短剣に魔力が流れていくのが見えた」
「「!?」」
驚愕の顔をした父が、慌ててとりなす。
「ちょっと、やめてくださいよ! うちの娘は、鑑定なんてもってませんて!」
「いーや、あれは鑑定の魔力の流れだ。間違いねぇ」
「そ、そんな」
「そうか、そうだったのか! どうりで。」
「な、なんのことで?」
「へっ、とぼけんなって。最近の買い取り、お前にしちゃ、値付けが的確だし、
贋作にも騙されねぇ。」
「………」
「嬢ちゃんに鑑定させてたって訳だ。それなら、値付けも的確、贋作になんか
引っかかるわけがねぇ」
「ちょっと、お客さん、何を言ってるの? わたし、鑑定なんてもってないわよ!」
ニヤリと笑う客。
「おい、ドルーパル、この娘は連れてくぞ! 領主様の命令でな、鑑定スキル持ちを
集めているのさ」
『え? なにそれ?』
「待ってくれ! クエリーは鑑定なんて持ってない! 何かの間違いだ!」
「ふっ…持ってないかどうかは、直に判る。その娘に鑑定をかければな」
「「!?」」
『鑑定 うさんくさい男』
名前:チップス
年齢:40才
職業:鑑定探偵団員
LV:10
攻撃力:F
体力:F
魔力:D
素早さ:E
器用さ:E
かしこさ:D
運:F
スキル:魔力感知LV2
魔法:なし
称号:なし
『鑑定なんて、持ってない! この男、嘘つきね』
「また、鑑定を使ったな。俺が鑑定を持ってるか? 調べてみたんだろ?」
「!?」
『魔力感知Lv2 これで使ったのが判るってこと?』
「その顔は、俺が鑑定を持ってないのがわかって、嘘をついてるとか思ってる顔だ」
「な、!?」
「鑑定持ちは、みんな同じ事をする」
ニヤリと笑って、そんな事を言う。
「さあ、来てもらうぞ! こっちへ来い!」
「いや!」
「やめろー!」
父がクエリーをかばい、胡散臭い男ともみ合っていると、後ろから母が来ていた。
「がん!!」
胡散臭い男の頭を、鍋で殴りつけた。
白目をむいて気を失う男。
「母さん!」
「大変な事になっちゃったわね。」
「スクイーズ、クエリーが、領主様に連れてかれる!」
「あなた、おちついて! 話は、柱の陰で聞いてたわ」
「どうする?」
「どうするも、こうするもないわ。逃げるしかないでしょ」
夫と娘をじっと見つめるスクイーズ。
「大事な娘を、領主になんか取られてたまるもんですか!」
「そ、そうだな!」
こうして、クエリー達の家族は、町を出て、逃亡生活をすることになったのだが…
クエリーの話はまたの機会に…
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