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第175話


「おのれ、どこぞの神の分け御霊わけみたまども!

許さん!!」


セインの身体から、炎の柱が天高く立ち上った!


眼光鋭く睨みつけてくるセインが右手を大きく振ると、

炎が押し寄せて来た!


「ヤバい! 避けろ!」


ブルーが後ろにいるカラムとリミットへ向け叫ぶが、反応出来ずに

カラムとリミットは、まともにくらってしまった!

地面から生える様に押し寄せてきていた炎。

前に障害物があろうと関係なく焼き尽くす!


カラムとリミットは、一瞬で、炭となり蒸発して消えた。


「ちっ、遅かったか……」


ブルーはまといによる炎の耐性で、なんとか凌いだ。


『1号機、スケールイン! 完了したら、スケールアウトだ!』

『ラジャ!』


ゼロ号機のカラムとリミットが、対応していく。


『生きてて良かった……』

『ほんとね』

『ボクとリミットが同時に殺られたら、死んでしまうのかと思ってたよ』

『うん……確かめたくは無かったけど……

これで、1号機で同時に殺られても大丈夫って事がわかったわ』


『クローン完了! 実体化のタイミングはどうする?』

『リミット、ボクの順番で実体化するけど、今、出て行っても

すぐに消し炭になるだけだ……』


実体化しているブルーが、セインの炎に焼かれているのを見ながら

カラムは叫ぶ!


『だけど、行くしかない! 何度焼かれようと、1号機なら

復活出来る!』

『うん!』


『戦うのか?』

ブルーが聞いてきた。


『攻撃はしない、まだ説明の途中だ。説明を続ける!』


そんな時に、ココアがカラムに質問をぶつけた。


『カラム! セインが言ってた、婆様ばばさまが消えてしまったって

どういう事なの?』


『……そうか、ココアは気を失ってたんだな……』

『おにいちゃん、映像記憶が残ってるわ。それを見て貰ったら?』

『そうだな……

ココア、気を失ってる間の映像を見てみてくれ……

ぶっちゃけ、ボクにもよく分からない……』


チャット画面のココアの顔は、驚きの表情でカラムを見ていた。


『そうなんだ……わかった』


『行くぞ、リミット! 今なら実体化出来る!』

『ラジャ!』


炎の波が押し寄せていない隙をついて、二人は実体化した。


『リミット、ストーンゴーレムになれるか?』

『やってみる!』


ブーストオン バランス ストーン!


リミットは身体強化の呪文を唱えたが、何も起こらず

ログを調べると、エラーが出ていた。


『ダメみたい。使用中だって』

『なら、クラゲはどう?』


ブーストオン バランス ゼリーフィッシュ!


リミットは即座に呪文を唱えたが、やはり何も起こらず

ログを調べると、同様のエラーが出ていた。


『そっちもダメ。使用中』

『ぐぬぬ……ボクが使いっぱなしって事か……

仕方ない、ボクがストーンゴーレムになる!

少しは耐えれるかもしれない』


ブーストオン バランス ストーン!


カラムはストーンゴーレムへと変身した!


と同時に炎の波が目の前に迫っていた!

カラムとリミットは、二人同時に、エアランナーを起動し

空中を駆け上がった!


ギリギリで炎の波を躱し、セインに向けて叫ぶ。


「セイン! 聞いてくれ!」


セインの身体から発している炎によって、顔がよく見えないが

ちらりと見えた眉毛が、10時10分だった……

お怒りの様だ……


「ボク達がアボラと戦ったのは、おばあさんから言われたからだ!

本当は戦いたくはなかった!」


セインに向けて叫ぶが、炎は勢いを増し、大きな炎の塊が

空から雨あられと振ってきた!


2人と1匹は、必死に避ける!

いくら炎に耐性があるといっても、物理的な衝撃に耐性がある訳ではない。

ブルーも、華麗なステップワークで炎の塊を避けまくっている。


ストーンゴーレムとリミットも避けているのだが、ちょっとかすっただけで

かすった部分が蒸発し、足にかすった所で足が蒸発して、

炎の塊を避けられなくなり、直撃を受け、蒸発して消えた……


『くそ! 1号機、スケールイン! 完了したら、スケールアウトだ!』

『ラジャ!』




こんな事が何度も何度も続いた。

だが、セインの怒りは静まらない……



蒸発して消えては復活を繰り返し、炎の波で、ストーンゴーレムとリミットが

焼かれてしまった時の事だった。


リミットの着ていた服がビリビリになって弾け飛んだ!

そして、ストーンゴーレムも、カラム(女の子)の身体に戻ってしまい、

着ていた服がビリビリになって弾け飛ぶ!


二人共、蒸発せず全裸になってしまった。


『これは!?』

『燃料を使い切った?』

『ファイアーボールを使ってないのに?』

『んー……分からないな……』


そんな時、押し寄せていた炎の波が止み、セインから立ち上っていた炎の柱が

徐々に小さくなっていった。

今なら、聞いてくれるかもしれない!


「セイン、聞いてくれ!

おばあさんが、神なら、ボク達は、神の試練を受けていた事になる。

とても勝てそうにないアボラを相手に戦ったんだ。

おばあさんだって、勝つとは思わなかったって言ってた。」


「そうか……」


「実際、何度も殺され、何度も挑戦した。

やっと、勝つ事が出来たんだ。

ボク達は、神の試練を乗り越えて、ここにいる!」


「おまえ達が、生者せいじゃのまま、川を渡るとか言い出さなければ

そんな試練を言い出しはしなかったはずだ。

死ねば川を渡れたのに、なぜ、死ななかった?」


生者せいじゃだって、ここと同じ、命ある限り、命の炎を燃やし続けるんだ!

燃料が無くなるまで!

自ら死ぬ事は出来ないんだろう?」


「………………」

セインは目を瞑り、何かを考えている。


常世ここことわりを破り、神を天に帰す程の試練……

おまえ達はそれを乗り越えた。

婆様ばばさまが与えた試練を、オレがどうこう出来るはずもなし……

生者せいじゃの娘よ、出てきてくれぬか?」


『ブルー、炎を消して、わたしと変わって』

『取り憑き先のおなご、いいのか?』

『うん。ありがとう、ブルー

今、変わるわ』


ココアは、FGボタンを押して、実体化した。


セインは実体化したココアを凝視している。


「セイン、ココアに何かするつもりなのか?」

「いや、婆様ばばさまが与えたものを視ておこうと思ってな」


『ウイルス仕込まれるかも!』

『ネットワーク監視!』

『ラジャ!』


「何かするつもりはない」


ゼロ号機の二人は監視しているが、特に何も起こっていなかった。


セインはココアから目を離し、カラムへと向ける。


「オレの役目は常世ここの案内だ。

あの門をくぐれ。」


そういうと、セインは透明になりながら、すぅーと消えてしまったのだった。


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