第168話
実体化して現れたココアは、3メートルはある化け猫の姿をしていたのだった。
『ココア! 大丈夫?』
『………………』
『返事がない……』
『気絶してるみたい』
『音声で声をかけてみよう!』
「ココア! 大丈夫?」
「しゃあぁーーー!」
「うっ!?」
『化け猫が、しゃあぁーー! って……』
『怖いわね……』
化け猫は、こちらを睨みつけ、今にも飛びかかってきそうだ。
「おばあさん! ココアは、ココアは大丈夫なんですか?」
「ん? 大丈夫じゃ……」
おばあさんは、苦しそうな表情をしながら答えた。
なんだか、シワが減った様な……
「生者の娘に猫を憑依させただけじゃからな」
「ココアは、元に戻れるんですか?」
「生者の娘次第じゃ。」
「それって、どういう……」
被せるようにおばあさんが話しかけてきた。
「おまえ達も、一つの器を二つの魂が共有しておるのじゃろう?
どちらかを追い出して、専有しようとは思わんのか?」
「そんな事、思いません!」
元々はリミットの身体なんだ、そんな事思う訳が無い!
「妹もそう思うのかぇ?」
「はい、もちろん!」
「そうか……そういう判断を、生者の娘にさせるようにの。
生者の娘が、猫を追い出したいと言ったなら、
クラゲを祓った様に、猫を祓えばいい。
おまえ達なら出来るであろう?」
「はい……」
「ただし、川を渡ったあとじゃぞ。川を渡る前に祓ってしまったら、
渡れなくなるからな。」
ストーンゴーレムは、こくりと頷いた。
「生者の娘が、気絶してるうちにクラゲに乗っていくがよい」
「こんな大きな猫が乗れる様な、クラゲがいるんですか?」
さっき見たクラゲは、こんなに大きくなかった。
乗れないと思う。
「なにを言っておる。おまえはクラゲになれるのだろう?
おまえが乗せていくんじゃ」
「え? でも、こんなに大きいと乗せられないかと……」
ボクが乗せていくのか!?
「ふむ。」
おばあさんは、ちょっと考える様な仕草をして、化け猫に話しかけた。
「猫よ、もうちーとばかし、小さくなれるか?」
化け猫は、おばあさんに近寄り、頭を擦り付けると、
おばあさんを見上げてニャーと鳴いた。
すると、3メートルはあった化け猫が、みるみるうちに小さくなり
1メートル程の大きさになった。
「うむ。これでいいじゃろ?」
化け猫なのに、凄く猫っぽい! とか思って、じっと化け猫を見ていたら
化け猫に威嚇された。
「しゃあぁーーー!」
「うわっ!」
小さくなっても怖い……
「これ、猫、大人しくせんか!」
おばあさんが宥めてくれたので、威嚇しなくなったけど、
化け猫はこちらを睨んでいる。
「あまり時間がない……川まで行くぞ」
おばあさんは苦しそうな感じだ。
なんか、また、シワが減った様な気がするのだけど……
ボク達は川のすぐ側までやってきた。
「ほれ、クラゲになれ」
「…………はい」
ボクは身体強化の呪文にクラゲを追加して、変身した。
ブーストオン バランス ゼリーフィッシュ!
ボクは、直径1メートル程の大きさのエビルゼリーフィッシュへと変身した。
「うむ、よかろう。猫と妹よ、クラゲに乗るがいい」
「はい」
化け猫はすたすたと音を立てずに歩き、クラゲの真ん中に座った。
リミットは、化け猫から離れる様に端っこに座ったのだが、
「あんまり端にいると落ちるぞ。もっと中に座れ」
と言われ、恐る恐る化け猫に近づき、パーソナルスペース限界ギリギリ
で座った。
「まぁよいか……」
おばあさんが納得したようなので、ボクは化け猫とリミットを乗せて、
川へと入った。
「時間のようじゃ……
達者での……」
そう言ったおばあさんは、もう、おばあさんじゃなかった!?
シワがない! 若返ってる?
ヒト族で言えば、80歳以上の見た目だったはずなのに、
今は、40歳くらい? に見える。
しかも、どんどん若くなっている気がする……
こんなに美人だったのか……
シワはすっかり無くなり、ハリのある肌をしている。
20代の見た目だ。
おばあさんは、刻一刻と若返っていく。
ボク達は川に入った場所で、おばあさんの変化に見蕩れていた。
更に若くなり、今は少女の見た目になっている。
もうすぐ、ボク達と同じくらいの年令になりそうだ。
身体はどんどん縮んでいき、今は、小学生くらいの体格になっている。
一体、どこまで若返るのか?
そんな事を思っていたが、身体は更に小さくなり、3歳くらいの大きさに
なってしまった。
光り輝きながら、更に小さくなっていく。
この頃から大地にも変化があった。
地面から竹が、にょきにょき生えてきたのだ。
おばあさんが赤ちゃんになった時には、竹林となり、
光る竹の中に、赤ちゃんが寝かされている状態となっていた。
上を見上げると、真っ暗闇だった世界に、満天の星が輝いていた。
そして、竹林が空へと浮かび上がっていく。
竹林は高く高く浮かび上がっていき、やがて見えなくなった……
『一体、何が起きたの……』
『わからない……けど、おばあさんが、呪文を唱える時に言ってた
言葉が気になる』
『どんな言葉?』
『神力を代償にって言ってたんだ……』
『神力って事は、やっぱり神さまだったのかな……』
『神さまだったんだろうな……昇天って感じがした……』
『…………』
ボク達は、今は消えてしまった満天の星があった空を見上げながら
川を渡るのだった……
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