ひとでなし
昨日とはうって変わってまっくろくろすけでございます。
でも、賢ちゃんの別れた奥さんの話
前々から書いて見たかった。
あ、この女性によって『こんな故郷の片隅で 終点とその後』と『ぼっちポチ』は繋がっています。
その業界紙は
我々とは無縁の筈だが、秘書課からキャプション付で回って来た。
それだけで察しが付く。
“元専務”についての動向だ。
「余計な事を…」
心の中で“独り言ち”た私の視線は…記事に釘付けになった。
『両和システム株式会社 新社屋竣工式』の記事の文末に書かれた『上川社長と同社役員との結婚披露宴が合わせて執り行われた』の一文に。
噂には聞いていたけど…まさか結婚するほどの間柄とは…
この男は…
こちらから縁切り…と言うより排斥した男!!
そう!私を愛する人から引き剥がし
私のカラダも戸籍も穢していった『ろくでなし』
それなのに!!
自分だけさっさと幸福を掴み取るなんて!!
許さない!!
絶対!!許さない!!!
私の心の中を狂おしい程に復讐の情念が燃え上がる。
だけど
どのような策を弄しても
あの男には絶対勝てない…
私には『サリエリ』の気持ちが分かる。
彼がモーツァルトの曲に抱いたであろう感情を私はこの男の“手腕”に抱いている。
これは愛憎なのだ!!
なんで私は!!
あの男を拒否してしまったのだろう?!
あの男が居た時に…
あの男と結婚していた時代に…
余りにも“のほほん”としていた自分が恨めしい。
あの男のカラダを
私は自分から拒否して
最後には
『アンタとの間に子供ができてなくて本当に良かった。背中にキズのある親なんて、子供が不憫すぎる』
って言葉を投げ付けた。
私達一族を…会社を…すべて守り切ったが為に付けられた刀傷だったのに…
たとえあの時…反吐が出るほど嫌いだったとしても
私はこの身に
あの男の『種』を受けるべきだったのだ。
こういう事にだけは嗅覚が働くお父様が見つけ出した『男』の『種』を受け、次の世代に繋ぐことが厳然たる私の責務なのだという事を…『男』が持つ優れた資質を一族の血に取り込む事が如何に必要なのかという事を…実際、家業の経営に携わって初めて思い知り、あの男に今更ながら惚れ込んでみても…すべては遅い。
私はあの男に代わる『種』を探す出す事を…私の身が…『産む事』が出来得る限り行わなければならない。
“血”を絶やさない為に
日々のレースを続けながら種馬を求めて彷徨う…みっともない牝馬は、その恨みのはけ口をどこへ持って行けばいいのか?!
そういう時の為に丁度いい十把一絡げの俗人どもから拾い上げてやろう。
私は個人アドレスをスクロールしてゆく
『稲城康雄』の所で指を取め、タップする。
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コメント: 『クズ』 ベッドでのプレイ、会話はA´資質には乏しく『種』には値せず。娘は『可』
<こちらからCUT>
追加 : 肉じゃが女と再婚
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コイツならすぐ来るだろう…
『ゴムしてくれるんなら何してもいい』
と送ったメールに
すぐさま返信が入って来た。
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康雄の『奉仕』にカラダをゆすられながら私は既にアンニュイになり掛けている。
オトコは『入って来る』までだな、後は“壊れたゼンマイ仕掛け”の様に、ただ滑稽だ。
『好き』を演じて自分をごまかす必要が無ければすべては色褪せ、事象が残るだけ。
「やっぱり郁乃は最高だよ! オレをこんなにも虜にする!!」
私を呼び捨てて鼻息荒く囁かられるのもバカバカしい。
「可愛い奥さんが居るのに、無理言わなくてもいいよ」
「無理なもんか!! オレとお前の相性は最高なんだ!! お前なら何度でもイケるし、トークも最高だ!」
「“ひとでなし”のあなたに言われても嬉しくもなんともない」
こう言われて気をそがれたのか…“康雄”は外れてしまって…
私をねめつけるが、私は外れた先の方が気になって…目視で安全確認する。
「別れる前に言ったでしょ!私の興味は『“器”を作れる男の遺伝子』だけよ。 私の気まぐれに付き合ってくれるのなら、そこは履き違えないで!」
身を起こして憮然と目を反らす康雄の耳に私は舌を挿しれる。
そうするとカレが“反応”するのを、今の奥さんは知っているのか知らないのか
クツクツと沸き起こって来る笑いと共に、私はカレにとって気が楽になる事を囁いてやる。
「“ひとでなし”の相手は“ひとでなし”がするものよ」
私は康雄を押し倒してのしかかり、いい感じになったカレを手に取って
繋ぎ直した。
ちょっとエチが過ぎたかなあ(^^;)
でも、この手の女性は書いた事がないので、面白かったです(#^.^#)
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