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僕はキミに「さよなら」を告げる  作者: さくら 美羽都
8/29

~期限付き~



「あ、あのさ……」

「ん?なーに」

「き、今日はさ……カフェでゆっくりしない?」

「えっ?だって今日はデートするって……」

「ごめん……妃奈に話しておきたいことがあって。デートは明日でもいい……かな?」

「話しておきたいこと……?」

「うん。大事な話だから、先にしておいた方がいいと思って……」

「……わかった。でも明日は約束だからね?」

「ありがとう!」

「で、話しておきたいことって何?」

「僕ね、今はこうして生き返って妃奈の前に現れてるけど……ずっとじゃないんだ」

「え……」

「一週間までしか、生きられない」

「え、なんで!?」

「それは、神様からチャンスをもらったから」

「チャンス……?」

「そう。僕は神様からチャンスを与えられたから、こうして今キミの前に居る」

「何の為に……?」

「それは……僕はずっと、キミにどうしても伝えたかったことがあったんだ。それを伝えられず、ずっと引きずっていたら、見かねた神様が僕に一週間という期限付きのチャンスを与えてくれた」

「一週間……」

「伝えたかったことは最終日に言うから、今は残りの時間を妃奈との想い出を作る時間に充てたいんだ」

「い……やだ」

「え?」

「嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!」

「え、妃奈……!?ちょ、ちょっと落ち着いて?」

「やだやだやだやだやだ!それなら伝えなくていい!!」

「妃奈……」

「伝えなかったら、ずっと一緒に居られるでしょう?だったら、別に伝えなくて」

「それは違う」

僕は妃奈が言い終わらないうちに、(かぶ)せてはっきりと言った。

「伝えても、伝えなくても僕は一週間後には消えて居なくなる」

「え……?」

「どのみち、僕は居なくなるんだ。それなら、後悔しないように伝えたかったことを全部、伝えて悔いなく去りたい」

「……」

「ごめんね。僕のわがまま、聞いてくれる?」

「……」

僕はすごく胸が痛い。心臓が締め付けられるぐらい痛い。

僕だって、生き返ったらずっと妃奈と一緒に居たいよ。

そして、ゆくゆくは結婚もしたい。

だけど、僕は死んでいるんだ。

僕は神様が期限付きで生き返らせてくれたことに感謝しても、し尽くせないぐらい感謝している。

でも……

後悔したかも。

妃奈が頑固な性格だったの、忘れてた。






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