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僕はキミに「さよなら」を告げる  作者: さくら 美羽都
7/29

~念願のデートで~



結局、僕は最後まで妃奈に言えなかった。

チキン過ぎるだろ、僕……

しかし、あの時に出来なかった念願のデートの約束をした。

だから、明日がすごく楽しみなんだ。

残りの日数、残りの時間を大切にして、妃奈との想い出をたくさん作るんだ。

そして……最後に言おう。

最後に……伝えられなかったことを、伝えよう───

期限まで精いっぱい生きて、最後まで笑顔で居ようと決めた。



そして、デート当日。

僕は念願のデートで前日の夜は、なかなか寝つけなかったけど、目覚ましで起きられた自分を褒めてやりたい。

僕は用意して、早めに出た。

デートが楽しみ過ぎて、居ても立っても居られなかった。

待ち合わせ場所に着いて、今日はどこに行こうかとスマホで検索しながら彼女を待っていた。

「ごめーん!待った?」と妃奈がやって来た。

「ううん、待ってないよ」と、デートあるあるの鉄板セリフを言う僕。

「どこか行きたいとこ、ある?」

「んー、実はね……」

「うん、何?」

「ノープランなのだ~♪」と笑いながら言う彼女に、何故か胸キュンしてしまった。

「じゃあ、カフェでお茶しながら考えよっか」

「うん!」

ということで、今はカフェに居る。

僕は妃奈に聞きたいことがあったのだ。

「妃奈さ……」

「うん?なーに?」

「妃奈って……彼氏、居ないの……?」

「え、なんで……?」

「あ、いやー、その……大学とかバイト先とかで彼氏……居ないのかなって。居たら、僕と逢うのはマズいよなーって思っ……て」

妃奈の顔を見た時、僕は酷くびっくりした。

だって、泣いていたから。

「え、いや……泣かないでよっ」と慌てる僕。

「だって、酷いこと言うんだもん!」

「えっ?ひ、酷いこと……?」

「そうだよ!彼氏は、大一だけなのに……」

僕は、その言葉を聞いてはいけなかった。

だって今、僕は心底嬉しい。

欲しかった言葉。

キミは今でも、僕のことを想ってくれていた。

そのことが、どれほど僕に幸せをもたらしてくれているか……計り知れない。

でも、それと同時に申し訳ない気持ちが僕を襲った。

だって、僕は……死んでいるから。

今は神様のお陰で、こうして生き返っているけれど、本当は死んでるから……

僕は期限が終わると、死後の世界へ帰らなくちゃいけない。

だから、嬉しいけど……苦しい。


「ごめん、あんなこと言って……」

「ううん。私も過剰に反応しちゃったから……ごめんね?」

「いや、妃奈は悪くないよ」

「そう……かな」

「うん。僕は、てっきり新しい彼氏でも居るのかなって、思ってたからさ……居たら、彼氏さんに悪いし。でも、居ないみたいだから、こうして逢っても大丈夫そうだな」

「みたい、じゃなくて居ないの!」

「もう~、ごめんってば」

でも、僕は彼女(キミ)に残酷な話をしなくてはならない。

僕が生きられるのは期限付きだということ。

そして、期限が切れる時に僕は再び消え去ってしまうということ。

だからこそ、妃奈が悲しまないような別れ方をしなければならない。






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