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僕はキミに「さよなら」を告げる  作者: さくら 美羽都
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~彼女を捜せ~



三年ぶりの生身の体だ。

凍えそうな程の寒さなのに、僕は喜んでいる。

ファストフード店で食べ物を注文し、イートインスペースで食べた。

ハンバーガーって、こんなにも美味しかったっけ。

生きていると何もかもが当たり前に思うけど、こうして三年ぶりに生き返って食べ物を食べられる喜びに浸ると、どんな小さいことでも感動と感謝が()き起こってくる。

たらふく食べて腹ごしらえを済ませた僕は、彼女を捜し始めた。

幽霊だった頃は遠いところや人間が通れないところなど、どこへでも自由に通り抜けることが出来て、一瞬で移動出来ていたのに。

こうして生き返ると、歩いて捜さなきゃいけなくなるから大変だな。

でも、せっかく神様が生き返らせてくれたんだ。

このチャンスは大事にしないと。

彼女に伝えたいことを全て伝えたい!

そして……ちゃんと、お別れするんだ。


僕は彼女を捜し始めた。

彼女は、きっと大学に通っているハズ。

彼女の家に行ってみたが僕の見ている限り、彼女は大学進学を機に一人暮らしをしているようだ。

ここから見える範囲だと、彼女の部屋が寂しく感じるぐらい物がすっきりしている。

彼女のお母さん、元気そうだな。

あまり物影から見ていると、周りの人に誤解されて警察に通報されたら敵わないので、僕は彼女の家から離れることにした。

さて、どうやって彼女を捜そうか……

僕は彼女が志望していた大学を思い出した。

そして、とりあえず第一志望から第三志望までの大学に1日ずつ行って、捜そうと決めた。

きっと、付き合っていた頃よりももっと綺麗で可愛くなっているんだろうな。

もしかして、大学で彼氏作っていたりして……

そう思った瞬間、ハッとした。

その可能性を今の今まで、考えたことなかった。

いや、考えないようにしていただけなのかも知れない。

そうだ。

僕が現れてもパニックになって、説明しても困惑させて信じてもらえなくて、ただ迷惑になるだけだ。

今更、死んだ俺が現れたって……


でも、それで諦めたら何の為に、神様からチャンスをもらったか分からない。

それに、期限は一週間だ。期限内に伝えるだけ伝えられれば、後は久しぶりにこの世界を満喫しよう。

とりあえず今は、俺のやらなければならないことをやるだけだ。



妃奈、待っていて。

今すぐ、キミのところに逢いに行くから。






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